=== 神話の中での役割 ===
盤古は天地創造の神であり、時系列で考えれば人類創成の神とされる[[伏羲]]・[[女媧]]よりも前に存在したことになる。しかし、少なくとも文献による考察によれば盤古の存在が考え出されたのは、前述のごとく呉の時代(3世紀)であり<ref group="私注">これは盤古が文献に登場した時代に過ぎない、と感じる。</ref>、『史記』(前漢・紀元前1世紀)や『風俗通義』(後漢・2世紀)に記述がある[[伏羲]]・[[女媧]]など三皇五帝が考え出された時期よりも後の時代ということになる。民間伝承にその神話伝説、[[応竜]]生盤古など三皇五帝が考え出された時期よりも後の時代ということになる。民間伝承にその神話伝説、応竜生盤古<ref>『華商報』「應龍生盤古的傳說」</ref>。
天地を押し上げて分離させる点が[[マオリ]]神話の[[タネ・マフタ]]に、体からさまざまなものが創造される点がインド神話の[[プルシャ]]に類似していることなど<ref>出石, 1943, pp20-22, 71-74</ref>が指摘されているほか、インドシナ半島の神話伝説にも盤古神話と類似した内容のものが確認されている。天地万物のつくられ方の類似から、インドに伝わる『リグ・ヴェーダ』の原始巨人[[プルシャ]]が伝播したものだ、という学説もある。
=== 盤古と牛について・私的考察 ===
チベット語族の伝承には、牛を殺して世界を作った、という盤古神話に類似した話があるチベット語族の伝承には、'''牛'''を殺して世界を作った、という盤古神話に類似した話がある<ref>[https://eastasian.livedoor.blog/archives/1946161.html 牛(1) 創世神牛]、神話伝説その他、eastasian、00-03-01(最終閲覧日:22-10-11)</ref>。また、重慶市には「盤牛王」という地名があるようなので、かつては盤古は牛である、という伝承が牛神信仰の強い中国南部にはあったのかもしれない、と思う。盤牛王の世界創世神話はそこから日本に伝播したのであろう。牛神であれば、[[炎帝神農|炎帝]]や[[蚩尤]]との関連姓も示唆される。北欧神話では盤古に相当する巨人[[ユミル]]を倒したのはオーディンとされる。
== 日本の文献での盤古(盤牛王) ==
* 三郎王子 秋を支配する。
* 四郎王子 冬を支配する。
* 五郎王子 兄弟間の戦の結果、四季の土用と滅日・没日・大敗日、そして[[閏]]の期間を支配することとなる。五郎王子 兄弟間の戦の結果、四季の土用と滅日・没日・大敗日、そして閏の期間を支配することとなる。
これ以外に、竈(かまど)の神をまつる『土公神祭文』でも、盤古大王の子供たちが争い、五郎王子が竈の神となったという展開が見られる<ref>村山, 1981, pp398-399</ref>。
== 私的考察・盤古から須佐之男命へ 私的考察 ==eastasian氏のブログから、ロッバ族の伝承のみ引用させて頂く。盤古は[[黄帝]]を神格化した姿の一つと考える。[[槃瓠]]とも同じものであろう。
<blockquote>ロッパ族<br />大地の母が三匹の神牛を生んだ。長男は火神牛、次男は鉄神牛、三男は土神牛で、お互いに争った。ある時火神牛が鉄神牛を飲み込んだ。鉄神牛が死んだ後その毛は草木に変化し、骨は石や山脈に、血液は河に、内臓は動物や昆虫になった<ref>盤古のトーテムを[https://eastasian.livedoor.blog/archives/1946161.html 牛(1) 創世神牛]、神話伝説その他、eastasian、00-03-01(最終閲覧日:22-10-11)</ref>。</blockquote> 他に、北欧神話のように神が牛神を殺して世界を創造したという話もあり、全体としては、盤古神話は、[[炎黄闘争牛]]が更に発展して、とする向きがあるのは、一つには黄帝の属性が「土」にあり、農耕神としての性質が[[黄帝]]がにあるので農耕に重要な[[炎帝神農|炎帝牛]]を殺して、がトーテムに割り振られたのではないか、という理由があるように考える。もう一つは、[[炎帝神農|炎帝]]の死体から世界を創造した、という形になったものと考える。[[炎帝神農|炎帝]]は牛神でもあり巨人でもあったのであろう。これは[[蚩尤]]のこととしても同じである。ロッパ族の伝承では、長男が「火神」となっており、これは中国神話で言うところの[[祝融]]でもあると思う。牛神同士で殺し合うところは、[[禹]]や[[李氷]]のように、水神同士で殺し合って治水を行う神話と関連するように思う。特に、火神牛は[[祝融]]でもあり、[[李氷]]に相当するのではないか、と思う。鉄神牛は[[蚩尤]]あるいは共工に相当するのであろう。土神牛は争わない穏やかな農業神((火神)のトーテムに「[[后稷牛]]のような)を示すのかもしれない、と考える。(ただし印欧語族の伝承に多くみられる「三人兄弟・末子成功譚」のパターンからみれば、土神牛は[[黄帝型神]]とも受け取れる。」があるので、[[黄帝]]はこのようにして、「と[[炎帝神農|炎帝]]と兄弟である」というように伝承の中で変更されていったのではないか、と思う。) 古代の遙か昔、1万年も前には、炎帝型の水神が治水を行う、とされていて、それが炎黄闘争を経て、黄帝が治水を行う、とされ、それが更に時代が下って神話が改変され、炎帝型の水神が黄帝のように水神を倒して治水を行う、という形式に神話が纏められていく過程で、それが「世界の創造神話」にまで発展していったことが示唆されると考える。 日本神話では、を習合させるために敢えて[[須佐之男命]]はその体から樹木が生えていたりして、盤古から変じたものであることが示唆される神である。([[須佐之男命]]は水神([[八俣遠呂智]])退治も行っているので、[[祝融]]的な[[炎帝型神]]でもある。)また、[[須佐之男命]]は地上に降りた後、いつの間にか黄泉の国に住んでおり、いつの間にか「死んでいる」ことが示されている。それは[[須佐之男命]]が死した盤古かつ[[炎帝神農|炎帝黄帝]]であり、世界に化生したことを暗示しているし、盤古が牛神であったので、型の神に[[須佐之男命牛]]も牛神である、と考えられたのではないだろうか。日本神話ではをトーテムとして割り振ったのではないか、と思う。盤古を[[須佐之男命牛頭天王]]は死んでも生きているように活動している「鬼」であり、これが時代が下ると新たに「午頭天皇」というやはり牛つながりの神へと変化していくように思われる。と結びつけようとした日本の『簠簋内伝』は後者の典型ではないだろうか。
== 参考文献 ==
* [[プルシャ]]
* [[ユミル]]
* [[末子成功譚]]:いわゆる三人兄弟型の[[末子成功譚]]で倒されるのは、盤古型の怪物である。
* [[ハイヌウェレ型神話]]
=== 樹木化生 ===
* [[桂男]]
* [[扶桒樹]]
=== 炎帝型神として ===
* [[饕餮]]:[[蚩尤]]が殺されてバラバラにされた神。
** '''[[燭陰]]''':目が天体と関連する点が盤古と一致する。
* [[河伯]]:太陽相の目を失った神。
{{DEFAULTSORT:はんこ}}
[[Category:中国神話]]
[[Category:炎帝型神日本神話]][[Category:太陽神]][[Category:月神黄帝型神]]
[[Category:樹木神]]
[[Category:山岳神]]
[[Category:巨人]]
[[Category:卵胎生犬]]
[[Category:牛]]
[[Category:陽]]