日本の場合、地方によっては「寿命星」などと呼ばれ、この星が見えなくなると年内に死ぬという言い伝えがある<ref name="nojiri" />。ただし、以前に見えていたアルコルが見えなくなるのは老眼のせいと考えられるため、全く根拠のない迷信とは言い切れない部分もある。また「添え星」という呼び名もあり、それは江戸時代の『節用集』にもあらわれ、後陽成天皇の宸翰『星の圖』にもカタカナで書かれている。野尻抱影は「中国の輔星を訳したものか」と考えた<ref name="nojiri" />。
== 星空における北斗七星 ==
* α星とβ星を結んだ線をα星側に5倍ほど延長するとポラリス(現在の[[北極星]])に突き当たる。このため真北の方角を探すためによく用いられる。
* δ星からη星までの弓なりのカーブを延長すると[[うしかい座]]の1等星アークトゥルスに行き当たり、さらに延ばすと[[おとめ座]]の1等星スピカに届く。この星の並びを「春の大曲線」と呼ぶ。
== 北斗七星にまつわる伝承や民俗 ==
=== 中国 ===
* 張君房の『雲笈七籤』<ref>中国・北宋の道教類書である。成立は真宗の天禧年間(1017年 - 1021年)で、撰者は張君房。</ref>に収録された「道蔵三洞経」には、西王母は太<s>陰</s><ref>管理人はこのようには考えない。</ref>の元気で、姓は自然で字は君思で、下は崑崙の山を治め、上は'''北斗'''を治める<ref>『雲笈七籤』巻十八, 2021/08/21, https://zh.wikisource.org/wiki/%E9%9B%B2%E7%AC%88%E4%B8%83%E7%B1%A4/18#%E7%AC%AC%E5%9B%9B%E7%A5%9E%E4%BB%99, ウィキソース</ref>。北斗七星(おおぐま座)は水を汲む 「斗」 の形をしており、大地を潤す農耕の神のシンボルでもあった<ref>Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%9A%87%E5%A4%A7%E5%B8%9D 天皇大帝](最終閲覧日:22-09-26)</ref>。
* 伏羲に関して。日本では[[ヒョウタン]]から作った柄杓を神事に用いる、ということが一部であるようである。朝鮮では[[ヒョウタン]]で作った器が好まれるし、中国では[[ヒョウタン]]は縁起物であるとのこと。総じて考えると、[[ヒョウタン]]から作り出した器には、何か持ち主に漠然とした幸運を与える、というような思想があったと思われる。また、柄杓に対する信仰は、北斗七星信仰と関連しており、伏羲を北斗七星とみなしていた可能性があると思う。
** [[天皇大帝]]:神格化された北辰(天の北極)のこと。
** [[玉皇大帝]]:道教では最高神を「玉皇大帝」としており、これを星宿における紫微垣にある北極星に同定して「北極紫微大帝」としていた。
* [[良渚文化]]では獣面紋を王権の象徴の「北斗七星」とみなしていたように思う。獣面紋を操る更に上位の「隠れた」神は北極星かあるいはアルコルとみなされたのではないか、と管理人は個人的に考える。
* 中国では'''天帝の乗り物'''と見立てる説や、北斗七星を司る[[北斗星君]]という神がいる他にも、北斗七星の各々の星々に伝説がある<ref name="nojiri"/>。
*:例えば、宋の仁宗皇帝には文の包拯(包青天)、武の狄青の二人の名臣が居たが、この二人はそれぞれδ星(文曲星)、ζ星(武曲星)が仁宗を助けるために天帝の命によって天下ったものであるという伝説が水滸伝に記されている。水滸伝の主人公宋江もα星(天魁星)の天下ったものとされ、そのことから「星主」とも呼ばれている。
=== アジア 東アジア ===
* 韓国では北斗のα星からδ星までをいびつにゆがんだ家と見立て、ε星はそれを建てた大工、ζ星は大工を怒って追いかける家の息子、アルコルは息子の振り上げた斧、η星はあわててそれを止めようと追いかける父親であるとする民話がある<ref name="nojiri"/>。
=== 北米ネイティブ ===* アラビア地方では、棺桶とそれを引く3人の北斗七星はおおぐま座の一部で、北米の先住民たちは北斗七星そのものが森の精によって空に放り投げられた[[泣き女クマ|熊]]に北斗七星を喩えたであると考えていた。尻尾が長いのは、森の精が尻尾をつかんで振り回したため伸びてしまったからとされている<ref name="nojiri"/>。また、熊は桝部分の4星で、柄の3星と[[うしかい座]]の星々はそれを追う鳥の猟師とする伝承もある<ref name="nojiri"/>。
=== 日本 ===
* 福岡県北部の一部海岸などでは、北斗七星が響灘の水平線ぎりぎりをかすめて動くように見える。これは北緯33~34度ぐらいの、北に海を臨む地域で、9~11月に限り見られる現象で、天文学者の平井正則(福岡教育大学名誉教授)が「北斗の水くみ」と1990年に命名した。市民の娯楽や観光に生かすため、宗像市が「北斗の水くみ海浜公園」を、岡垣町が観光ステーション「北斗七星」を開設している<ref>【イキイキ地域】福岡県岡垣町/北斗七星が輝く街 発信『日経MJ』2017年12月18日(街づくり面)</ref>。
===欧米 中近東 ===* 北斗七星はおおぐま座の一部で、北米の先住民たちは北斗七星そのものが森の精によって空に放り投げられた古代メソポタミアでは、北斗七星はエンリルの乗り物と考えられていた。* アラビア地方では、棺桶とそれを引く3人の[[クマ|熊泣き女]]であると考えていた。尻尾が長いのは、森の精が尻尾をつかんで振り回したため伸びてしまったからとされているに北斗七星を喩えた<ref name="nojiri"/>。また、熊は桝部分の4星で、柄の3星と[[うしかい座]]の星々はそれを追う鳥の猟師とする伝承もある<ref name。 === ヨーロッパ ==="nojiri"/>。* ヨーロッパでは'''荷車'''にもたとえられる。le grand chariot(仏、la grande casserole <大鍋>とも)、der casserole(大鍋)とも)、der Große Wagen(独)、el Carro Mayor(西)、il Grande Carro (または il Gran Carro)(伊)など。** [[タラニス]]:「車の車輪」の意匠は北斗七星に関連したものなのではないだろうか。
* ラテン語では triones(耕牛)または「septem」(7)を加えた septentriones(いずれも複数形)と呼ぶが、本来は牛のひく犁を意味している。[[こぐま座]]の七星も含まれる<ref>http://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus%3Atext%3A1999.04.0059%3Aentry%3DTriones, triones, A Latin Dictionary, Charlton T. Lewis, Charles Short, Oxford, Clarendon Press, 18779(ペルセウス電子図書館)</ref>。septentriones は一般に北を意味する語として、古地図にしばしば現れる。
== 星空における北斗七星 ==
* α星とβ星を結んだ線をα星側に5倍ほど延長するとポラリス(現在の[[北極星]])に突き当たる。このため真北の方角を探すためによく用いられる。
* δ星からη星までの弓なりのカーブを延長すると[[うしかい座]]の1等星アークトゥルスに行き当たり、さらに延ばすと[[おとめ座]]の1等星スピカに届く。この星の並びを「春の大曲線」と呼ぶ。
== 北斗七星に由来する事物 ==
== 関連項目 ==
* [[西王母]]
* [[伏羲]]
** [[北斗星君]]
== 参考文献 ==
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%96%97%E4%B8%83%E6%98%9F 北斗七星](最終閲覧日:22-12-06)
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%AB アルコル](最終閲覧日:22-12-06)