天皇は敏捷な兵士を差し向けて息子を渡しに来た姫を奪還させようとするが、姫の決意は固かった。髪は剃りあげて鬘にし腕輪の糸は切り目を入れてあり衣装も酒で腐らせて兵士が触れるそばから破けてしまったため姫の奪還は叶わない。天皇が「この子の名はどうしたらよいか」と尋ねると、姫は「火の中で産んだのですから、名は本牟智和気御子とつけたらよいでしょう」と申し上げた。また天皇が「お前が結んだ下紐は、誰が解いてくれるのか」と尋ねると、姫は「旦波比古多多須美知能宇斯王に兄比売と弟比売という姉妹がいます。彼女らは忠誠な民です。故に二人をお召しになるのがよいでしょう」と申し上げた。そうして炎に包まれた'''稲城'''の中で、狭穂毘売は兄に殉じてしまった。
== 私的解説 ==
この場合は、垂仁天皇が「黄帝型神」、狭穂毘古が「炎帝型神」になるのだろうか。佐保姫は単純に「燃やされる女神」である。出産に関連しているところは[[伊邪那美命]]に似る。
日本海側を中心に信仰されている佐保姫の神話が古事記に取り込まれたものと考える。「春をつかさどる女神」とされているので、ギリシア神話のエーオース、インド神話のウシャスに相当する女神と考える。その場合、狭穂毘古はさしずめスーリヤといったところか。
[[乙子狭姫]]はこの女神を元に、もっと新しい時代に書き直された女神ではないかと考える。
== 関連項目 ==
* [[乙子狭姫]]
== 脚注 ==