差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
4,844 バイト追加 、 2024年11月18日 (月) 23:14
編集の要約なし
ただし、[[ラーフ]](首)と[[ケートゥ]](胴体)の組み合わせは、印欧語族の神話の中でも、その姿は一致しない。北欧神話では、日月食を起こすのは[[スコル]]と[[ハティ]]という狼である。管理人は名前の子音から、おそらく[[スコル]]と[[ハティ]]の組み合わせがインド神話の[[ラーフ]]と[[ケートゥ]]に相当すると考える。彼らは黒耳のように明確に犬型を取る。ただし、誰か狩人の主人を持っているわけではない。ただ彼らの上位に来る神としてロキという狡猾な神が存在する。また[[マーナガルム]]という母狼を持つ。この母狼の名には「gm」という子音が含まれ、印欧祖語の「火」に関連した名前ではないのか、と管理人は考える。ギリシア神話の[[アリアドネー]]や[[アルテミス]]に繋がる名前である。
またギリシア神話では、[[ラーフ]](首)と[[ケートゥ]](胴体)の組み合わせは子音より[[オーリーオーン]]と[[アクタイオーン]]に相当すると管理人は考える。いずれも犬ではなく「'''狩人'''」として現され、[[アルテミス]]に関連して罰を受け死ぬ。中国神話の黒耳が[[嫦娥]]に関連して天に昇る(すなわち人外のものとなり、人としては死ぬ)点と類似している。[[オーリーオーン]]は好色で粗暴な巨人として描かれる。[[アクタイオーン]]は鹿の姿に変えられ、自らの猟犬に食い殺される。その点は飼い犬の黒耳に裏切られて妻を飲み込まれてしまう[[羿]]にも似るように思う。中国やインドの神話では明らかに人とは区別される怪物であった[[ラーフ]](首)と[[ケートゥ]](胴体)が何故ギリシア神話では人型として語られるのだろうか。(胴体)が何故ギリシア神話では人形として語られるのだろうか。もしかしたら、古代中国の段階で、'''[[蚩尤]]'''という死者を、その死後神格化するにあたり、様々な試行錯誤がなされたのかもしれないと思う。その過程で
* 死した[[蚩尤]]が「[[不老不死の薬|不老不死]]」であるとして、それまでの精霊神と同格のものとして生きているかのように扱うこと。* [[蚩尤]](すなわち[[炎帝神農|炎帝]])が悪者になり過ぎないように、英雄である[[黄帝]]に寄せた人物とすること。([[黄帝]]との兄弟説など)* [[黄帝]]を英雄にしすぎず、上意(神の意)に逆らった者、としての性質を強めるため、羿という「反逆者」を[[黄帝]]から分離して創設すること。* [[黄帝]]の事績の内、[[人身御供]]を抑制する、という事績を削除し、逆に[[炎帝神農|炎帝]]系の[[人身御供]]を伴う治水を正当化すること。** [[黄帝]]の後継者である[[啓]]について、[[祝融]]という「'''火の神'''」の役割を新たに創設すること。これは[[啓]]が[[炎帝神農|炎帝]](太陽)の後継者であることを示すためである。** [[啓]]やそれに関連する人々は[[黄帝]]になぞらえて「怪物退治」を行った、とすること。これは[[啓]]が[[黄帝]]の後継者であることを示すためである。[[炎帝神農|炎帝]]を[[黄帝]]に寄せる作業と共に、[[啓]]を[[黄帝]]に寄せる作業も行われたように思う。* [[嫦娥]]は本来[[アリアドネー]]のように[[炎帝神農|炎帝]]と[[黄帝]]の双方に妻的立場として存在していたはずだが、[[黄帝]]と[[炎帝神農|炎帝]]の神話からはその存在が消去された。** その代替として、[[黄帝]]の側には[[黄帝]]を助ける九元天女の存在が付加された。[[嫦娥]]は一族の中で「神の代理人」とされるような「現人神」のような立場の女性だったのではないか、と管理人は考える。** [[黄帝]]と[[炎帝神農|炎帝]]を類似した存在とするために、神話的な[[嫦娥]]の立場は3分された。一つは[[人身御供]]を行うような悪者を助ける「悪しき女神」あるいは、兄弟を助ける一族郎党に忠実な女神としての[[嫦娥]]である。ギリシア神話的には、兄と仲が良く、兄を助ける[[アルテミス]]女神が相当する、といえる。** もう一方は本来の、人身御供の抑制を目論む夫を助ける嫦娥である。この場合は九元天女のように英雄を助ける女神として現されたり、夫を助ける心優しい女神としての嫦娥となる。まさにギリシア神話の[[アリアドネー]]である。** 3つめは、アンドロメダーのように「[[人身御供]]」とされる[[嫦娥]]である。あるいは、子供の[[火之迦具土神]]に焼き殺される[[伊邪那美命]]として表現される。 等の作業が必然とされた、と推察される。そのため、[[黄帝]]と[[炎帝神農|炎帝]]の性質を混ぜて、どちらともつかないような神や英雄が作り出されて各地に伝播しているようにも思う。日本の[[猿神退治]]も全体の趣旨としては[[人身御供]]の抑制を求める[[テーセウス]]的な物語なのだが、中国神話では悪しき猿神を倒すのは[[啓]]とされている。日本の[[猿神退治]]は[[テーセウス]]的な牛神退治の「牛神退治」の部分を「[[猿神退治]]」に置き換えて[[黄帝]]と[[啓]]を合成したものなのである。 ギリシア神話の[[オーリーオーン]]と[[アクタイオーン]]が「狩人」として現されているのは、[[蚩尤]]を[[黄帝]]のような人物とするために意図的に合成して作られた神話が伝播したものなのではないだろうか。しかし、結局彼らが何らかの罰を受けて殺されてしまうのは、彼らの本来の姿が[[蚩尤]]であったからではないか、と思う。[[蚩尤]]を死後も神霊的存在として扱うために、神話的な[[蚩尤]]もまた死なねばならぬ必然性を生じたと思われる。(死なねば神話の上で「死者が変化した神」として扱えないからである。) そのため、日本の早太郎は羿と「同じもの」であり、羿のトーテムといえる。中国神話の[[天狗(中国)|天狗]]である黒耳は羿のトーテムを借りただけの蚩尤(饕餮)であって、早太郎と黒耳ではその行動も異なるのである。である黒耳は羿のトーテムを借りただけの[[蚩尤]]([[饕餮]])であって、早太郎と黒耳ではその行動も異なるのである。
== 私的解説・羿と犬他 ==
日本には早太郎のように羿のトーテムと考えられる伝承があるのだから、中国にも類似した伝承があるのではないだろうか。これがこの項の出発点である。中国神話には[[盤瓠]]という霊犬が敵を倒し、王女を妻とした、という逸話がある。「敵を倒す」という点は羿にも[[黄帝]]にも通じる。また「王女を妻とする」点はギリシア神話の[[テーセウス]]に似る。日本の[[猿神退治]]でも、助けた娘と結婚するという物語がある。よって、ギリシア神話を併せて考えれば、羿は[[黄帝]]でもあり、[[盤瓠]]もある、となる。そして日本の伝承の早太郎が[[盤瓠]]に相当する「犬」なのである。
それにしても、中国神話では何故、羿の物語の「黒耳」が、インド神話の[[炎帝神農|炎帝ケートゥ]]に相当して、「暗黒で普段は見ることはできない」ものだとすると、[[黄帝ラーフ]]が「兄弟」であるとしてしまっていたり、羿の分身とも言える彼の飼い犬が「黒耳」というに相当するものは何なのか、ということになる。中国の[[蚩尤天狗(中国)]]を変化させたものに置き換わっているのだろうか。羿神話、ギリシア神話のも本来は彗星や流星を指す言葉であった。インド神話の[[テーセウスケートゥ]]、日本のには彗星としての性質もあったようである。もしかしたら、古代の人々のイメージとしては、彗星や流星は規則的に現れるものではないので、姿が見えている時は「明るく輝くもの」なのだが、それ以外の時は「暗くて見えないもの」であって、天空を不規則にさまよっているもの、と考えていたのかもしれないと思う。姿が見えていない時に存在していないのではなくて、人知れず存在して日や月を襲う隙を窺っているのである。とすれば、「見えてない」ときの姿が[[猿神退治ケートゥ]]を比較してみると、容易に一つの事実に気がつく。中国神話には「で、「見えている」ときの姿が[[人身御供ラーフ]]」と関連した要素がほとんど含まれないのである。でも良いのではないだろうか。この2つはスイッチが切り替わるように入れ替わるもの、と考えられていたのかもしれない、と想像する。[[黄帝天狗(中国)]]は[[炎帝神農|炎帝]]をその失策により戦って失脚させた、という内容が史記に書かれているが、具体的な失策の内容は書かれていない。羿は[[炎帝神農|炎帝]]に相当すると思われる「複数の太陽」を、その無秩序な天空への登場を止めるために射落としたが、太陽が[[人身御供]]を求めたゆえ、に射落としたとはされていない。 中国の歴史・文化を見ると、揚子江の川の神は[[炎帝神農|炎帝]]型、すなわち牛型であり、黄河の川の神は龍蛇型である、ということだが、どちらも治水のために[[人身御供]]を求める神である。その点で両者に違いがあるようには思われない。にも目に見える彗星のように「白く輝く姿」と、目には見えない「黒耳」のような姿があったのではないだろうか。
== 参考文献 ==
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%BF 羿](最終閲覧日:22-10-30)
* Wikipedia: [https://zh.wikipedia.org/zh-hk/%E5%A4%A9%E7%8B%97_(%E4%B8%AD%E5%9C%8B) 天狗 (中國)](中国語版、最終閲覧日:22-10-30)
* [https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/journal/HUStudGradSchLett/62/--/article/16304 龍と鯉・馬・牛・羊・鹿・犬の関係]、李国棟、広島大学大学院文学研究科論集 62巻、2002-12-27、p13
== 関連項目 ==
** [[グミヤー]]:プーラン族の[[黄帝]]かつ[[羿]]。太陽は女神とされる。男神は月である。
** [[ニムロド]]
* [[桂男]]:樹木神と戦い続ける点が一致している。
* [[禹]]
[[Category:黄帝型神]]
[[Category:羿型神|*]]
[[Category:弓矢]]
[[Category:狩人]]

案内メニュー