その時に、ある一つの穴に共に棲んでいた一頭の虎と熊が人間になりたいと訴えたので、桓雄は、ヨモギ一握りと蒜(ニンニク)20個を与え、これを食べて'''100日の間太陽の光を見なければ'''<ref>これは日本神話と比較すれば天照大神の「岩戸隠れ」に対応するものだと考える。一定期間の「籠もり」とその後の「再生」はトーテムが熊であれば、「冬ごもり」を指すのだろうと思われ、興味深い。</ref>人間になれるだろうと言った。ただしニンニクが半島に導入されたのは歴史時代と考えられるのでノビルの間違いの可能性もある。
虎は途中で投げ出し人間になれなかったが、熊は21日目に女の姿「熊女」(ゆうじょ)になった。配偶者となる夫が見つからないので、再び桓雄に頼み、桓雄は人の姿に身を変えてこれと結婚し、一子を儲けた。これが檀君王倹(壇君とも記す)である。虎は途中で投げ出し人間になれなかったが、熊は21日目に女の姿「[[熊女]]」(ゆうじょ)になった。配偶者となる夫が見つからないので、再び桓雄に頼み、桓雄は人の姿に身を変えてこれと結婚し、一子を儲けた。これが檀君王倹(壇君とも記す)である。
檀君は、堯(ぎょう)帝が即位した50年後に平壌城に遷都し朝鮮と号した。以後1500年間朝鮮を統治したが、周の武王が朝鮮の地に殷の王族である箕子を封じたので、檀君は山に隠れて山の神になった。1908歳で亡くなったという。
散逸した文献には、'''桓雄の孫娘が薬を飲んで人間になって、檀樹神と婚姻して檀君が生まれた'''とあったとされる。このように
父親(祖父)-娘(と婿の檀樹神)-孫父親(祖父)-娘・熊女(と婿の檀樹神)-孫
という形式の神話は、賀茂氏の祖神神話と共通している。それは
という系図も類似しているように思う。これらの系図の共通点は、父親の妻(娘である女神の母)の存在が非常に希薄である点だと思う。熊女と玉依姫の母の存在は明確にされていない。天照大神にはイザナミという母親がいるが、イザナミは黄泉の国にいるので、通常の神々の世界には関わらない。
また、「檀樹神」というと須佐之男には樹木神としての性質があるので、より須佐之男との類似性が高まるように思う。とすると、洞窟に籠もる所が天照大神と共通しているし、熊女には本来「太陽女神」としての性質も存在したのではないだろうか。西欧の民話には熊が異界の火の持ち主である、というものもある。須佐之男には「泣き喚く神」として雷神のような性質もあるし、檀君神話、賀茂神話、日本神話のそれぞれの関連性が興味深いといえる。
== 参考文献 ==
== 関連項目 ==
* [[棄老朱蒙]]
* [[后稷]]
* [[五十猛神]]
* [[棄老]]
== 私的注釈 ==
{{DEFAULTSORT:たんくんしんわ}}
[[Category:朝鮮神話]]
[[Category:踏まれない神]]
[[Category:樹木信仰]]
[[Category:岩戸型]]