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* 娘女神 = '''己等乃麻知媛命'''('''諏訪大社下社の真南'''にある神社の祭神)、玉依姫系、木花之佐久夜毘売、「雉も鳴かずば」の小豆娘、'''馬頭娘'''(蚕馬神、'''芋虫信仰''')
* 入水女神 = '''八坂刀売'''('''諏訪大社下社'''の祭神)、嫁殺しの池、'''乙姫'''、多留姫(おそらく縄文系の水神、ダロンから派生したものか)
* 三女神の複合体 = 豊玉比売豊玉比売、それから特別に韓国の'''サムシンハルメ'''([[三神婆]]、韓国の「人類の母」女神)
となろうか。いずれも原型はあまりとどめていないように思う。とどめているのは'''鬼女紅葉'''と、少しだけとどめている'''小豆娘'''くらいだろうか。彼らは'''南北にほぼ一直線には並んでいるようだけれども'''。ともかく、「バロンの死」については、ヤオ族の伏羲・女媧伝承、塗山氏女、青ひげ、メリュジーヌ系、ケルト神話のマッハ、阿加流比売神を参考にした。メリュジーヌの名は、もしかしたらドゥルガー女神の別名マヒシャースラマルディニーからの派生かもしれないと考える。
=== チャンヤンの書き換え神話 ===
天地を支えるアペ・コペンは天に昇った。彼が天に昇った後、楓香樹(日月樹)は管理人がいなくなり、盗賊の住処になってしまった。なので、人々はそれを切り倒して、新たな樹を立てた。 その頃、アペ父さんはついに悪い雷神を追い詰めて倒してしまった。そして、父さんが新たに雷神の仕事をすることになった。殺された悪い雷神の魂は地上に落ちて「'''蛾王'''」になった。蛾王は再び人の姿に生まれ変わりたいと考えていた。そのため妹のメイバンリュウを殺して楓香樹に閉じ込め、自分の依り代になる息子を産ませることにした。最初に息子のチャンヤンが生まれた。生前の蛾王によく似た水牛の姿だったので、蛾王はこれに乗り移ることにした。他にも生け贄になるための水牛、龍、蛇、虎、象といった子供が生まれた。実は蛾王は知らなかったけれども、最後に小さな双子の女の子が生まれた。この子たちはとても賢い子だった。母親に暴力をふるう父親が嫌いだったし、そのままいれば自分も父親に生け贄にされてしまうと分かっていた。そこで父親に知られない内に逃げ出した。母親も連れて逃げたかったけれども、子供達の力では無理だった。一人はとても遠い西方に逃げ出して、アテーナーという名前の女神になり、土地の人たちにとても敬われた。もう一人の娘は、東へ逃げて海を越え乙子狭姫という名前になって、こちらも土地の人たちと仲良く暮らした。 チャンヤンとしてよみがえった蛾王は、メイバンリュウを樹から出して生き返らせ、ニャンニという名を与えて自分の妻にした。そして、まず兄弟の水牛を生け贄に捧げてこれを食べた。これを見て、天の雷神アペ父さんは怒って言った。 「水牛男よ、何故兄弟の水牛男を殺して食べた。水牛は水牛を食べてはいけない。鶏は鶏を食べてはいけない。人間は人間を食べてはいけない、と教えただろう!」 蛾王も怒って叫んだ。 「俺は水牛の姿をしているから、水牛が食べたくて仕方がないのだ。食べたいものを食べて何が悪い!」 雷神は怒って洪水を起こし、蛾王を殺そうとした。蛾王はヒョウタンを育てて船を作った。北斗のヒョウタンの船は水が天まで届いても、天の川の中をスイスイ進んでいくことができると知っていたのだ。そうして蛾王は大洪水から逃れた。北斗のヒョウタンを自在に操る蛾王は天帝と呼ばれるようになった。 蛾王とニャンニの間に生まれた最初の子は肉塊だったので、これを切り刻んで種としてまくと、あちこちに人間が生えた。そこで、北斗七星になぞらえて、七人の爺と、八人の婆を人間の指導者に選んだ。婆の一人のニュウシャンが種の家を焼いてしまったので、これを罰して焼き殺した。残った婆は七人になった。七人の爺は牛を殺す刀の管理人にした。これが軍人の始まりである。彼らは牛を殺すように敵を殺した。七人の婆は紡車の管理人となった。婆達は種を管理し、北斗の紡車を正確に回す役目を負った。これが天の織女達の始まりである。 彼らは天帝と地上の人々との間にあって、人々を治め、指導する役割だった。だけど、だんだん威張るようになり、しかも天帝と同じように人々を食べた。そこで、子供達は相談して、天帝が作らせた夏の国から離れ、新たに民が選んだ代表者の七人の若者と、七人の乙女が交代で仲良く協議して治める国を作った。そうしてできたのが苗族である。  天帝が作らせた夏の国では、次第に「'''北斗の乙女達が(種ではなくて)富貴をもたらしてくれる。'''」と言われるようになった。だから乙女達の親であるメイバンリュウと天帝を信仰すると「'''なんでも願いがかなう。'''」とも言われるようになったのだ。天帝の子孫は遠い東の果ての国に流れ着き、メイバンリュウを'''己等乃麻知媛命'''、北斗の乙女を'''八坂刀売'''、天帝のことを'''アジスキタカヒコネ'''と呼んで、彼らを一直線に並べて今も祀って・・・いるかもしれない。というか、管理人は「そーゆーことか!」とチャンヤンの物語を読んで、始めて悟ったのだった。 === 解説 ===<blockquote>天地を支えるアペ・コペンは天に昇った。彼が天に昇った後、楓香樹(日月樹)は管理人がいなくなり、盗賊の住処になってしまった。なので、人々はそれを切り倒して、新たな樹を立てた。皇極天皇3年(644年)7月に富士川のあたりで、大生部多は長さ4寸ほどのタチバナやイヌザンショウにつくカイコに似た虫(アゲハチョウ、一説にはシンジュサンの幼虫)を指して、「これは常世の神である。この神を祭る人は、富と長寿が得られる」といい、虫祭りをすることを勧めた。巫女たちも神のお告げといつわり、「常世の神を祭ると、貧しい人は富を得、老人は若返る」といった。このために信仰は広まり、都でも田舎でも常世の虫をとって安置し、財宝を差し出したが、何の利益もなく、損失が多かった。秦河勝は民衆が騙されるのをにくみ、大生部多を捕え打ち懲らしめたところ、巫女も恐れて祭りを勧めることをやめた(Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%A6%E6%B2%B3%E5%8B%9D 秦河勝]、[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%94%9F%E9%83%A8%E5%A4%9A 大生部多])。</blockquote> 蝶々のメイバンリュウの話、と聞くと、それは「芋虫信仰」の一種だ、とまず管理人は思いついた。'''馬頭娘'''と同系統の話だ。ただ、個人的には「芋虫信仰」というと、皇極3年のこの話がすぐに頭に浮かぶのだ。現在の静岡県の辺りで流行した古代の芋虫信仰は、民衆を騙して金品をむしり取るものだった。そして富士川からは少し離れているけれども、静岡の'''己等乃麻知媛命'''は、この古代詐欺宗教の'''名残'''の女神ではないのか、と思っていた。(現代ではそんな怪しい神社ではないのだが。)この古代詐欺宗教を広めた「'''大生部多'''」とは、'''多氏'''の一族のように思えるし、諏訪大社下社との関連が示唆されるのであれば、多氏の一派である下社の'''金刺氏'''の関わりも疑われる。すなわち、管理人から見ればこの古代詐欺宗教事件は、 '''同族がやらかしてくれた大恥事件''' と感じるのだ。1400年たとうが、恥なものは恥だ。だいたいモラル感が現代よりもよほど低い古代ですら社会問題になるって、よくよくのことだろう、と思う。だけど、どういう理論というか、どういう理屈で 「'''芋虫が神になる'''」 のかが良く分からなかったのだ。道ばたで、何かの幼虫を見かけたからといって、そもそもそれを拝みたくなるだろうか? と思うし、どうやってそれを神とする、と考えついたのだろうと思う。 分かってみれば、答えは簡単で、「女神信仰」とすればそれは「'''馬頭娘'''」系の話で、絹糸だけでなく、殺された女神に全般的な豊穣を求めたものだ。「男神信仰」とすれば、それは[[蚩尤]]信仰に関連する。蚩尤の'''蚩'''とは「虫」という意味である。[[蚩尤]]に味方して戦った[[夸父]]は干ばつの神だから、本来の[[蚩尤]]は'''虫害の神'''といえる。虫害の神様に「虫害を起こさないで下さい。」とお願いするのが、虫害信仰なのではないだろうか。蝶もそうだけれども、蛾も虫害を起こす。要するに、[[蚩尤]]の原型はミャオ族の'''蛾王'''だ、と管理人はまず感じた。日本神話の蛾王は「'''少彦名命'''」であって、これはミャオ族の「悪い雷神(虫害・干ばつを起こす火雷神)」に相当する。チャンヤンの物語で、蛾王はちらっと出てくるだけなのだけれども、これはアペ父さんが戦った「悪い雷神」と同じものなのだ。 チャンヤンは蛾王の子のように描かれており、兄弟を食べてしまう兄なので、「人間を食う祭祀を行った者」といえる。これは人食いを禁じるアペ父さんへの敵対行為なので、蛾王が祝融・蚩尤であるなら、チャンヤンも「同じもの」ということで、メソポタミア神話風に彼らを一つにまとめてみた。木に閉じ込められたメイバンリュウは殺されたニンリルの様な女神とし、蛾王の方は生き返るために冥界で妻に子を産ませるエンリルの様にしてみたのだ。チャンヤンの末の二人の妹は、ちょっとおまけでつけてみた。メイバンリュウとは、ギリシア神話のメーティスと同じ神と考える。夫に食われて、夫の体内で娘のアテーナーを生んだ女神だ。だから、そのような意味でアテーナー女神を付け加えてみたし、西に逃げるだけではつまらないので、東の方には一番末っ子の狭姫を逃がしてみた。狭姫も「殺された母」の娘だから。  事任八幡宮には玉依姫命が祀られているので、本来は玉依姫命(メイバンリュウ)と別雷神(チャンヤン)を祀っていたのかもしれないと考える。 === 解説 身分制度の発生 ===チャンヤンの物語の最後は、北斗信仰の発生と、それに伴う職業に関連した身分制度が発生していることが語られる。北斗の織女乙女達は分かりやすい。しかし、まず管理人を「はっ」とさせたのは、「'''牛を殺す刀を管理する爺'''」の記述だった。漢字で牛のことは「'''牛'''」と書く。そして「'''勿'''」という言葉には「屠殺する」「切る」という意味がある<ref>漢語多功能字庫、[https://humanum.arts.cuhk.edu.hk/Lexis/lexi-mf/search.php?word=%E5%8B%BF 勿]</ref>。二つ併せれば「牛を屠殺する」という意味で「'''物'''」という字になる。賀茂系氏族の中で、'''物部氏'''は、現代でいう'''陸軍'''のような役割を果たしていたし、'''武器を管理する人々'''でもあって、彼らの本拠地である石上神宮は朝廷の武器庫でもあった。そして、石上神宮からは、北斗の象徴と思われる国宝の'''七支刀'''が出土している。チャンヤンの物語の最後は、まるっきり「'''物部氏族の由来譚'''」のように管理人には思える。軍事氏族なのになんで、「'''物部'''」というのかと思ったら、元は「'''牛を殺す刀を管理する人々'''」=「'''武器を管理する人々'''」だったのだ。この職業階級の発生した時期は、ミャオ族と弥生日本人がまだ枝分かれしていない時代にまで遡るのだなあ、と理解したのだ。  北斗の婆たちの方は、まず諏訪大社下社に八坂刀売、という女神がいる。長野市には川中島に氷銫斗賣という女神を祀っていたと思われる神社がある。更にここから分かれたと思われる川中島斗賣神社(祭神は八坂刀売)、更級斗女神社(祭神は八坂刀売)もある。長野市高田の芋井神社には南方止賣命が祀られている。長野市の女神達は、八坂刀売と関連しているように思えるが、名前が違うのであれば、元は異なる女神だったのかもしれない。そしてみな名前に「'''斗'''」がつくこと、養蚕に関連する女神でもあると思われることから、もしかしたら彼女達は元は「'''北斗の七人の女神達'''」だったのかもしれないと考える。  またミャオ族のニュウシャンは、「種を燃やしてしまった女神」ではなく、「'''燃やされてしまった太陽女神'''」のことだと考える。日本では阿遅鉏高日子根の妻神に、'''天御梶日女命'''がいるので、この女神を「天の火事の女神」と解せばニュウシャンに相当するかもしれない、と思うが、そのような神話は(あったとしても)今では存在しない。韓国の[[三神婆]]を参考にすると、ニュウシャン(婆神)、メイパンリュウ(蝶神)、ニャンニは韓国では一体化した女神として扱われ、その中に「北斗の女神達」まで含まれると考えれば、'''天御梶日女命'''あるいは'''八坂刀売'''は、韓国の三神婆に相当すると考える。八坂刀売は、北斗の女神でもあり、蝶神でもあり、燃やされた女神でもあるといえる。下社には賀茂系の神々も祀られているので、'''八坂刀売'''の本来の配偶神は'''阿遅鉏高日子根'''だったと考える。長野市高田の'''南方止賣命'''は、元々南向塚古墳に祀られた女神とのことなので、配偶神はここに埋葬されていると言われている'''少名日子建猪心命'''、あるいは'''少名毘古那神'''、あるいは金刺氏の祖神'''武五百建命'''と考える。 ともかく、諏訪大社の神紋は上社、下社で共通して「'''三つ梶'''」なので。これは'''天御梶日女命'''と'''八坂刀売'''を「[[三神婆]]」的な同じ女神とすれば、'''八坂刀売'''のこと、とすべきではないだろうか。おそらく古代の諏訪大社は、'''上社に下光比売命と建御名方富命、下社に八坂刀売と阿遅鉏高日子根(賀茂別雷命)'''を祀っていた別々の神社だったと考える。長野市信州新町の健御名方富命彦神別神社の境内社の諏訪社に「'''武彦根神'''」という神が祀られている。これは阿遅鉏高日子根のことと思われ、かつては諏訪にこの神も祀られていた名残かもしれないと考える<ref>信州新町史 下巻、1979、p1400</ref>。 === 韓国の蝶女神 ===「胡蝶の由来」という伝承がある。 <blockquote>昔、一人の娘がいた。娘には婚約者がいたが、結婚前に婚約者は亡くなった。娘は婚約者の墓に行って、「あの世でも夫婦になりたい。婚約者と同じ墓に入りたい。」と言って泣いた。墓が割れたので、娘は中に飛び込んだ。娘が飛び込むと墓は元に戻って、ふちに娘の着ていた裳の裾がわずかに残った。付き添っていた召使いが裾をひっぱると、裾は細かく裂け、蝶になって飛んで行った。これが蝶の始まりだという<ref>韓国昔話集成 4、崔仁鶴他編、p72-75</ref>。</blockquote> 解説によると、これは中国で有名な「'''梁山伯と祝英台'''」という伝説の後半だということだ。男性が先に死に、女性がその後を追いかけて死ぬ。まるっきりメソポタミア神話の「'''エンリルとニンリル'''」そのままだ、と管理人には感じられる。同系統の話なので、ミャオ族の蛾王はエンリル的な死者だし、樹に閉じ込められて、子だけ産まされているメイパンリュウもニンリル的な死者なのだ。そもそもニンリルはエンリルが生き返るための子供を生むためだけに殺されてしまう気の毒な女神なのだ。ということは、「梁山伯と祝英台」も、メイパンリュウと蛾王の神話から派生したものと考えられる。それは「'''禹と塗山氏女'''」が民間伝承化し美化された物語だったのだ<ref>少し脱線するけれども、祝英台が「男装する」というのは、これも一種の'''「死」の暗喩'''だと考える。だって、女性が男装していたら「'''女としては死んでいるも同然'''」だから。</ref>。  ちなみに、ヨーロッパでは、樹から生まれた最初の人類の女性はエムブラという。おそらくメイパンリュウから派生したものと考える。 === 申し訳ないと思うわけ ===管理人がミャオ族に申し訳ないと思うことは、一つは上記した、多氏の一部による「'''古代詐欺宗教事件'''」である。先祖の神を使って、人様を騙して金儲けのネタにするとはまさに「'''親不孝'''」な話だ。共通の先祖の蝶神を敬いもしないで、食い物にするような同族で本当に申し訳なく思う。  それからニュウシャンは本来は、とても崇められていた太陽女神だったのに、そのままの形で伝承に残させてあげることができなくて、これも申し訳なく感じるのだ。彼女の姿の変節が激しいのは祝融に相当したと思われる男性の先祖が「'''自分が太陽神だ'''」と言いたいがためだけに反対派を協力に弾圧したからなのだと思う。ミャオ族の先祖は太陽女神を残すことができず、そのうえ中原で残された記録には、無理矢理な形で悪者扱いされている。このことを本当に申し訳なく思う。たぶんそうやってミャオ族を陥れようとしたのは、我が家の先祖の誰かだと思うからだ。 でも、日本でも賀茂系氏族の中には「'''偉大な太陽女神'''」は残されていない。残されているのは'''皇祖神としての天照大御神'''で、皇室と強い婚姻関係はあっても、賀茂系氏族と皇室は基本的に「'''別の家系'''」だから。なぜ、皇祖神に太陽女神が配置されたのかといえば、それは縄文系の人々の存在が大きかったのではないか、と想像している。言語学的に、日本語はアルタイ語系とオーストロネシア語系が混じっている、と言われている。台湾発のオーストロネシア語族はミャオ族から分かれたものと推察され、ミャオ族の古い時代の伝承が多く残されている。それが、縄文系日本人に伝播したので、彼らの中に古いミャオ族の「太陽女神信仰」が強く残されていて、政治的に打ち消すことができなかったため残された、と想像する。それでも朝廷に出仕している貴族達の中で賀茂系の人々は有力な氏族だったと思うので、おそらく賀茂系氏族が反対する中、皇祖神に天照大御神を持ってきたのは、本当に記紀神話編纂者達の並々ならぬ努力の結果だったと思う。でもそのおかげで、現代の私達は、古代のミャオ族が「太陽女神」のことをどのように敬っていたのか、その片鱗を知ることができるのである。
== 関連項目 ==

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