多頭のワイバーンの図像も存在する。
スコットランドの[[:en:Earl of Panmure|パンミュレ伯爵]]のマウル家の紋章は、胴体の前後から首が生えた火を噴く二足の竜をクレストとして採用しており、これは スコットランドのパンミュレ伯爵のマウル家の紋章は、胴体の前後から首が生えた火を噴く二足の竜をクレストとして採用しており、これは "a wyvern with two heads" という紋章記述によって表現される{{Harv|Deuchar|1817}}という紋章記述によって表現される(Deuchar、1817){{refnest|<ref>マウル家の紋章は他にも様々な紋章記述で残されている。"dragon with two heads" とする文献や、"a wyvern, emerald, spouting fire before and behind"とする文献{{Harv|Kimber|1767}}も存在する。後者を再現した図像は、口と尾両方の先端から炎を吐くワイバーンとして描かれている。}}。多頭のワイバーンの図像は、何か特殊な事柄を表現している場合がある。イギリス陸軍の最高司令官を務めた[[:en:John Wilsey|ジョン・ウィルシー]]の紋章には左右で青と赤に塗り分けられた双頭のワイバーンがクレストとして使用されている。彼の軍人としての経歴はデヴォンシャー・アンド・ドーセット連隊から始まったため、彼はワイバーンの双頭で[[デヴォン]]と[[ドーセット]]を表現している{{Harv|The とする文献(Kimber、1767)も存在する。後者を再現した図像は、口と尾両方の先端から炎を吐くワイバーンとして描かれている。</ref>。多頭のワイバーンの図像は、何か特殊な事柄を表現している場合がある。イギリス陸軍の最高司令官を務めたジョン・ウィルシーの紋章には左右で青と赤に塗り分けられた双頭のワイバーンがクレストとして使用されている。彼の軍人としての経歴はデヴォンシャー・アンド・ドーセット連隊から始まったため、彼はワイバーンの双頭でデヴォンとドーセットを表現している(The Heraldry Society|2008}}。アメリカ陸軍第41野砲兵連隊の紋章のクレストは多頭かつ翼のないワイバーンだが、この四つの頭は第二次大戦における連隊の Society、2008)。アメリカ陸軍第41野砲兵連隊の紋章のクレストは多頭かつ翼のないワイバーンだが、この四つの頭は第二次大戦における連隊の "four spearhead attacks" を意味している{{Harv|TIOH|n.d. b}}。を意味している(TIOH)。
ワイバーンの下半身を魚のそれに置き換えた物をシーワイバーン、あるいはシードラゴンと呼ぶ。シーワイバーンは現在ウェストドーセットで、大紋章のクレストや[[サポーター (紋章学)|サポーター]]などに用いられている<ref>ウエストドーセットの大紋章は[http://www.ngw.nl/heraldrywiki/index.php?title=West_Dorset こちら](外部サイト)で確認できる。</ref>。人魚やシーライオン等とは異なり、ワイバーンの場合は下半身を魚に置き換えても全体の輪郭は大きく変わらない。そのため紋章官にも区別がつかないことがあるのか、[[アイルランド]]の[[:en:Viscount Taaffe|ターフェ子爵]]の紋章は "wyvern, or sea-dragon" という紋章記述で記録されている{{Harv|Kimber|1768}}。
イタリアの貴族[[:it:Busdraghi|ブスドラーギ家]]の紋章は頭巾を被った人面の二足の竜を用いている。この図像はイングランドでは"wyvern with a human face"と記録されたが、ワイバーンとドラゴンを区別しないイタリアではドラゴンと記録されている
{{Harv|Ménestrier|1696}}。
{| class="wikitable" style="text-align: center; margin: 1em auto 1em auto;"
|[[File:Wyvern sans wings.png|Wyvern sans wings]]
|[[File:Wyvern sans legs.png|Wyvern sans legs]]
|[[File:CREST-OF-066-Armor-Regiment-COA.png|100 px]]
|[[File:Wyvern with two heads.png|Wyvern with two heads]]
|[[File:Crest_of_41FA_Coat_of_Arms.svg|100 px]]
|-
|wyvern sans wings
|wyvern sans legs
|米陸軍<br />第66機甲連隊の<br />クレスト
|マウル家のクレスト
|米陸軍<br />第41野砲兵連隊の<br />クレスト
|}
== 怪物としてのワイバーン ==
{{節スタブ}}
前節までで述べた通りワイバーンは紋章学の中で発展した存在であるため、その起源となるような伝説や神話は存在しない。ワイバーンがいつ紋章学の中に限定されず想像上の怪物として扱われるようになったのかははっきりしていない。しかし傍証となる文献は残されている。{{Harvtxt|Phillips|1678}}による辞書には、当時ワイバーン<ref>原文ではワイバー。ここではワイバーンの意味{{Harv|Simpson|1989}}。</ref>は紋章学以外の分野では殆ど知られていなかったと記されている。また、''History of Durham''は1700年以前に書かれたとされる[[:en:Sockburn_Worm|ソックバーンのワーム]]という怪物についての写本を引用している。この写本中でワイバーンはこのワームの異名の一つとして用いられており、オックスフォード英語辞典はこれを「怪物としてのワイバーン」の初出文献であるとしている{{Harv|Simpson|1989}}。