一部の伝承によると、取り替え子は人間の子供より知能がはるかに優れていたことから、見破ることは可能であった。ある時取り替え子であることが見破られると、その子の両親が子供を連れ戻しにやってきた。グリム兄弟の民話の一つでは、我が子が取り替え子にすり替えられたのではと疑った女が、木の実の殻の中でビールを醸し始めた。取り替え子はうなった。『おいらは森の中のオークの木と同じくらいの年だけれど、木の実の殻の中でビールを醸すなんて見たことがない。』そういうと、彼はたちまち消え失せた<ref name="briggs71" />。
取り替え子は時に召使いの仕事を手伝ってくれて、「[[家付精霊]]」のように振る舞うものもいた<ref>妖精の誕生、カイトリー、市場泰男訳、社会思想社、教養文庫、1989年、189-191p</ref>。
==取り替え子の目的==
スウェーデンでの取り替え子の物語には<ref>The tale is notably retold by Selma Lagerlöf as ''[http://runeberg.org/troll1/bortbyt.html Bortbytingen]'' in her 1915 book ''[http://runeberg.org/troll1/ Troll och människor]''.</ref>、トロールの子供が人間の農場で育ち、人間の子供がトロールの元で育ったというものがある。誰もが人間の母親に、トロールにもう一度子供を取り返させるために、取り替え子に辛く当たるよう忠告した。しかし女は、人間の子としては適応出来ないものの罪のないトロールの子をそのように扱う事を拒み、我が子であるかのように扱った。結局、彼女の夫はこれ以上トロールの子供を養うことはできないと、妻と別れることにした。妻は取り乱したが、たとえトロールであっても無実の子を捨てることなどできなかったため、夫が去ることを許した。夫が遠く離れた森の中を歩いていくと、実の息子と出会い、彼からトロールから解放されたと聞かされた。トロールが人間にひどい扱いをされそうになる度に、彼のトロールの母は人間がトロールを扱うように彼を扱おうとした。しかし彼の母親が最も愛しい夫を犠牲にしたとき、トロールの母親は、彼らの支配力が人間の母親に及ばず、子を解放せざるをえないことを悟ったのである。
別のスウェーデンの妖精話がある<ref>The tale is notably retold by Helena Nyblom as ''[http://hem.passagen.se/kurtglim/del1i/ Bortbytingarna] , https://web.archive.org/web/20051123183222/, http://hem.passagen.se/kurtglim/del1i/ , 2005年11月23日 '' in the 1913 book ''Bland tomtar och troll'' , http://www.johnbauersmuseum.nu/visa_saga.php?saga=5 , アーカイブされたコピー , 2005年8月1日 , https://web.archive.org/web/20051028175956/http://www.johnbauersmuseum.nu/visa_saga.php?saga=5 , 2005年10月28日 , 2017年9月 ''.</ref>。人間のお姫さまが誘拐され、トロールの母親の願いに反してトロールの娘と取り替えられた。取り替え子は新たな両親のもとで育ち、どちらも若く美しい女性になったが、どちらの親も馴染ませるのに大変苦労をした。人間の少女はトロールの王子で未来の花婿を忌み嫌った。またトロールの少女は、自分の生活と退屈な未来の花婿に飽き飽きしていた。偶然の巡り合わせで、少女たちは森へ迷い込み、互いに見知ることなくすれ違って、互いの生活を覆すこととなった。お姫さまが城へやってくると、王妃は一目で娘だとわかり、トロールの少女は自分がそうするように大声で吼えるトロールの女を見つけた。トロールの少女は、トロール女が今まで見たどんな人間よりもおもしろいと思い飛び出し、トロールの母親は実の娘の帰還が真実とわかって喜んだ。少女はどちらも同じ日に結婚式を挙げた。
=== ウェールズ ===
多くの取り替え子の伝説の陰には、現実にはしばしば奇形児や知的障害児の誕生があった。多種多様な取り替え子の記述は、多くの病の症状、二分脊椎症、嚢胞性線維症、フェニルケトン尿症、プロジェリア症候群、ウィリアムズ症候群、ハーラー症候群、ハンター症候群、脳性麻痺と合致する。男児の出生欠陥の大半の傾向は、男の赤ん坊の方がより連れ去られそうに思われていたという迷信と関連づけられる<ref>Silver (1999) p. 75</ref>。
記載があるように、取り替え子伝承は正常に成長しない子供たちの特異性を説明するために、発展し、少なくとも用いられてきたと仮説されてきた。おそらく、成長の遅れや異常のある症状も多種に含まれていただろう。特に、自閉症児は取り替え子や、その不可思議さや時に説明しがたい振る舞いから、エルフの子というレッテルを貼られがちであった。これは自閉症文化で見受けられる。一部の高い知能を持つ自閉症の大人は、取り替え子と同一視されてきた(またはエイリアンのような交換者)。この理由からと、自分の世界の中で彼ら自身の感情が、周りの普通の生き物には自分たちは属せず、実質的に同じようになれないのだ、と感じるようになった<ref>Kim Duff, ''The Role of Changeling Lore in Autistic Culture'', presentation at the 1999 [http://www.ani.ac/aut99.html Autreat] conference of [http://www.ani.ac/ Autism Network International]</ref>。記載があるように、取り替え子伝承は正常に成長しない子供たちの特異性を説明するために、発展し、少なくとも用いられてきたと仮説されてきた。おそらく、成長の遅れや異常のある症状も多種に含まれていただろう。特に、自閉症児は取り替え子や、その不可思議さや時に説明しがたい振る舞いから、エルフの子というレッテルを貼られがちであった。これは自閉症文化で見受けられる。一部の高い知能を持つ自閉症の大人は、取り替え子と同一視されてきた(またはエイリアンのような交換者)。この理由からと、自分の世界の中で彼ら自身の感情が、周りの普通の生き物には自分たちは属せず、実質的に同じようになれないのだ、と感じるようになった。
=== 発育不全 ===
幼児の発育不全を伴う診断には、取り替え子の記載と符合する育児放棄の歴史がない。これが診断を圧迫することとなり、人は発育不全児の影響外でおこった事において、どのように見ることもたやすいことだった。
==参考文献私見 ==「取り替え子」の伝承の起源の一つに、何らかの障害を持って生まれた子供が、普通に成長しないことを神話的に説明したものである、ということは古代の人が、理解しがたい「発育不全の子供」を説明しようとしたもの、として容易に理解できる。人は自分では理解できないものに、神秘的な要素を持たせて説明しようとしがちである。 ただ、障害があったり、それ故の発育不全がある子供は、長生きしないことも多く、食欲も旺盛とは言いがたい面があると思う。'''食欲が旺盛である'''、とか'''性格が良くない'''とか、そのような「取り替え子」の「お約束」ともいえる性質は、自然発生的な障害児のみによるのではなく、'''饕餮'''のように、何らかの特定の神を基にした神話的起源も含まれるのではないか、と思う。 == 取り替え子が登場する民話・伝承 ===== スカンディナヴィア ===* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=185 とりかえ子]:トロールの子 === スコットランド ===* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=226 とりかえ子]:フェアリーの子 === ドイツ ===* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=202 とりかえ子]:ドワーフの子 === 大人が取り替えられる物語 ===* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=237 盗まれた牡牛]:スコットランド:フェアリーによる誘拐:女性が死体とすり替えられて召使いにされる。 === 誘拐系 ===人間が取り替えられるのではなく、単に異界の者に誘拐されて働かされる話。* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=258 ペテル・デ・カビナムの娘]:カタロニア* [http://bellis.sakura.ne.jp/k/tegalog.cgi?postid=163 山のこびと]:レートロマン
== 関連項目 ==
* [[妖精]]
* [[ドワーフ]]
* [[トロール]]
* [[求産婆]]
* [[すり替え人]]
* [[身代わり動物]]
* [[コルンムーメ]]:子供をさらうゲルマンの女神。
** * [[ヴィシャップ]]:子供をさらうアルメニアの女神。
== 参考文献 ==
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%9B%BF%E3%81%88%E5%AD%90 取り替え子](最終閲覧日:22-03-22)
* 妖精の誕生、カイトリー、市場泰男訳、社会思想社、教養文庫、1989年
==外部リンク==
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[[Category:ゲルマン神話]]
[[Category:取り替え子|*]]