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'''猿投窯'''(さなげよう)は、愛知県名古屋市東部から豊田市西部、瀬戸市南部から大府市および刈谷市北部の、約20km四方に集中する1000基を越す古窯跡の総称。日本三大古窯の1つ。'''猿投山窯'''、'''猿投山西南麓窯跡(址)群'''とも呼ばれる。

== 概要 ==
[[古墳時代]]後期から[[鎌倉時代]]初期まで、700年余の長きにわたり焼き物の生産を続け、その[[文化]]・[[社会]]的背景は複雑かつ流動的であり、全体像を一元化することは困難であるが、大きく「古墳後期 - [[奈良時代|奈良]]中期・[[須恵器]]の時代」「奈良中期 - [[平安時代|平安]]中期・[[灰釉陶器]]の時代」「平安中・後期 - 鎌倉初期・[[山茶碗]]の時代」の三期に分けることができる。

== 起源 ==
名古屋市の[[熱田神宮]]に隣接し、5世紀後期、[[継体天皇]]に娘・目子姫(めのこひめ)を嫁がせた大豪族、[[尾張草香|尾張連草香]](おわりむらじくさか)の墓と目される東海地方最大の[[前方後円墳]]、[[断夫山古墳]](全長151m)がある。その墳丘を飾った須恵質の[[埴輪]]が名古屋市東部、東山111号窯で焼かれたことが判明しており、[[考古学]]では猿投古窯の起源としている。

== 発見の経緯 ==
[[1957年]]([[昭和]]32年)、[[木曽川]]中流域から水を引き、[[尾張丘陵]]を貫き、[[知多半島]]に至る[[愛知用水]]の大規模な工事が開始された。企業家であり、古陶磁の研究家でもあった[[本多静雄]]は、工事に伴い、沿線の古窯跡が次々と破壊されるのを憂い、持ち込まれる出土品を買い集めた。その中に人工[[釉薬|釉]]と思しき陶片があるのに気付いた本多は、国に働き掛け、まもなく[[名古屋大学]]の考古学教室が中心となり大規模な[[発掘調査]]が行われた。その結果、それまで[[瀬戸焼|瀬戸]]・[[美濃焼|美濃]]の中世窯が発生とされていた灰釉陶器窯が次々と姿を現し、空白であった奈良 - 平安期の陶磁史が一気に埋められる大発見となった。

== 名称の由来 ==
本多をはじめ、調査の中心となった名古屋大学の澄田正一教授、楢崎彰一助教授たちは、黒笹の窯跡に立ち「名前をつけないと具合が悪い」ということになり、澄田教授の「まだ後から後から見つかるかもしれんから、広い名前がよかろう、ここから見ると[[猿投山]]の頂上が見えている。あそこから西の方と南の方、猿投山西南麓古窯址群としたらどうか。」との提案により略して「猿投古窯」と命名された。しかし、その後の発掘調査により、窯跡の分布は尾張東部から[[西三河]]西部であることが判明し、遠く離れた[[猿投山]]麓周辺の中世瀬戸系の窯と混同されやすく、紛らわしい結果となったのは否めない。

== 特徴 ==
猿投古窯の特殊性は、地元の原料を用い、[[朝鮮半島]]から5世紀半ばに伝えられた須恵器の技術をもって、大陸から舶載される美しい[[青磁]]の国産化を図るという、当時の文化・情報・技術の粋を結集した[[ハイテク]]窯であり、青磁を模索する過程において、日本初の高火度施釉陶器・猿投白瓷(さなげしらし:[[灰釉陶器]])を産み出した点である<ref>[http://www.city.seto.aichi.jp/files/rekishi/newpage2.htm 瀬戸窯業前史]瀬戸市公式HP</ref>。

== 生産品目 ==
主たる生産品目は、祭器・仏具・香炉・各種硯・飲食器などの高級品に限られ、[[平城京]]・[[平安京]]をはじめ、[[寺社]]・[[官衙]]・[[豪族]]などの支配層に供給された。かような諸事情から勘案し、猿投窯は官窯、もしくは官の意向が強く反映された官窯的性格の窯であったとされている。

== 参考文献 ==
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%BF%E6%8A%95%E7%AA%AF 猿投窯](最終閲覧日:25-02-22)
* 本多静雄「愛陶百寿」里文出版
* 大石訓義「猿投古窯 - 日本陶磁の源流」雄山閣 

== 関連項目 ==
* [[石津太神社|岩津連]]
* [[三大古窯]]
* [[六古窯]]
* [[須恵器]]
* [[窯跡]]
* [[陶磁器]]

== 脚注 ==

{{DEFAULTSORT:さなけよう}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:民族他]]
[[Category:愛知県]]
[[Category:陶芸]]

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