テオクリトスは『エイデュリア』第2歌で、自分を捨てた恋人の心を取り戻すために魔法の薬を調合する女シマタイについて歌っているが、シマタイは月の女神[[セレーネー]]や魔術の女神[[ヘカテー]]に加護を願いながら、167行の詩の前半部分で実に10回もイユンクスの車輪に祈りを捧げている(後半はセレーネーに祈りを捧げている)<ref name="テオクリトス" />。
その他にアリスイに関する神話として[[アントーニーヌス・リーベラーリス]]の異説がある。それによると北方のエマーティアの王ピーエロスに9人の娘その他にアリスイに関する神話としてアントーニーヌス・リーベラーリスの異説がある。それによると北方のエマーティアの王ピーエロスに9人の娘[[ピーエリス]]たちがいた。彼女たちは[[ムーサイ]]との詩比べに敗れて鳥に変えられたが、そのうちの1人がアリスイに変じたという<ref>アントーニーヌス・リーベラーリス、9話。</ref>。また古代[[アレクサンドリア図書館]]の初代館長{{仮リンク|エフェソスのゼノドトス|en|Zenodotus 。また古代アレクサンドリア図書館の初代館長エフェソスのゼノドトス(Zenodotus of Ephesus|label=ゼノドトス}}は、Ephesus)は、[[ハーデース]]の神話に登場する[[メンター]]([[ミント]]つまり薄荷)をイユンクスと呼ぶ人々がいたと証言している(ミントつまり薄荷)をイユンクスと呼ぶ人々がいたと証言している<ref>ドゥティエンヌ邦訳、p.187。</ref>。
;器物
また、車輪に括るアリスイと同一の効果があるものとして、イユンクスと称する小器物もあり、魔女たちはこれを回転させて恋する相手に呪術を施したとされる<ref name="スーダ" />。[[イギリス]]の文献学者{{仮リンク|アンドリュー・シデナム・ファーラー・ゴウ|en|A。イギリスの文献学者アンドリュー・シデナム・ファーラー・ゴウ(A. S. F. Gow}}は古代の壷絵からイユンクスの呪具を復元している。それによるとイユンクスは小さな車輪の中央に2つの穴があって、そこに長い紐を通して結んで輪にし、両端を十分に余裕を持たせ、つまんで引っ張ることで回転させる。するとイユンクスは繁殖期の鳥のように動き回り、奇妙な音を発するというGow)は古代の壷絵からイユンクスの呪具を復元している。それによるとイユンクスは小さな車輪の中央に2つの穴があって、そこに長い紐を通して結んで輪にし、両端を十分に余裕を持たせ、つまんで引っ張ることで回転させる。するとイユンクスは繁殖期の鳥のように動き回り、奇妙な音を発するという<ref>ドゥティエンヌ邦訳、p.188。</ref>。
なお、イユンクスは[[英語]]の[[ジンクス]]の[[語源]]となっている<ref>{{cite web|title=Iynx |accessdate=2019/06/17 |url=https://www.theoi.com/Nymphe/NympheIynx.html |publisher=Theoi Greek Mythology}}</ref>。
== 脚注 ==
{{Reflist|33em|refs=
<ref name="スーダ">『[[スーダ]]』。"{{URL|http://www.stoa.org/sol-entries/iota/759|iynx}}", ''Suda On Line", tr. Jennifer Benedict. 3 December 2000</ref>
<ref name="ピンダロス">ピンダロス[[ピューティア第四祝勝歌|『ピュティア祝勝歌』第4歌]]213行以下;{{harvnb|沓掛訳|1978|p=151}}。</ref>
}}
== 参考文献 ==