'''スギ'''([[学名]](学名: ''Cryptomeria japonica'')は、ヒノキ科スギ亜科スギ属で常緑針葉樹である。主に本州以南の山地に生え、広く植林されている。
== 名前と分類 ==
== 生態 ==
スギは常緑樹であるが、一般に葉の色は常に緑ではなく冬季には葉の色が赤褐色に変化し{{sfn|<ref>田中潔|, 2011|p=108}}、春には緑に戻るということを繰り返す。これは[[ロドキサンチン]]という色素によるものだとされており、[[光合成]]機能が低下する低温条件下で太陽光による障害(光阻害)を防ぐ効果があると見られている, p108</ref>、春には緑に戻るということを繰り返す。これはロドキサンチンという色素によるものだとされており、光合成機能が低下する低温条件下で太陽光による障害(光阻害)を防ぐ効果があると見られている<ref>向井譲 (2004) 低温条件下で樹木が受ける光ストレスとその防御機能. 日本林学会誌86(1), pp. 48 - 53. {{doi|:10.11519/jjfs1953.86.1_48}}</ref>。このような低温条件下での光阻害とその対応が種の分布を決める一因となっているとして、高山帯に分布する[[マツ科]]や[[ツツジ科]]を中心に研究が進んでいるという。このような低温条件下での光阻害とその対応が種の分布を決める一因となっているとして、高山帯に分布するマツ科やツツジ科を中心に研究が進んでいるという<ref>丸田恵美子・中野隆志 (1999) 中部山岳地域の亜高山帯針葉樹と環境ストレス (<特集>中部山岳地域の高山・亜高山帯における植物群落の現状と将来). 日本生態学会誌49(3), pp. 293 - 300. {{doi|:10.18960/seitai.49.3_293}}</ref><ref>宇梶徳史・原登志彦 (2007) Expressed sequence tags (EST)から見た樹木の越冬戦略. 日本生態学会誌57(1), pp. 89 - 99. {{doi|:10.18960/seitai.57.1_89}}</ref>。なお、スギの針葉の変色については冬でも変化せず緑色を保つものや、黄白色に変色するものなども知られる。緑色のままのものや黄白色に変化するという[[形質]]は赤褐色に変化するものに対して劣性形質であるとされる<ref>大庭喜八郎 (1972) メアサ,キリシマメアサおよびアオスギのミドリスギ劣性遺伝子. 日本林学会誌54(1), pp. 1 - 5. {{doi|:10.11519/jjfs1953.54.1_1}}</ref>
スギの[[根]]は[[菌類]]と共生し[[菌根]](mycorrhiza)を形成している。スギが形成する菌根は草本植物や熱帯の樹木に多いといわれる[[アーバスキュラー菌根]](arbuscular mycorrhiza, AM)と呼ばれるもので、温帯域で繁栄しているマツ科針葉樹や[[ブナ科]]広葉樹が形成する外生菌根(ectomycorrhiza)とは異なるものである。同一個体における菌根菌への感染率は季節を通じて常に一定ではなく変動があるという<ref>畑邦彦・木本遼太郎・曽根晃一 (2018) スギ成木および実生におけるアーバスキュラー菌根菌の感染率の季節変化. 日本林学会誌100(1), pp. 3 - 7. {{doi|10.4005/jjfs.100.3}}</ref>。マツ科針葉樹ではしばしば[[アレロパシー]](他感作用)を持ちほかの植物の生育を阻害しているする報告がしばしばある<ref>Il Koo LEE, Masami MONSI. (1963) Ecological Studies on ''Pinus densiflora'' Forest 1 -Effects of Plant Substances on the Floristic Composition of the Undergrowth-. The Botanical Society of Japan 76(905), pp. 400 - 413. {{doi|10.15281/jplantres1887.76.400}}</ref><ref>高橋輝昌・鷲辺章宏・浅野義人・小林達明, (1998) 木本類における他感作用. ランドスケープ研究62(5), pp. 525 - 528. {{doi|10.5632/jila.62.525}} </ref>が、スギでは特に知られていない。ただし、スギが混交するブナ科森林では[[外菌根|外生菌根]]を形成する菌根菌の種類が減少するという報告がある<ref>岡部宏秋,(1994) 外生菌根菌の生活様式(共生土壌菌類と植物の生育). 土と微生物24, pp. 15 - 24.{{doi|10.18946/jssm.44.0_15}}</ref>