檀君神話に登場する風伯、雨師、雲師という語は、『韓非子』に「風伯進掃、雨師灑道」とあるため秦代には風伯および雨師という語はあったものとみられ、『史記』には「時若薆薆将混濁、召屏翳誅風伯而刑雨師」とあり、『周礼』には「以槱燎祀司中、司令、飌師、雨師」とあるため、風伯および雨師は漢代には中原まで広がっていた概念とみられる。雲師は、『史記』に「(黄帝)遷徙往来無常処、以師兵為営衛、官名皆以雲命、為雲師」とあるため、風伯、雨師、雲師は北方では漢代以降に広がった概念とみられる<ref>高橋, 2005, p6</ref>。
檀君神話の後文にみえる主穀、主命、主病、主刑、主善悪などの表現は『[[周礼]]』などに登場する「司書、司会、司諫、司禄、司命、司庫、司刑」などの表現と非常に酷似しており、檀君神話は『周礼』を参考にしているとみられる。これらから檀君神話の成立時期を把握することができる檀君神話の後文にみえる主穀、主命、主病、主刑、主善悪などの表現は『周礼』などに登場する「司書、司会、司諫、司禄、司命、司庫、司刑」などの表現と非常に酷似しており、檀君神話は『周礼』を参考にしているとみられる。これらから檀君神話の成立時期を把握することができる<ref>{{Harvnb|高橋|, 2005|p=6, p6-7}}</ref>。
[[姜孟山]]([[延辺大学]])などの中国の研究者は、檀君神話は神話であるという大前提から、当時の朝鮮族の[[政治]]・[[生活]]について以下の結論を導き出している姜孟山(延辺大学)などの中国の研究者は、檀君神話は神話であるという大前提から、当時の朝鮮族の政治・生活について以下の結論を導き出している<ref>{{Harvnb|高橋|, 2005|p=10, p10-11}}</ref>。# 檀君は人間の王となったとはいいながら実際は天帝桓因の孫であり、自分の先祖を[[神格化]]するという後世人の[[行為|作為]]が感じられる。檀君は人間の王となったとはいいながら実際は天帝桓因の孫であり、自分の先祖を神格化するという後世人の作為が感じられる。# 天に源を置くというのは「[[敬天思想]]」であり、中国古代思想の影響が感じられる。天に源を置くというのは「敬天思想」であり、中国古代思想の影響が感じられる。# 「[[異類婚姻譚|人獣交婚]]」などは古代社会の生活の一端を反映しているが、神話ではなく、ある種の[[物語|物語性]]が感じられる。「人獣交婚」などは古代社会の生活の一端を反映しているが、神話ではなく、ある種の物語性が感じられる。# 檀君神話に登場する桓雄が従えている風伯、雨師、雲師などの有り方は、当時すでに[[社会階級]]が成立していたことを示唆しており、[[権力|権力機構]]の存在が裏付けになっている。檀君神話に登場する桓雄が従えている風伯、雨師、雲師などの有り方は、当時すでに社会階級が成立していたことを示唆しており、権力機構の存在が裏付けになっている。
# 主穀、主命、主病、主刑、主善悪などの名称は、権力機構のそれぞれの役割が明確化されている。
# 主刑、主善悪などの表現は、すでに階級化した時代での社会秩序維持のための[[暴力機構]]である[[警察]]、[[軍隊]]などが存在し、この時代の階級社会が成熟したものであることを物語っている。主刑、主善悪などの表現は、すでに階級化した時代での社会秩序維持のための暴力機構である警察、軍隊などが存在し、この時代の階級社会が成熟したものであることを物語っている。# 社会の管理機構は、風伯、雨師などの天に関するもの以外では主穀がはじめに置かれており、当時農業生産が重要な地位にあったことを示唆し、[[穀物]]、[[もぐさ]]、[[ニンニク]]などが農業生産の対象とされていることがわかる。社会の管理機構は、風伯、雨師などの天に関するもの以外では主穀がはじめに置かれており、当時農業生産が重要な地位にあったことを示唆し、穀物、もぐさ、ニンニクなどが農業生産の対象とされていることがわかる。
== 王倹について ==