ヨシは風が吹いて地面に倒されても、茎が柔軟なため折れることがなく、やがて起き上がって上に向かって生長する<ref>藤井義晴, 2019, p148</ref>。また、ヨシは他の植物が生えない純群落をつくる<ref>藤井義晴, 2019, p148</ref>。ヨシのアレロパシーについては、大量に含まれる没食子酸が分解して、メソシュウ酸(MOA)という物質が生成され、これが雑草の発生を抑制するアレロケミカルとして報告されている<ref>藤井義晴, 2019, p146</ref>。没食子酸は、多くの植物に含まれている代表的な加水分解性タンニンである<ref>藤井義晴, 2019, p146</ref>。また、メソシュウ酸は、別名タルトロン酸または、2-ヒドロキシン酸ともよばれ、大量に体内に摂取されると毒性がある物質である<ref>藤井義晴, 2019, p146</ref>。
類似種に[[ツルヨシ]]があり、地表に[[匍匐茎]]を伸ばして節に毛があり、葉身の基部は耳状に突き出ず、葉鞘の上部が赤紫であるところが相違点である{{sfn|類似種にツルヨシがあり、地表に匍匐茎を伸ばして節に毛があり、葉身の基部は耳状に突き出ず、葉鞘の上部が赤紫であるところが相違点である<ref>馬場篤|, 1996|p=113}}。, p113。
== 分布・生育地 ==
世界の[[温帯]]から[[亜寒帯]]にかけて、広く分布する{{sfn|世界の温帯から亜寒帯にかけて、広く分布する<ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}。[[日本]]では[[北海道]]、[[本州]]、[[四国]]、[[九州]]、[[沖縄]]に分布する{{sfn|, p238</ref>。日本では北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布する<ref>鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|, 2012|p=217}}, p217</ref>。
各地の[[池]][[沼]]、[[河岸]]、[[湿地]]など、水辺に自生する{{sfn|各地の池沼、河岸、湿地など、水辺に自生する<ef>馬場篤|, 1996|p=113}}{{sfn|, p113</ref><ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}, p238</ref>。塩分に耐える性質があり{{sfn|<ref>近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著|, 2010|p=238}}、主として[[河川]]の下流域から[[汽水]]域上部、あるいは[[干潟]]の陸側に広大な茂み([[ヨシ原]])を作り、場合によってはそれは最高100[[ヘクタール]] , p238</ref>、主として河川の下流域から汽水域上部、あるいは干潟の陸側に広大な茂み(ヨシ原)を作り、場合によってはそれは最高100ヘクタール(ha) に及ぶ。根本は水につかるが、水から出ることもあり、特に干潟では[[干潮]]時には干上がる。水流の少ないところに育ち、多数の茎が水中に並び立つことから、その根本には[[泥]]が溜まりやすい。に及ぶ。根本は水につかるが、水から出ることもあり、特に干潟では干潮時には干上がる。水流の少ないところに育ち、多数の茎が水中に並び立つことから、その根本には泥が溜まりやすい。
他方で、その茎は多くの[[動物]]の住みかや隠れ場としても利用される。[[ヨーロッパ]]と[[アジア]]では特に、[[ヒゲガラ]]、[[ヨシキリ]]、[[サンカノゴイ]]、[[オオジュリン]]といった[[鳥類]]と関わりが深い。泥の表面には[[巻き貝]]や[[カニ]]などが多数生息する。[[アシハラガニ]]はこの環境からその名をもらっている。
== 人とのかかわり ==
[[ファイル:Hirafuku inaba06s2816.jpg|thumb|すだれ]]
[[ファイル:Herons et roseaux Suzuki.jpg|thumb|鷺と葦([[鈴木春信]]・画、18世紀)]]
=== 利用 ===
まっすぐに伸びる茎は木化し、[[竹]]ほどではないにせよ材として活用できる。古くから様々な形で利用され、親しまれた。日本では[[稲刈り]]の後に[[芦刈]]が行われ、各地の風物詩となっていた。軽くて丈夫な棒としてさまざまに用いられ、特に葦の茎で作った[[すだれ]]は[[葦簀]](よしず)と呼ばれ昔から利用されてきた{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=217}}。また、屋根材としても最適で[[茅葺]]民家の葺き替えに現在でも使われている。