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リンブルク=ルクセンブルク朝(1308年から1437年まで神聖ローマ帝国とボヘミア、ハンガリーを支配)、アンジュー家とその子孫のプランタジネット家(イングランド王)、フランスのルシニャン家(キプロス王、1205年から1472年、キリキアアルメニア、エルサレムも短時間支配)は、民話や中世文献にメリュジーヌの子孫とされている。水の精(人魚)、大地の存在(テロワール)、場所の守護神(ゲニウス・ロキ)、極悪非道な世界からやってきて男と肉的に結合するサキュバス、死の前触れ(バンシー)など、伝説の主要テーマを組み合わせた物語である。
 
== 伝説の概要 ==
メリュジーヌの伝説は、フランスでは14世紀より前から'''メリサンド'''という名でも知られ、民話にも登場していた<ref name="ローズp431" />。その原型は、ずっと以前から知られている[[ヴイーヴル]]や[[セイレーン]]といった怪物であろうとも考えられている<ref name="松平2005b_p222" />。
 
1397年にフランスのジャン・ダラス(Jean d'Arras)<ref group="注釈">ジャン・ダラスは、ジャン・ド・ベリー公の元で司書および製本職人として働いていた。</ref><ref name="蔵持p10">蔵持 (2005), p. 10.</ref>が『メリュジーヌ物語』を散文で著し<ref name="ローズp431" />、その後クードレット(Couldrette)<ref group="注釈">クルドレッド(クードレット)は、リュジニャン家の当主ジャン2世の元で司祭を務めていた</ref><ref name="蔵持p10" />。という人物が1401年以降にパルトゥネの領主に命じられ『メリュジーヌ物語、あるいはリュジニャン一族の物語 (''Le roman de Mélusine ou histoire de Lusignan'' )』を韻文で書き上げたことで広く知られるようになった。その物語とは次のようなものである。
 
メリュジーヌは、泉の妖精プレッシナとスコットランドのオルバニー(アールバニー)王エリナスの子<ref group="注釈">松平の説明によれば、妖精の[[モーガン・ル・フェイ|モルガン]]の妹・プリジーヌ([[アーサー王]]とは父親の異なる兄妹の関係となる)の子で、のアルバニア王エリナスとの間に生まれた姫</ref><ref name="松平2005b_p222" />。である。母親の出産時に、禁忌とされていた妖精の出産を父親である領主が見てしまったために、メリュジーヌと2人の妹、メリオールとプラティナは妖精の国に戻されてしまった。成長したメリュジーヌと妹達は復讐心を募らせ、結託して父親をイングランドのノーサンブリアのある洞窟に幽閉した<ref group="注釈">異説では母親を陥れようとした<sup>''(要出典, 2015-11-10)''</sup>。</ref>。ところが母親は夫を愛するがゆえに、メリュジーヌと妹達に、週に1日だけ腰から下が蛇の姿となるという呪いをかけた<ref name="ローズp431" /><ref name="松平2005b_p222" />。さらに、もし変身した姿を誰かに見られた場合には、永久に下半身が蛇で翼を持った姿のままとなってしまう<ref name="ローズp431" /><ref group="注釈">別のヴァリアントでは、メリュジーヌはもともと泉を掌る妖精とアールバニーの領主の間に生まれた姫君であった。人間の男の愛を得れば呪いが解けると聞かされて、メリュジーヌは領主に近づいたのであった。</ref>。従って、メリュジーヌが誰かと愛を育むには、その1日に彼女の姿を見ないという約束を果たせる者と出会わねばならなかった。
 
ポワトゥー伯のレイモン<ref name="ローズp431" />(またはフォレ伯の子レモンダン<ref name="松平2005b_p221">松平 (2005b), p. 221.</ref>)は、'''おじを誤って殺したことから家族の元を離れていた'''が、ある日メリュジーヌと会って恋に落ち、メリュジーヌも「土曜日に自分の姿を決して見ないこと」という誓約を交わした上で結婚する。彼女は夫に富をもたらし、10人の子供を儲けた。また、彼女の助力もあってレイモン(レモンダン)はリュジニャン城を建て、町も築くことができた<ref name="松平2005b_p221" />。ところが夫は悪意のこもった噂を耳にすると<ref name="アランp209">アラン,上原訳 (2009), p. 209.</ref>、つい誓約を破り、沐浴中のメリュジーヌの正体を見てしまった<ref group="注釈">神話類型として、[[禁忌|見るなのタブー]]が見受けられる。</ref><ref name="蔵持p10" />。。部屋に1人閉じこもっていた彼女の姿は上半身こそ人間だったが、下半身は巨大な蛇<ref name="松平2005b_p222">松平 (2005b), p. 222.</ref>(あるいは魚<ref name="アランp209" />)になっていたのだった<ref group="私注">レイモンは目上の身内を殺しており、[[啓型神]]の性質を持っているように思う。</ref>。
 
誓約を破られたため、メリュジーヌは竜の姿になって城を飛び出していった<ref name="ローズp431" /><ref name="松平2005b_p222" />。しかしまだ小さい子供がいたことから、授乳のために一時城に戻ったほか、城の城主や子孫の誰かが亡くなる直前にも戻ったという<ref name="松平2005b_p222" />。そのため、城主らの死が近づくと、城壁の上に幽霊のようにメリュジーヌが姿を現しては泣き悲しむ様子が見られたという。メリュジーヌの子供達の多くは化け物の性質を持っていたものの、問題なく生まれた2人の子供の血統からは、後のフランス君主が立ったという<ref name="ローズp431" />。リュジニャン城は後に取り壊され、現在は存在しない<ref name="アランp209" />。
 
別のヴァリアントでは、メリュジーヌはブルターニュ伯(あるいはポワトゥー伯)の下に美女の姿で現れて求婚し、妻となって後は彼を助けたが、「日曜日に必ず沐浴するので、決して覗かないこと」という誓約を夫に破られ、正体を明かされる。夫は、メリュジーヌが人間でないことを知ってからも妻とし続けたが、2人の間に生まれた気性の荒い異形の'''息子達が町で殺人を犯した'''と聞いて激昂し、息子達の性格上の欠陥の原因を彼女の正体のせいだとして、「化け物女」と罵倒したため、自尊心を傷つけられた彼女は正体を現し、教会の塔を打ち壊して川に飛び込んで行方をくらましたという。その後、彼女は水妖の一員となった。紋章などに用いられている尾が2つあるマーメイドは彼女の姿であるとされている<ref group="私注">こちらは息子達が非道の殺人を行っており、息子達が[[啓型神]]の性質を持っているように思う。</ref>。
 
== 息子たち ==
クードレットの記述による。
 
* ユリアン(後にキプロスの王になったという)
* ウード(外見と顔が炎のように燃えて見える)
* ギイ(後にアルメニアの王になったという)
* アントワーヌ(片頬に獅子の足が生えている)
* ルノー(一つ目)
* ジョフロワ(大牙が一本あり)
* フロモン(鼻の上に毛で覆われたアザがある)
* オリブル(三つ目)
 
== 象徴 ==
エリアーデによれば、メリュジーヌを構成する「女性」と「蛇」、そして伝承によっては加えられる「魚」といった要素は、いずれも豊穣のシンボルである。従って、メリュジーヌは豊穣、さらには再生を生み出す存在だと考えることができる<ref name="松平2005b_p222" /><ref group="私注">エリアーデの考察はざっくりしすぎていると思う。しかも「再生を生み出す」とはどういう意味なのだろうか?</ref>。
 
== お菓子 ==
<sup>''(出典の明記, 2015年11月10日 (火) 12:22 (UTC))''</sup>
ブルターニュ地域圏では近代まで、メリュジーヌが町を去ったとされる日に祭りが開かれ、屋台で人魚のような姿をした女性を木型で浮き彫りにした素朴な焼き菓子が売られていたという<ref group="私注">これは中国で言うところの「'''月餅'''」に相当するものではないか、と管理人は思う。</ref>。
 
この素朴な焼き菓子の名も「メリュジーヌ」と言った。
 
現代では、祭りが廃れこの「メリュジーヌ」も僅かな木型だけを残して姿を消している<ref group="私注">中国では月餅のことを[[嫦娥]]とは言わないが、現代でも盛んに食べられているように思う。</ref>。
== 語源 ==
メリュジーヌに似た鬼嫁の伝承は、初期のイギリス文学に登場する。ウェールズの年代記作家ジェラルドによると、イギリスのリチャード1世は、自分がアンジューの無名の伯爵夫人の子孫であるという話を好んでしていたという<ref>Flori, Jean (1999), Richard Coeur de Lion: le roi-chevalier, Paris: Biographie Payot, ISBN:978-2-228-89272-8</ref>。伝説では、初期のアンジュー伯爵が異国から来た美しい女性に出会ったとされている。彼らは結婚して4人の息子に恵まれた。しかし、妻が教会に来る回数が少なく、いつもミサの途中で帰ってしまうので、伯爵は悩むようになった。ある日、教会を出ようと立ち上がった妻を、4人の部下が無理やり拘束した。彼女は男たちをかわし、会衆が見ている前で、教会の一番高い窓から外に飛び出した。彼女は二人の末っ子を抱えて去っていった。残された息子の一人は、後のアンジュー伯爵の祖先であり、彼らの厄介な性格は悪魔的な背景から生まれたものであった<ref>Huscroft, R. (2016) ''Tales From the Long Twelfth Century: The Rise and Fall of the Angevin Empire'', Yale University Press, pp. xix–xx</ref><ref>Stevenson Joseph, https://books.google.com/books?id=DuLRAAAAMAAJ&pg=PA224 , The Church Historians of England: Prereformation series, Volume 5, Part 1, Seeleys, 1858, pages224</ref> 。
アキテーヌ公エレノアについても、14世紀のロマンス『リシャール・コア・ド・リヨン』に見られるように、同様の物語が語られるようになった。ヘンリー二世の妻はエレノアではなくカソドリエンという名前で、いつも聖体顕示の前にミサから去ってしまうという空想的な記述である。アキテーヌ公エレノアについても、14世紀のロマンス『リシャール・コア・ド・リヨン』に見られるように、同様の物語が語られるようになった。ヘンリー二世の妻はエレノアではなくカソドリエンという名前で、いつも聖体顕示の前にミサから去ってしまうという空想的な記述である。二人の間には3人の子供がいる。リチャード、ジョン、そしてトピヤスという娘である。カソドリエンがミサにとどまるようヘンリーに強要されたとき、彼女は娘を抱いて教会の屋根を飛び、二度と姿を現すことはなかった<ref>Turner Ralph V., Eleanor of Aquitaine: Queen of France, Queen of England, Yale University Press, 2009</ref><ref>Chapman Robert L., June 1955, A Note on the Demon Queen Eleanor , https://doi.org/10.2307/3039577, Modern Language Notes, volume70, issue6, pages393-396</ref>。
== 関連する伝説 ==
ジョン・マンデヴィル卿の旅行記には、ヒポクラテスの娘にまつわる伝説が語られている。女神ディアーヌによって百足の竜に変えられた彼女は、ある古城の「荘園夫人」である。彼女は年に3回出現し、騎士がキスをすると女性に戻り、騎士は彼女の夫となり、島々の支配者となるのだそうだ。様々な騎士が挑戦するが、恐ろしいドラゴンを見て逃げ出し、すぐに死んでしまう。これはメリュジーヌ伝説の初期のバージョンと思われる<ref>Christiane Deluz, ''Le livre de Jehan de Mandeville'', Leuven 1998, p. 215, as reported by Anthony Bale, trans., ''The Book of Marvels and Travels'', Oxford 2012, ISBN:0199600600, [https://books.google.com/books?id=KqonpxzxlFoC&pg=PA15 p. 15] and footnote</ref>。
呪われた蛇の乙女がキスで解放されるというモチーフは、「Le Bel Inconnu」の物語にも登場する。
A similar story became attached to == 私的考察 ==メリュジーヌは[[禁忌]]を破られて逃走する[[Eleanor of Aquitaine逃走女神]]である。日本神話の[[豊玉毘売], as seen in the 14th-century romance ]と起源は同じで良いと考える。一番古い起源は、中国神話の'''[[Richard Coer de Lyon嫦娥]].'' In this fantastical account, Henry II's wife is not named Eleanor but Cassodorien, and she always leaves Mass before the elevation of the Host. They have three children: Richard, John, and a daughter named Topyas. When Henry forces Cassodorien to stay in Mass, she flies through the roof of the church carrying her daughter, never to be seen again.<ref>{{Cite book |last=Turner |first=Ralph V. |title=Eleanor of Aquitaine: Queen of France, Queen of England |publisher=Yale University Press |year=2009}}</ref><ref>{{Cite journal |last=Chapman |first=Robert L. |date=June 1955 |title=A Note on the Demon Queen Eleanor |url=https://doi.org/10.2307/3039577 |journal=Modern Language Notes |volume=70 |issue=6 |pages=393-396 |via=JSTOR}}</ref>である。
==Related legends==もっとヨーロッパに近い起源としては、名前からメソポタミア神話のティアマトの最初の子音「T」が外れたもの、ヒッタイト神話の[[マリヤ]]、ギリシア神話の[[メーデイア]]が上げられるように思う。
''古い順にいえば、ティアマトのように「TNT」の子音の女神はカルタゴのタニトのように「幼児供犠」を求めた可能性があるように思う。その性質は(自らの子ではあるが)子供を連れ去るメリュジーヌの姿に残されているように思う。蛇を思わせる人型ではない女神である点もティアマトと類似しているように思う。このように「幼児」に対して残虐な性質は、弟をバラバラにして殺すギリシア神話の[[The Travels of Sir John Mandevilleメーデイア]]'' recounts a legend about [[Hippocrates]]' daughter. She was transformed into a hundred-foot long [[dragon]] by the goddess [[Artemis|Diane]], and is the "lady of the manor" of an old castle. She emerges three times a year, and will be turned back into a woman if a knight kisses her, making the knight into her consort and ruler of the islands. Various knights try, but flee when they see the hideous dragon; they die soon thereafter. This appears to be an early version of the legend of Melusine.<ref>Christiane Deluz, ''Le livre de Jehan de Mandeville'', Leuven 1998, p. 215, as reported by Anthony Bale, trans., ''The Book of Marvels and Travels'', Oxford 2012, {{ISBN|0199600600}}, [https://books.google.com/books?id=KqonpxzxlFoC&pg=PA15 p. 15] and footnote</ref>にもみられる。ティアマトは「神々の母」であり、おそらく「王権者の祖神」的な地位も占めていたと思われるので、その性質が「ヨーロッパの名歌の先祖」としてのメリュジーヌに投影されているように思う。
The motif of the cursed serpent-maiden freed by a kiss also appears in the story of ヒッタイト神話の[[Le Bel Inconnuマリヤ]].は建築の女神でもあり、その点は城を建てたりするメリュジーヌの性質と共通しているように思う。
==References in the arts and popular culture=====Arts==={{multiple issues|section=y|{{in popular culture|section|date=May 2017}}{{more citations needed section|date=May 2017}}}}[[Image:JuliusHubner Melusine.jpg|thumb|400px|"Melusine" by [[Julius Hübner]].]]* Melusine is the subject of [[Fromental Halévy|Halévy]]'s grand opera ''[[La magicienne]]'' (1858), although the story is greatly altered. Rather than a half-fairy under a curse, Melusine is a witch who has sold her soul to the Devil and is beautiful by day and hideous by night.* [[Johann Wolfgang von Goethe]] reinterpreted the legend in his short story ''Die Neue Melusine'' ("The New Melusine") and published it as part of ''Wilhelm Meisters Wanderjahre'' (1807)''.'' In this version, Melusine is a tiny elf who sometimes takes on human size.* The playwright [[Franz Grillparzer]] brought Goethe's tale to the stage and [[Felix Mendelssohn]] provided a [[concert overture]] ''[[Die schöne Melusine|The Fair Melusine]] (Zum Märchen von der Schönen Melusine)'', opus 32.* [[Marcel Proust]]'s main character compares Gilberte to Melusine in ''Within a Budding Grove''. She is also compared on several occasions to the Duchesse de Guermantes who was (according to the Duc de Guermantes) directly descended from the Lusignan dynasty. In the Guermantes Way, for example, the narrator observes that the Lusignan family "was fated to become extinct on the day when the fairy Melusine should disappear".<ref>{{harvp|Proust|1996|p=5}}</ref>* The story of Melusine (also called Melusina) was retold by [[Letitia Landon]] in the poem "The Fairy of the Fountains" in ''Fisher's Drawing Room Scrap Book''<ref>{{harvp|Landon|1834}}</ref> and reprinted in her collection ''The Zenana''. Here she is representative of the female poet. An analysis can be found in {{harvnb|DeLong|2012|pp=124–131}}.* In ''[[Our Lady of the Flowers]]'', [[Jean Genet]] twice says that Divine, the main character, is descended from "the siren Melusina".<ref>{{cite book |last=Genet |first=Jean |pages=198, 298 |publisher=Grove Press |year=1991 |title=Our Lady of the Flowers |isbn=9780802130136}}</ref>* [[Dorothy L. Sayers]]'s short story ''The leopard lady'' in the 1939 collection ''[[In the Teeth of the Evidence|In the teeth of the evidence]]'' features a Miss Smith "who should have been called Melusine".* Melusine appears to have inspired aspects of the character Mélisande, who is associated with springs and waters, in [[Maurice Maeterlinck]]'s play ''[[Pelléas and Mélisande]]'', first produced in 1893. [[Claude Debussy]] adapted it as an opera by the same name, produced in 1902.* [[Margaret Irwin (novelist)|Margaret Irwin's]] fantasy novel ''These Mortals'' (1925) revolves around Melusine leaving her father's palace, and having adventures in the world of humans.<ref>[[Brian Stableford]], " Re-Enchantment in the Aftermath of War", in Stableford, ''Gothic Grotesques: Essays on Fantastic Literature''. Wildside Press, 2009, {{ISBN|978-1-4344-0339-1}} (p.110-121)</ref>* [[Charlotte Haldane]] wrote a study of Melusine in 1936 (which her then husband [[J.B.S. Haldane]] referred to in his children's book "My Friend Mr Leakey").* Aribert Reimann composed an opera ''[[Melusine (Reimann)|Melusine]]'', which premiered in 1971.* The Melusine legend is featured in [[A. S. Byatt]]'s late 20th century novel ''[[Possession: A Romance|Possession]]''. One of the main characters, Christabel LaMotte, writes an epic poem about Melusina.* [[Philip the Good]]'s 1454 [[Feast of the Pheasant]] featured as one of the lavish 'entremets' (or table decorations) a mechanical depiction of Melusine as a dragon flying around the castle of [[Lusignan]].<ref>Jeffrey Chipps Smith, ''The Artistic Patronage of Philip the Good, Duke of Burgundy (1419–1467)'', PhD thesis (Columbia University, 1979), p. 146</ref>* [[Rosemary Hawley Jarman]] used a reference from [[Sabine Baring-Gould]]'s ''Curious Myths of the Middle Ages''<ref>"Stephan, a Dominican, of the [[Lusignan dynasty|house of Lusignan]], developed the work of [[Jean d'Arras]], and made the story so famous, that the families of [[House of Luxembourg|Luxembourg]], [[House of Rohan|Rohan]], and Sassenage altered their pedigrees so as to be able to claim descent from the illustrious Melusina", citing [[Jean-Baptiste Bullet]]'s ''Dissertation sur la mythologie française'' (1771).</ref> that the [[House of Luxembourg]] claimed descent from Melusine in her 1972 novel ''The King's Grey Mare'', making [[Elizabeth Woodville]]'s family claim descent from the water-spirit.<ref>{{cite book|first=Rosemary Hawley|surname=Jarman|author-link=Rosemary Hawley Jarman|chapter=Foreword|title=The King's Grey Mare|year=1972}}</ref> This element is repeated in [[Philippa Gregory]]'s novels ''[[The White Queen (novel)|The White Queen]]'' (2009) and ''[[The Lady of the Rivers]]'' (2011), but with [[Jacquetta of Luxembourg]] telling Elizabeth that their descent from Melusine comes through the [[Duke of Burgundy|Dukes of Burgundy]].<ref>{{cite book|first=Philippa|surname=Gregory|author-link=Philippa Gregory|chapter=Chapter One|chapter-url=http://www.philippagregory.com/assets/files/books/c378dc51467f69710c276f803d42762f.pdf|title=The White Queen|year=2009|title-link=The White Queen (novel)}}</ref><ref name="Women"/>* In ''[[The Wandering Unicorn]]'' (1965) by [[Manuel Mujica Láinez]], Melusine tells her tale of several centuries of existence, from her original curse to the time of the [[Crusades]].<ref>[http://worldcat.org/search?q=Wandering+Unicorn++Lainez&qt=results_page Láinez, Manuel Mujica (1983) ''The Wandering Unicorn'' Chatto & Windus, London] {{ISBN|0-7011-2686-8}};</ref>* In his 2016 novel ''In Search of Sixpence'' the writer [[Michael Paraskos逃走女神]] retells the story of Melusine by imagining her as a Turkish Cypriot girl forceably abducted from the island by a visiting Frenchman.* In the 2021 novel ‘’Matrix,’’ by としての性質であるが、ティアマトは「逃げ出す」というよりは「倒される女神」である。倒すのは近親であるマルドゥクを始めとした神々である。ヒッタイト神話の[[Lauren Groffマリヤ]], the poet Marie de France is said to be descended from the fairy Melusine.にはこのような性格は備わっていなかったかもしれない、と考える。古代エジプトで同系統の子音の女神であるネイトやタニトに「倒される女神」という性質はなく、地中海周辺の地域ではむしろこれらの群の女神は「祖神」あるいは「創造神」といった高い地位を保ったままだったのではないだろうか。ということは「ティアマト」のような「倒される女神」としての性質は後から付け加えたものと思われる。ヨーロッパでは「多神教時代」の女神は、キリスト教の時代になって、その地位は更に低下し、民間伝承の中の「妖精」のようなものとして生き残るようになったと思われる。
=== Other references ===* In [[Czech language|Czech]] and [[Slovak language|Slovak]], the word また「倒される女神」であった部分は、「自ら逃走する女神」へと変化している。メリジューヌが夫に課す「禁忌」は、一般的には彼女の存在を脅かすまでのものとは考えられにくく、禁忌を破るハードルが低く設定されているように思う。しかし、その理由は定かではないが、一般的な女性とは違って、メリュジーヌにはその「禁忌」は人間の世界での存在を左右する重要なものなのである。よって、禁忌が破られ、「人の世界」から逃走するメリュジーヌはある種「夫との愛と信頼を守る戦い」に敗れて死んだ、といえ、その点でマルドゥクとの戦いに敗れて死んだティアマトの姿を投影しているといえる。ただし、「女神がなぜ逃走するのか」という理由は、例えばエジプト神話において逃走する女神であるセクメトのような古い時代の神話でも明らかにはされておらず、「逃走」とは単に「死んだこと」を置き換えただけのことにも思える。要はメリュジーヌは「''meluzína'夫に殺された女神である' refers to wailing wind, usually in the chimney. This is a reference to the wailing Melusine looking for her children.<ref>{{cite book|last=Smith|first=G.S.|author2=C. M. MacRobert |author3=G. C. Stone |title=Oxford Slavonic Papers, New Series|publisher=Oxford University Press, USA|year=1996|edition=28, illustrated|volume=XXVIII|pages=150|url=https://books.google.com/books?id=Zjl-AAAAIAAJ&q=wind|isbn=978-0-19-815916-2}}</ref>*In June 2019, it was announced that Luxembourg's first [[petascale]] [[supercomputer]], a part of the [[European High-Performance Computing Joint Undertaking]] (EuroHPC JU) programme, is to be named "Meluxina".<ref>{{cite web |title=Le superordinateur luxembourgeois "Meluxina" fera partie du réseau européen EuroHPC |trans-title=Luxembourgish supercomputer "Meluxina" will be part of the EuroHPC European network |url=https://gouvernement.lu/fr/actualites/toutes_actualites/communiques/2019/06-juin/14-schneider-meluxina.html |website=gouvernement.lu |access-date=30 June 2019 |language=fr |date=14 June 2019}}</ref>* The [[Starbucks]] logo is based on the melusine of [[heraldry]], depicted as a siren or mermaid with a crown and two tails.<ref>{{Cite news|url= https://abcnews.go.com/Business/starbucks-drops/story?id=12554345|publisher=[[ABC News]]|title= Can You Say 'Melusine?" Starbucks Will Explain |last=Woodard |first=Larry|date=6 January 2011|accessdate=28 April 2021}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.fastcompany.com/90157014/the-starbucks-logo-has-a-secret-youve-never-noticed |title=The Starbucks Logo Has A Secret You」といえる。そして、ティアマトの神話からメリュジーヌの物語までの変遷を見ると、「禁忌を破られて逃走する女神」とは単に「殺された女神」を指し、それが変化したものであることが分かる。この「殺された女神」は「幼児供犠」を求めた女神であったかもしれないが、「've Never Noticed |last=Wilson |first=Mark |work=[[Fast Company]] |date=17 January 2018 |accessdate= 7 June 2021}}</ref>* In [[Monster Musume]], a subspecies of lamia that has a pair of bat wings is named after her.<ref>{{cite web|url=https://i.kym-cdn.com/photos/images/original/000/998/109/357.png|title=Lamia and Their Subspecies}}</ref>* In 2022, the [[Postage stamps and postal history of France|French postal system]] released a 1.65 euro stamp depicting ''la fee melusine'' as part of a series of myths and legends.<ref> [https://www.wikitimbres.fr/timbres/12908/2022-mythes-et-legendes-la-fee-melusine-europa]</ref><ref>[https://www.lecarredencre.fr/timbre/serie-europa-mythes-et-legendes-melusine/]</ref>'」はそれとは関係なく彼女を殺し、「'''夫'''」そのものが「妻を人身御供にする存在」へと移り変わっている、といえる。大抵の「夫」は彼女によって栄光や子孫を得、子孫は人の世での権力や名誉を得ていると言われるが、それは最初の先祖である「メリュジーヌの夫」が妻によって名誉や権力を得たからともいえる。彼は妻を人身御供にすることで、自らが権力や名誉を得たのである。
==See also==*そもそもの起源といえる中国神話では、[[Echidna (mythology)嫦娥]], Greek Mythological serpent woman, mother of monsters*の夫の[[Shahmaran羿]], Benevolent serpent-woman from Anatolian and Iranian mythology*は「父」ともいえる帝夋の不興を買っており「同族」や「仲間同士」の間での不和があることが示されている。また、中国神話で「罰を受ける女神」の代表格である[[Legend of the White Snake織女]]*も結婚したことで近親の不興を買っている。本来、「逃走女神」の「'''死'''」の原因は彼女の結婚に関して、同族の不興を得、同族から報復された、あるいは粛正された、というものだったのではないだろうか。メソポタミア神話のティアマトを殺すのは子孫に当たるマルドゥクである。インド神話の火の神アグニや、日本神話の火之迦具土神には母親を焼き殺す神話があり、マルドゥクが太陽神の延長であることと一致する。朝鮮神話の[[Morgen (mythological creature)朱蒙]]*の母である[[Neck (water spirit)柳花夫人]]*[[Naiad]]*[[Potamides (mythology)]]*も結婚に関して同族の不興を得ている。このように、「結婚に関して同族の不興を得て殺された女神(的女性)」が歴史的に存在したとしても、その死に彼女の夫が関連しないわけではないので、ヨーロッパでは彼女の物語は親族による粛正ではなく、「'''夫の裏切りにより妻は死ぬ'[[Partonopeus de Blois]]''*」という形式の物語に変化したものと思われる。中国神話の[[Yuki-onna嫦娥]]*が、そもそも夫の羿から逃げ出す女神であるので、このような変化というか「作り替え」は中国神話の段階から始まっていた可能性があると考える。それが各地に伝播したものがメリジューヌでもあり、[[Knight of the Swan豊玉毘売]]でもあると考える。
== Literature ==* {{cite book |first1=Donald |last1=Maddox |first2=Sara |last2=Sturm-Maddox |title=Melusine of Lusignan: foundling fiction in late medieval France |year=1996 |isbn=9780820318233}} Essays on the ''Roman de Mélusine'' (1393) of 「龍蛇女神」という点では、メリュジーヌは[[Jean d'Arras女媧]].* {{cite book |first=Lydia |last=Zeldenrust |title=The Mélusine Romance in Medieval Europe: Translation, Circulation, and Material Contexts |location=Cambridge |publisher=D.S. Brewer |year=2020 |ISBN=9781843845218}} On the many translations of the romance, covering French, German, Dutch, Castilian, and English versions.* {{cite book |first=Jean |last=d'Arras |title=Mélusine, roman du XIVe siècle |editor-first=Louis |editor-last=Stouff |location=Dijon |publisher=Bernigaud & Privat |year=1932 |language=French}} A scholarly edition of the important medieval French version of the legend by Jean d'Arras.*{{cite book |first=Otto J. |last=Eckert |title=Luther and the Reformation |format=lecture |year=1955 |url=http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:-6AU_rXMR5gJ:www.wls.wels.net/library/Essays/Authors/E/EckertReformation/EckertReformation.pdf+Heraldry+Melusina&hl=en}}* {{cite book |last=Proust |first=Marcel |translator-first=C. K. |translator-last=Scott-Moncrieff |title=Within A Budding Grove |page=190 |year=1996 |isbn=9780099362319}}* が起源といえる。「[[Letitia Elizabeth Landon女媧型女神]], Fisher's Drawing Room Scrap Book, 1835 (1834).<ref> {{cite book|last =Landon|first=Letitia Elizabeth|title=Fisher's Drawing Room Scrap Book, 1835|url=https://play.google.com/books/reader?id=Bzk_AAAAYAAJ&pg=GBS.PA57|section=poem|year=1834|publisher=Fisher, Son & Co.}}</ref> {{ws|」の1形である。(起源については「[[s:Letitia Elizabeth Landon (L. E. L.) in Fisher's Drawing Room Scrap Book, 1835/The Fairy of the Fountains|The Fairy of the Fountains]]}}* {{cite book |first=Anne |last=DeLong |title=Mesmerism, Medusa and the Muse: The Romantic Discourse of Spontaneous Creativity |year=2012 |isbn=9780739170434}} ==External links==*[http://www.pitt.edu/~dash/melusina.html "Melusina"], translated legends about mermaids and water sprites that marry mortal men, with sources noted, edited by [[D. L. Ashliman]], at University of Pittsburgh*{{usurped|[https://web.archive.org/web/20061111101830/http://www.endicott-studio.com/rdrm/rrMarriedToMagic.html Terri Windling, "Married to Magic: Animal Brides and Bridegrooms in Folklore and Fantasy"]}}*[https://archive.org/details/melusine00jeanuoft Jean D'Arras, ''Melusine''], Archive.org*{{Cite EB1911|wstitle=Mélusine |short=x}}  == 伝説の概要 ==メリュジーヌの伝説は、フランスでは14世紀より前から'''メリサンド'''という名でも知られ、民話にも登場していた<ref name="ローズp431" />。その原型は、ずっと以前から知られている[[ヴイーヴル]]や[[セイレーン嫦娥]]といった怪物であろうとも考えられている<ref name="松平2005b_p222" />。 1397年にフランスのジャン・ダラス(Jean d'Arras)<ref group="注釈">ジャン・ダラスは、ジャン・ド・ベリー公の元で司書および製本職人として働いていた。</ref><ref name="蔵持p10">蔵持 (2005), p. 10.</ref>が『メリュジーヌ物語』を散文で著し<ref name="ローズp431" />、その後クードレット(Couldrette)<ref group="注釈">クルドレッド(クードレット)は、リュジニャン家の当主ジャン2世の元で司祭を務めていた</ref><ref name="蔵持p10" />。という人物が1401年以降にパルトゥネの領主に命じられ『メリュジーヌ物語、あるいはリュジニャン一族の物語 (''Le roman de Mélusine ou histoire de Lusignan」の私的考察も参照のこと。)彼女のそもそもの役割が「'' )』を韻文で書き上げたことで広く知られるようになった。その物語とは次のようなものである。 メリュジーヌは、泉の妖精プレッシナとスコットランドのオルバニー(アールバニー)王エリナスの子<ref group="注釈">松平の説明によれば、妖精の[[モーガン・ル・フェイ|モルガン]]の妹・プリジーヌ([[アーサー王]]とは父親の異なる兄妹の関係となる)の子で、のアルバニア王エリナスとの間に生まれた姫</ref><ref name="松平2005b_p222" />。である。母親の出産時に、禁忌とされていた妖精の出産を父親である領主が見てしまったために、メリュジーヌと2人の妹、メリオールとプラティナは妖精の国に戻されてしまった。成長したメリュジーヌと妹達は復讐心を募らせ、結託して父親をイングランドのノーサンブリアのある洞窟に幽閉した<ref group="注釈">異説では母親を陥れようとした<sup>'幼児供犠を求める'(要出典, 2015-11-10)''</sup>。</ref>。ところが母親は夫を愛するがゆえに、メリュジーヌと妹達に、週に1日だけ腰から下が蛇の姿となるという呪いをかけた<ref name="ローズp431" /><ref name="松平2005b_p222" />。さらに、もし変身した姿を誰かに見られた場合には、永久に下半身が蛇で翼を持った姿のままとなってしまう<ref name="ローズp431" /><ref group="注釈">別のヴァリアントでは、メリュジーヌはもともと泉を掌る妖精とアールバニーの領主の間に生まれた姫君であった。人間の男の愛を得れば呪いが解けると聞かされて、メリュジーヌは領主に近づいたのであった。</ref>。従って、メリュジーヌが誰かと愛を育むには、その1日に彼女の姿を見ないという約束を果たせる者と出会わねばならなかった。 ポワトゥー伯のレイモン<ref name="ローズp431" />(またはフォレ伯の子レモンダン<ref name="松平2005b_p221">松平 (2005b), p. 221.</ref>)は、」というものであったのならば、彼女が結婚に際して放棄した「'''おじを誤って殺したことから家族の元を離れていた役目'''が、ある日メリュジーヌと会って恋に落ち、メリュジーヌも「土曜日に自分の姿を決して見ないこと」という誓約を交わした上で結婚する。彼女は夫に富をもたらし、10人の子供を儲けた。また、彼女の助力もあってレイモン(レモンダン)はリュジニャン城を建て、町も築くことができた<ref name="松平2005b_p221" />。ところが夫は悪意のこもった噂を耳にすると<ref name="アランp209">アラン,上原訳 (2009), p. 209.</ref>、つい誓約を破り、沐浴中のメリュジーヌの正体を見てしまった<ref group="注釈">神話類型として、」とは人身御供に関することだったのではないだろうか。[[禁忌|見るなのタブーアリアドネー]]が見受けられる。</ref><ref name="蔵持p10" />。。部屋に1人閉じこもっていた彼女の姿は上半身こそ人間だったが、下半身は巨大な蛇<ref name="松平2005b_p222">松平 (2005b), p. 222.</ref>(あるいは魚<ref name="アランp209" />)になっていたのだった<ref group="私注">レイモンは目上の身内を殺しており、が人身御供を止めようとする[[啓型神]]の性質を持っているように思う。</ref>。 誓約を破られたため、メリュジーヌは竜の姿になって城を飛び出していった<ref name="ローズp431" /><ref name="松平2005b_p222" />。しかしまだ小さい子供がいたことから、授乳のために一時城に戻ったほか、城の城主や子孫の誰かが亡くなる直前にも戻ったという<ref name="松平2005b_p222" />。そのため、城主らの死が近づくと、城壁の上に幽霊のようにメリュジーヌが姿を現しては泣き悲しむ様子が見られたという。メリュジーヌの子供達の多くは化け物の性質を持っていたものの、問題なく生まれた2人の子供の血統からは、後のフランス君主が立ったという<ref name="ローズp431" />。リュジニャン城は後に取り壊され、現在は存在しない<ref name="アランp209" />。 別のヴァリアントでは、メリュジーヌはブルターニュ伯(あるいはポワトゥー伯)の下に美女の姿で現れて求婚し、妻となって後は彼を助けたが、「日曜日に必ず沐浴するので、決して覗かないこと」という誓約を夫に破られ、正体を明かされる。夫は、メリュジーヌが人間でないことを知ってからも妻とし続けたが、2人の間に生まれた気性の荒い異形の'''息子達が町で殺人を犯した'''と聞いて激昂し、息子達の性格上の欠陥の原因を彼女の正体のせいだとして、「化け物女」と罵倒したため、自尊心を傷つけられた彼女は正体を現し、教会の塔を打ち壊して川に飛び込んで行方をくらましたという。その後、彼女は水妖の一員となった。紋章などに用いられている尾が2つあるマーメイドは彼女の姿であるとされている<ref group="私注">こちらは息子達が非道の殺人を行っており、息子達が[[啓型神]]の性質を持っているように思う。</ref>。 == 息子たち ==クードレットの記述による。 * ユリアン(後にキプロスの王になったという)* ウード(外見と顔が炎のように燃えて見える)* ギイ(後にアルメニアの王になったという)* アントワーヌ(片頬に獅子の足が生えている)* ルノー(一つ目)* ジョフロワ(大牙が一本あり)* フロモン(鼻の上に毛で覆われたアザがある)* オリブル(三つ目) == 象徴 ==エリアーデによれば、メリュジーヌを構成する「女性」と「蛇」、そして伝承によっては加えられる「魚」といった要素は、いずれも豊穣のシンボルである。従って、メリュジーヌは豊穣、さらには再生を生み出す存在だと考えることができる<ref name="松平2005b_p222" /><ref group="私注">エリアーデの考察はざっくりしすぎていると思う。しかも「再生を生み出す」とはどういう意味なのだろうか?</ref>。 == お菓子 ==<sup>''(出典の明記, 2015年11月10日 (火) 12:22 (UTC))''</sup>ブルターニュ地域圏では近代まで、メリュジーヌが町を去ったとされる日に祭りが開かれ、屋台で人魚のような姿をした女性を木型で浮き彫りにした素朴な焼き菓子が売られていたという<ref group="私注">これは中国で言うところの「'''月餅'''」に相当するものではないか、と管理人は思う。</ref>。 この素朴な焼き菓子の名も「メリュジーヌ」と言った。 現代では、祭りが廃れこの「メリュジーヌ」も僅かな木型だけを残して姿を消している<ref group="私注">中国では月餅のことを[[嫦娥]]とは言わないが、現代でも盛んに食べられているように思う。</ref>。 == 私的考察 ==メリュジーヌは[[禁忌]]を破られて逃走する[[逃走女神]]である。日本神話の[[豊玉毘売]]と起源は同じで良いと考える。起源は中国神話の'''[[嫦娥]]'''である。 [[嫦娥]]の夫の[[羿]]は「父」ともいえる帝夋の不興を買っており「同族」や「仲間同士」の間での不和があることが示されている。[[羿]]は「弓の名手」とされ、[[黄帝]]の要素が投影された存在である。([[黄帝]]は兄弟である[[炎帝神農|炎帝]]と争いを生じている、と言われている。実際に[[炎帝神農|炎帝]]と[[黄帝]]が兄弟であったか否かは別として、[[羿]]と[[黄帝]]は同族同士の争いを示唆する存在とえる。)その[[羿]]に異母兄と争った[[啓]]の要素が加えられて、メリュジーヌの夫レイモンと[[豊玉毘売]]の夫[[山幸彦と海幸彦|山幸彦]]は作られている。 「龍蛇女神」という点では、メリュジーヌは[[女媧]]が起源といえる。「[[女媧型女神]]」の1形である。(起源については「[[嫦娥テーセウス]]」の私的考察も参照のこと。)を助けたように、である。そのために彼女自身が親族から粛正されて、親族の繁栄のための人身御供にされたという事実があったとするならば、一方で彼女を太母として崇めながら、一方で彼女を悪しき者として殺してしまうという矛盾を含んだ古代の信仰と神話を生み出しているように思う。
== 参考文献 ==
** ローズ・キャロル, 松村一男監訳, 世界の怪物・神獣事典, 原書房, シリーズ・ファンタジー百科, 2004-12, メリュジーヌ, p. 431, isbn:978-4-562-03850-3
** クードレット, 森本英夫・傳田久仁子訳, 妖精メリュジーヌ伝説, 社会思想社, 現代教養文庫 1584, 1995-12, isbn:978-4-390-11584-1
* Wikipedia:[https://en.wikipedia.org/wiki/Melusine Melusine](最終閲覧日:23-01-30)
** Donald Maddox, Sara Sturm-Maddox, Melusine of Lusignan: foundling fiction in late medieval France, 1996, isbn:9780820318233, Essays on the ''Roman de Mélusine'' (1393) of Jean d'Arras.
** Lydia Zeldenrust, The Mélusine Romance in Medieval Europe: Translation, Circulation, and Material Contexts, Cambridge, D.S. Brewer, 2020, ISBN:9781843845218, On the many translations of the romance, covering French, German, Dutch, Castilian, and English versions.
** Jean d'Arras. Mélusine, roman du XIVe siècle, Louis Stouff, Dijon, Bernigaud & Privat, 1932, French, A scholarly edition of the important medieval French version of the legend by Jean d'Arras.
** Otto J. Eckert, Luther and the Reformation, lecture, 1955, http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:-6AU_rXMR5gJ:www.wls.wels.net/library/Essays/Authors/E/EckertReformation/EckertReformation.pdf+Heraldry+Melusina&hl=en
** Proust, Marcel, C. K. Scott-Moncrieff, Within A Budding Grove, page190, year1996, isbn:9780099362319
** Letitia Elizabeth Landon, Fisher's Drawing Room Scrap Book, 1835 (1834).<ref>Landon, firsetitia Elizabeth, Fisher's Drawing Room Scrap Book, 1835, https://play.google.com/books/reader?id=Bzk_AAAAYAAJ&pg=GBS.PA57, poem, 1834, Fisher, Son & Co.</ref> The Fairy of the Fountains
** Anne DeLong, Mesmerism, Medusa and the Muse: The Romantic Discourse of Spontaneous Creativity, 2012, isbn:9780739170434
== 関連資料 ==
* フィリップ・ヴァルテール『ユーラシアの女性神話-ユーラシア神話試論Ⅱ』(渡邉浩司・渡邉裕美子訳)中央大学出版部 2021年8月25日、ISBN 978-4-8057-5183-1。―この本で著者が「特に注目しているのは、「メリュジーヌ型」のユーラシア的展開」(訳者前書き)である。
* 松村朋彦「異類の女性――『メルジーネ』から『崖の上のポニョ』まで」『希土』希土同人社、第46号 2021年9月1日、 ISSN 0387-3560、pp. 2-16.―対象としている作品は、民衆本『メルジーネ』(1474)、フーケー『ウンディーネ』(1811)、アンデルセン『人魚姫』(1837)、ホフマンスタール『影のない女』(1919)、バッハマン『ウンディーネ行く』(1961)、宮崎駿『崖の上のポニョ』(2008)の6作品。
 
== 芸術と大衆文化における参考文献 ==
=== 芸術 ===
* メリュジーヌは、ハレヴィの大作オペラ『ラ・マジシャンヌ』(1858年)の主題であるが、物語は大きく変容している。メリュジーヌは、呪いをかけられた半妖精ではなく、悪魔に魂を売った魔女で、昼は美しく、夜は醜悪な姿をしている。
* ゲーテは、この伝説を短編小説『新メリュジーヌ』にまとめ、『ヴィルヘルム・マイスターズ・ワンダイヤハレ』(1807年)の中で発表した。この物語では、メリュジーヌは小さな妖精で、時々人間の大きさになる。
* 劇作家のフランツ・グリルパルツァーはゲーテの物語を舞台化し、フェリックス・メンデルスゾーンは演奏会用序曲『妖精メルジーヌ』(作品32)を作曲している。
* マルセル・プルーストの主人公は、『芽吹きの木立の中で』でジルベルをメリュジーヌに例えている。また、(ゲルマン公爵によれば)リュシニャン王朝の直系であるゲルマン公爵夫人とも幾度か比較されている。例えば『ゲルマント道』では、語り手はリュシニャン家が「妖精メリュジーヌが消え去る日に絶滅する運命にある」と述べている<ref>Proust, 1996, p5</ref>。
* メリュジーヌ(メルシナとも呼ばれる)の物語は、レティシア・ランドンが『フィッシャーの応接室スクラップ・ブック』<ref>Landon, 1834</ref>の詩「泉の妖精」で語り、彼女の作品集『ゼナナ』に再録された。ここで彼女は女流詩人の代表格となる。分析はDeLong 2012, pp.124-131に掲載されている。
* ジャン・ジュネは『花の聖母』の中で、主人公のディヴィーヌが「セイレーンのメルシナ」の子孫であることを二度にわたって述べている<ref>Genet Jean, pages198, 298, Grove Press, 1991, Our Lady of the Flowers , isbn:9780802130136</ref>。
* ドロシー・L・セイヤーズの短編集『In the teeth of the evidence』に収録されている「The leopard lady」には、「メリュジーヌと呼ばれるべき」ミス・スミスが登場します。
* メリュジーヌは、1893年に初演されたモーリス・メーテルリンクの戯曲『ペレアスとメリザンド』に登場する、泉や水を連想させるキャラクター、メリザンドにインスピレーションを受けたと思われる。ドビュッシーは、この曲をオペラ化し、1902年に上演した。
* マーガレット・アーウィンのファンタジー小説『These Mortals』(1925年)は、父の宮殿を出たメリュジーヌが人間の世界で冒険をする話である<ref>Brian Stableford, " Re-Enchantment in the Aftermath of War", in Stableford, ''Gothic Grotesques: Essays on Fantastic Literature''. Wildside Press, 2009, ISBN:978-1-4344-0339-1 (p.110-121)</ref>。
* シャーロット・ハルデインは1936年にメリュジーヌの研究を書いている(当時の夫J.B.S.ハルデインが児童書『My Friend Mr Leakey』の中で紹介している)。
* アリベルト・ライマンはオペラ「メルシーネ」を作曲し、1971年に初演している。
* メリュジーヌ伝説は、20世紀末のA・S・バイアットの小説『ポゼッション』に登場する。主人公の一人、クリスタベル・ラモットはメリュジーヌについて叙事詩を書く。
* 1454年にフィリップ善良公が行った「雉の饗宴」では、豪華な「アントルメ」(テーブル装飾)のひとつとして、竜に扮したメリュジーヌがリュシニャン城の周囲を飛び回る機械仕掛けの絵が描かれていた<ref>Jeffrey Chipps Smith, ''The Artistic Patronage of Philip the Good, Duke of Burgundy (1419–1467)'', PhD thesis (Columbia University, 1979), p. 146</ref>。
* ローズマリー・ホーリー・ジャーマンは1972年の小説『王の灰色の牝馬』の中で、サビーン・ベリング=グールドの『中世の不思議な神話』<ref>"Stephan, a Dominican, of the house of Lusignan, developed the work of Jean d'Arras, and made the story so famous, that the families of Luxembourg, Rohan, and Sassenage altered their pedigrees so as to be able to claim descent from the illustrious Melusina", citing Jean-Baptiste Bullet's ''Dissertation sur la mythologie française'' (1771).</ref>から、ルクセンブルク家がメルシンの子孫であるとする記述を用い、エリザベス・ウッドヴィルの家族が水の精霊の子孫であるとするように仕向けた<ref>Rosemary Hawley Jarman, Foreword, The King's Grey Mare, 1972</ref>。この要素はフィリッパ・グレゴリーの小説『白の女王』(2009年)と『川の女』(2011年)で繰り返されるが、ルクセンブルクのジャケッタがエリザベスに、メルシネからの子孫はブルゴーニュ公家を経由していると語っている<ref>Philippa Gregory, Chapter One, http://www.philippagregory.com/assets/files/books/c378dc51467f69710c276f803d42762f.pdf, The White Queen, 2009, The White Queen (novel)</ref><ref name="Women"/>。
* マヌエル・ムヒカ・ライネス作『さまよえる一角獣』(1965年)では、メリュジーヌが最初の呪いから十字軍の時代まで、数世紀にわたる存在の物語を語っている<ref>[http://worldcat.org/search?q=Wandering+Unicorn++Lainez&qt=results_page Láinez, Manuel Mujica (1983) ''The Wandering Unicorn'' Chatto & Windus, London], ISBN:0-7011-2686-8</ref>。
* 作家のマイケル・パラスコスは2016年の小説『In Search of Sixpence』で、メリュジーヌの物語を、来日したフランス人によって強制的に島から誘拐されたトルコ系キプロス人の少女と想像して再演している。
* ローレン・グロフの2021年の小説「マトリックス」では、詩人マリー・ド・フランスが妖精メリュジーヌの子孫であると言われている。
 
=== その他参考文献 ===
* チェコ語やスロバキア語では、メリュジーヌ(meluzína)という単語は、通常煙突の中で哭く風を指す。これは、子供たちを探して慟哭するメリュジーヌにちなむものである<ref>Smith G.S., C. M. MacRobert, G. C. Stone , Oxford Slavonic Papers, New Series, Oxford University Press, USA, 1996, edition28, illustrated, volume:XXVIII, pages150, https://books.google.com/books?id=Zjl-AAAAIAAJ&q=wind, isbn:978-0-19-815916-2</ref>。
* 2019年6月、欧州高性能コンピューティング共同事業(EuroHPC JU)プログラムの一環であるルクセンブルク初のペタスケールスパコンが「Meluxina」と命名されることが発表された<ref>Le superordinateur luxembourgeois "Meluxina" fera partie du réseau européen EuroHPC, Luxembourgish supercomputer "Meluxina" will be part of the EuroHPC European network, https://gouvernement.lu/fr/actualites/toutes_actualites/communiques/2019/06-juin/14-schneider-meluxina.html, gouvernement.lu, 30 June 2019, 14 June 2019</ref>。
* スターバックスのロゴは、王冠と2本の尾を持つセイレーンまたは人魚として描かれた紋章学のメリュジーヌをベースにしている<ref>https://abcnews.go.com/Business/starbucks-drops/story?id=12554345, ABC News, Can You Say 'Melusine?" Starbucks Will Explain, Woodard Larry, 6 January 2011, 28 April 2021</ref><ref>https://www.fastcompany.com/90157014/the-starbucks-logo-has-a-secret-youve-never-noticed
, The Starbucks Logo Has A Secret You've Never Noticed, Wilson Mark, Fast Company, 17 January 2018, 7 June 2021</ref>。
* 『モンスター娘』では、一対のコウモリの羽を持つラミアの亜種が彼女の名を冠している<ref>https://i.kym-cdn.com/photos/images/original/000/998/109/357.png, Lamia and Their Subspecies</ref>。
* 2022年、フランスの郵便制度は、神話と伝説のシリーズの一部として、ラ・フィーユ・メリュジーヌを描いた1.65ユーロの切手を発売した<ref> [https://www.wikitimbres.fr/timbres/12908/2022-mythes-et-legendes-la-fee-melusine-europa]</ref><ref>[https://www.lecarredencre.fr/timbre/serie-europa-mythes-et-legendes-melusine/]</ref>。
 
== 外部リンク ==
* [https://archive.org/details/melusine00jeanuoft ''Melusine'', by Jean, d'Arras] - Internet Archive
* [http://www.pitt.edu/~dash/melusina.html "Melusina"], translated legends about mermaids and water sprites that marry mortal men, with sources noted, edited by D. L. Ashliman, at University of Pittsburgh
* [https://web.archive.org/web/20061111101830/http://www.endicott-studio.com/rdrm/rrMarriedToMagic.html Terri Windling, "Married to Magic: Animal Brides and Bridegrooms in Folklore and Fantasy"]
* [https://archive.org/details/melusine00jeanuoft Jean D'Arras, ''Melusine''], Archive.org
== 関連項目 ==
* [[啓型神]]
== 外部リンク ==* [https://archive.org/details/melusine00jeanuoft ''Melusine''エキドナ* シャフマラン, by Jean, d'Arras] Benevolent serpent- Internet Archivewoman from Anatolian and Iranian mythology* 白蛇伝* モルゲン* ノッケン* ナーイアス* ポタミディス* 雪女* 白鳥の王
== 注釈 ==

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