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、 2022年10月7日 (金) 06:07
'''ナキサワメ'''とは、[[日本神話]]に登場する女[[神 (神道)|神]]。'''泣沢女神'''<ref>[[古事記]]</ref>や'''啼沢女命'''<ref>[[日本書紀]]</ref>と呼ばれ、'''哭沢女命'''とも呼ばれる。
==泣沢女神の誕生==
[[国産み]]・[[神産み]]において[[イザナギ]](伊邪那岐)[[イザナミ]](伊邪那美)との間に[[日本]]国土を形づくる数多の子を儲ける。その途中、イザナミが火の神である[[カグツチ]](迦具土神)を産むと[[陰部]]に火傷を負って亡くなる。「愛しい私の妻を、ただ一人の子に代えようとは思いもしなかった」とイザナギが云って、イザナミの枕元に腹這いになって泣き悲しんだ時、その涙から成り出でた神は、[[香具山]]の麓の丘の上、木の下におられる。この神が'''ナキサワメ'''である。
===泣沢女神と畝尾都多本神社===
[[畝尾都多本神社]]に泣沢という井戸があり、その井戸が[[神体|御神体]]として祀られている<ref>[[延喜式]]神名帳</ref>。この事から、'''ナキサワメ'''は[[大和三山]]の一つである香具山の麓の畝傍から湧き出る井戸の神様ということになる。井戸の中には、'''ナキサワメ'''が流した涙があるといわれている。その井戸には、和歌が残っている。
:哭沢の 神社に神酒すゑ 祷折れども わご大君は高日知らしぬ<ref>[[万葉集]]巻第二の二〇二</ref>
:
:(泣沢神社の女神に[[神酒]]を捧げて、薨じられた皇子の延命を祈っているのに、皇子はついに天を治めになってしまわれた。)
その左注に、
:「右一首、[[類聚歌林]]に曰はく、[[桧隈女王]]の泣沢神社を怨むる歌といへり。日本紀を案ふるに云はく、[[696年|十年丙申(696)]]の秋七月辛丑の朔の庚戌、後皇子命薨りましぬといへり」
と記されている。
これは、[[696年|持統天皇十年(696)]]に、妃である<ref>[http://asuka-japan-heritage.jp/jitou/spot/%E7%95%9D%E5%B0%BE%E9%83%BD%E5%A4%9A%E6%9C%AC%E7%A5%9E%E7%A4%BE/ 畝尾都多本神社 | 日本国創成のとき〜飛鳥を翔た女性たち〜 | 飛鳥女史紀行]</ref>ヒノクマオオキミ(桧隈女王)が再生の神に神酒を捧げ[[高市皇子|タケチノミコ(高市皇子)]]の延命を祈ったのに、蘇ることなかったという、'''ナキサワメ'''を恨む和歌である。
==名前の由来==
神名は「泣くように響き渡る沢」から来ているという説がある。また、「ナキ」は「泣き」で、「サワ」は沢山泣くという意味がある。「メ」とあるので女神である。<ref name="Blog">[https://yaoyoro.net/%E6%B3%A3%E6%B2%A2%E5%A5%B3%E7%A5%9E.html 泣沢女神-古事記と日本書紀の神様 | 日本の神様辞典]</ref>
==信仰==
江戸期の国学者、[[本居宣長]]は『[[古事記伝]]』にて「水神」「人命を祈る神」、[[平田篤胤]]は「命乞いの神」と称するなど、水の神、延命の神として古代より信仰を集めている<ref >[http://www.pref.nara.jp/37612.htm| 古事記めぐり旅/奈良県公式ホームページ]</ref>。
太古の日本には、[[巫女]]が涙を流し死者を弔う儀式が存在し、そのような巫女の事を[[泣き女]]という。この儀式は死者を弔うだけではなく[[鎮魂|魂振り]]の[[呪術]]でもあった。泣き女は神と人間との間を繋ぐ巫女だった。'''ナキサワメ'''は泣き女の役割が[[神格化]]したものとも言われており、出産、延命長寿など生命の再生に関わる信仰を集めている。また、雨は天地の涙とする説があり降雨の神様としても知られている。<ref name="Blog">[https://yaoyoro.net/%E6%B3%A3%E6%B2%A2%E5%A5%B3%E7%A5%9E.html 泣沢女神-古事記と日本書紀の神様 | 日本の神様辞典]</ref>
==祀られている神社==
*[[畝尾都多本神社]]([[奈良県]][[橿原市]]木之本町) - 通称「哭沢神社」 ナキサワメを[[水神]]として祀っている。
*[[伊豆山神社 (大仙市)|伊豆山神社]]([[秋田県]][[大仙市]]泉町)<ref>[https://www.izu.or.jp/yuisho.html 由緒とご祭神ofizusan_shrine - 伊豆山神社]</ref>
*[[大山祇神社|大山祇神社(十七神社)]]([[愛媛県]][[今治市]]大三島町宮浦) - 末社の轟神社に祀られている。
*[[元巣神社]]([[埼玉県]][[比企郡]]吉見町)<ref>[https://tesshow.jp/saitama/yoshimi/shrine_ezna_motos.html 元巣神社。比企郡吉見町江綱の神社、祭神啼沢女命 - 猫の足あと]</ref>
*木本宮([[福岡県]][[三潴郡]]大木町)
== 関連項目 ==
* [[下光比売命]]
== 参照 ==
{{DEFAULTSORT:なきさわめ}}
[[Category:日本神話]]
[[Category:天候神]]
[[Category:蘇生神]]
[[Category:水神]]