後世、ウルクでの信仰が盛んになる一方で<ref>Black, Green, 1992, page99</ref>、上メソポタミア王国のアッシリア(現在のイラク北部、シリア北東部、トルコ南東部)、特にニネヴェ、アシュスール、アルベラ(現在のエルビル)でイシュタルの信仰が盛んになった<ref>Guirand, 1968, page58</ref>。アッシュールバニパル王の時代には、イシュタルはアッシリアの国神アシュールをも凌ぐ、アッシリアのパンテオンの中で最も重要で広く崇拝される神々に成長した<ref>Black, Green, 1992, page99</ref>。アッシリアの第一神殿で発見された奉納品から、彼女が女性の間で人気のある神であったことがわかる<ref>Asher-Greve, Westenholz, 2013, p20</ref>。
伝統的な性別の二元論に反対する者は、イナンナの信仰に深く関わっていた<ref>Leick, 2013, pages157–158</ref>。シュメール時代には、イナンナの神殿でガラ(gala)と呼ばれる神官たちが働き、哀歌や嘆きを奏でたという<ref>Leick, 2013, page285</ref>。。ガラになった男性は女性の名を名乗ることもあり、その歌はシュメール語のエメ・サル(''eme-sal'')という方言で詠まれた。この方言は、文学作品では通常、女性の登場人物が話すためのものである。