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[[画像:面掛行列(天狗).jpeg|thumb|350px|天狗面を被った猿田彦役<br />面掛行列(御霊神社 (鎌倉市))]]
'''サルタビコノカミ'''、または'''サルタヒコノカミ'''は、日本神話に登場する神。
邇邇芸命が天降りしようとしたとき、天の'''八衢'''(やちまた。道がいくつもに分かれている所)に立って高天原から葦原中国までを照らす神がいた。『日本書紀』では、その神の鼻の長さは七咫(ななあた)、背(そびら)の長さは七尺(ななさか)、目が八咫鏡(やたのかがみ)のように、また赤酸醤(あかかがち)のように照り輝いているという姿であった。そこで天照大御神と高木神は天宇受売命(あめのうずめ)に、その神の元へ行って誰であるか尋ねるよう命じた。その神が国津神の猿田毘古神で、邇邇芸命らの先導をしようと迎えに来た。
邇邇芸命らが無事に葦原中国に着くと、邇邇芸命は天宇受売命に、その名を明らかにしたのだから、猿田毘古神を送り届けて、その名前をつけて仕えるようにと言った<ref group="私的注釈私注">猿神とは生贄を求める神でもあるので、天宇受売命は猿田毘古に対する生贄となった、という見方ができなくはないだろうか。また、神殿娼婦と交わって人間になった、というメソポタミア神話の野人エンキドゥを思わせる場面でもある。</ref>。そこで天宇受売命は「猿女君」と呼ばれるようになったという。なお、『日本書紀』では、猿田彦が天鈿女命(あめのうずめ)に自分を送り届けるように頼んだとなっている。猿田毘古神は故郷である伊勢国の五十鈴川の川上へ帰った<ref group="私的注釈私注">猿田毘古が川の神であることを思わせる記述でもあるように思う。</ref>。
猿田毘古神は伊勢の阿邪訶(あざか。旧一志郡阿坂村、現松阪市)の海で漁をしていた時、比良夫貝(ひらふがい)に手を挟まれ、溺れる。この際、海に沈んでいる時に「底度久御魂」(そこどくみたま)、猿田毘古神が吐いた息の泡が昇る時に「都夫多都御魂」(つぶたつみたま)、泡が水面で弾ける時に「阿和佐久御魂」(あわさくみたま)という三柱の神が生まれた。この時に海中で溺れた際に生じた泡の三柱の神は阿射加神社(三重県松阪市大阿坂と小阿坂に2社存在する)に現在は鎮座されている。 
こうしたことから近年は、謎の神として鎌田東二などの学者にクローズアップされている。鎌田は、サルタヒコとアメノウズメの協働を国津神であるサルタヒコの裏切りではなく、新しい日本の体制を開くための和睦と解釈し、サルタヒコを日本的霊性の現像ととらえている<ref>[https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900023199/kamata31.pdf 「日本的霊性」を問い直す]鎌田東二、千葉大学公共研究 第3巻第1号(2006 年6月)</ref>。
[[常陸国]]の住人に[[猿田氏]]があり、猿田彦の末裔であるとされる。前述の椿大神社と猿田彦神社の宮司もともに[[鎌倉時代]]以降、猿田彦の神孫と称する。 現代でも小説や漫画などの創作物の登場人物として用いられる。例えば[[手塚治虫]]の『[[火の鳥 (漫画)|火の鳥]]』シリーズには、「猿田」もしくは「猿田彦」という人物が多く登場する。それらの多くが、鼻が大きいという身体的特徴を持っている。常陸国の住人に猿田氏があり、猿田彦の末裔であるとされる。前述の椿大神社と猿田彦神社の宮司もともに鎌倉時代以降、猿田彦の神孫と称する。
== 猿田毘古神を祭神とする神社 ==
=== 同名の神社 ===
* [[庚申塚]](全国各地)庚申塚(全国各地)** [[巣鴨庚申堂]](東京都豊島区)巣鴨庚申堂(東京都豊島区)** [[庚申社]](福岡県直方市)庚申社(福岡県直方市)* [[白鬚神社 (曖昧さ回避)|白鬚神社]](全国各地、神社によって「白髭」「白髯」「白髪」)白鬚神社(全国各地、神社によって「白髭」「白髯」「白髪」)** [[白鬚神社]](総本宮:滋賀県高島市)白鬚神社(総本宮:滋賀県高島市)* [[猿田彦神社 (曖昧さ回避)|猿田彦神社]](全国各地)猿田彦神社(全国各地)** [[猿田彦神社]](総本宮:三重県伊勢市)猿田彦神社(総本宮:三重県伊勢市)** [[猿田神社]] ([[千葉県]][[銚子市]])(千葉県銚子市)** [[猿田彦神社 (掛川市高瀬)|猿田彦神社]]([[静岡県]][[掛川市]])猿田彦神社(静岡県掛川市)** [[尾張猿田彦神社]] ([[愛知県]][[一宮市]])(愛知県一宮市)** [[三光稲荷神社 (犬山市)|犬山猿田彦神社]] (愛知県[[犬山市]])(愛知県犬山市)** [[猿田彦神社 (奈良市)]] (道祖神社) ([[奈良県]][[奈良市]])(奈良県奈良市)** [[猿田彦神社 (福岡市)]] ([[福岡県]][[福岡市]][[早良区]])(福岡県福岡市早良区)
=== 三重県 ===
* [[二見興玉神社]](三重県伊勢市二見町)二見興玉神社(三重県伊勢市二見町)* [[椿大神社]](総本宮:三重県鈴鹿市)椿大神社(総本宮:三重県鈴鹿市)** [[都波岐神社・奈加等神社]](三重県鈴鹿市)都波岐神社・奈加等神社(三重県鈴鹿市)* [[阿射加神社]](三重県松阪市大阿坂)阿射加神社(三重県松阪市大阿坂)
* 阿射加神社(三重県松阪市小阿坂)
=== その他(三重県以外)===
*[[太田山神社]](北海道久遠郡せたな町)太田山神社(北海道久遠郡せたな町)*[[鼻節神社]](宮城県七ヶ浜町)鼻節神社(宮城県七ヶ浜町)
* 菅布禰神社(福島県郡山市)
* 御園神社(東京都大田区西蒲田)
* [[籠祖神社]](東京都千代田区[[神田神社]]境内社)籠祖神社(東京都千代田区神田神社境内社)
* 男石神社(長野県上田市殿城)
*[[佐那武神社]](石川県野々市市)*[[本土神社]](岐阜県多治見市)* [[長澤神社]](岡山県井原市大江町)長澤神社(岡山県井原市大江町)* [[塩屋神社]](広島県広島市)塩屋神社(広島県広島市)* [[佐太神社]](島根県松江市)佐太神社(島根県松江市):- 神社では「佐太御子大神」となっており、母は[[神魂命]]の子の[[キサガイヒメ・ウムギヒメ|枳佐加比売命]]、[[加賀の潜戸]]で生まれたと『[[出雲国風土記]]』にある。神社では「佐太御子大神」となっており、母は神魂命の子の枳佐加比売命、加賀の潜戸で生まれたと『出雲国風土記』にある。
* 椋神社([[埼玉県]][[秩父市]]下吉田)秩父吉田の龍勢祭などで有名です。椋神社(埼玉県秩父市下吉田)秩父吉田の龍勢祭などで有名です。
* [[大麻比古神社]] (徳島県鳴門市大麻町)* [[荒立神社]](宮崎県西臼杵郡高千穂町)荒立神社(宮崎県西臼杵郡高千穂町)
== 道祖神 ==
天孫降臨の際に道案内をしたということから、道の神、旅人の神とされるようになり、[[道祖神]]と同一視された。そのため全国各地で[[塞の神]]・道祖神が「猿田彦神」として祀られている。この場合、妻とされる天宇受売神とともに祀られるのが通例である。天孫降臨の際に道案内をしたということから、道の神、旅人の神とされるようになり、道祖神と同一視された。そのため全国各地で塞の神・道祖神が「猿田彦神」として祀られている。この場合、妻とされる天宇受売神とともに祀られるのが通例である。
== 参考図書 ==
* Wikipedia:[[飯田道夫]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%8E%E3%83%92%E3%83%9C%E3%82%B3 サルタヒコ]『サルタヒコ考 (最終閲覧日:22-09-22)** 飯田道夫『サルタヒコ考 ― 猿田彦信仰の展開』(臨川書店、1998年)
== 関連項目 ==
{{ウィキポータルリンク|神道|* [[無支祁]]* [[画像:Shinto torii icon vermillion.svg|40px|Portal:神道猿神]]}}* [[伊勢神宮八俣遠呂智]]
== 外部リンク ==
* [https://www.sarutahikojinja.or.jp/ 猿田彦神社]
* {{Kotobank|, [https://kotobank.jp/word/%E7%8C%BF%E7%94%B0%E5%BD%A6%E7%A5%9E-512504 猿田彦命}}]
== 私的注釈 ==
<references group="私的注釈私注"/>
== 脚注 ==
{{デフォルトソート:さるたひこ}}
[[category:日本神話]]
[[Category:河川神]]
[[Category:猿神]]
[[category:スケープゴート]]

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