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108 バイト追加 、 2024年11月4日 (月)
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7.ある時、河が大反乱を起こして洪水が起きた。気の毒な天災であって、祭祀を行っても効き目はなかった。姜王子にとっては、これはクーデターを起こす好機だった。王子は父親であった姫補佐官に酒を飲ませて殺し、母親を捕らえて「天が禍を起こすのはお前の政治が悪いからだ。お前が生け贄になれ。お前は火と太陽の女神なのだから、罪がなければ焼け死ぬことはないだろう。」と言って、母親に火をつけ焼き殺した。そして、「女性が王なので天が怒った。」と述べて、自らが王として即位した。そして、以後家というものは「男が次ぐ。女は財産を持ってはならない。」と定めた。そうすれば、自分が即位したり、母親の財産を奪ったことを正当化することができると考えたのだ。財産とは女が持っていてはならないものなのだから。そして、以後、中国では「婿というものはよくよく信用せずに、こき使えば良いもの」とされた。姫青年を信用せず、こき使っただけの姜王子の親族の行為はこれで正当化された。
8.しかし、王が両親を殺して王位を簒奪したというのは外聞が悪い。そこで、「河が反乱を起こしたので、女王と姫補佐官は河の神の怒りを収めるため、洪水を収めるために生け贄にせざるを得なかった。彼らが河と嵐の神を鎮めたのだから、今度は'''姫補佐官を河の神として祀ることとしよう'''。そして'''河の神が怒らないように生け贄を捧げよう'''。女王は太陽女神だったのだから、死後は'''月の女神'''となって人々を見守っている、と言うことにしよう。」とすることにした。姜王子は親殺しではない。人々のためにやむなく両親を犠牲にした可哀想な王、ということになった。少なくとも表向きは。最初のうちは一応姉妹の中から女王を立てて、姜王子はその補佐官である、という体裁を採っていたのだが、すぐに「両親を生け贄にした新女王は悪者だ。」と言いがかりをつけて新女王を廃し、姜王子自身が王位に就いた。「女みたいな悪者を王位に就けてはいけない。」という屁理屈である。姜王子が「自分は火の神・祝融の化身である」と述べて人身御供を行う古い祭祀を復活させたので、中国ではまた人を食べるようになった。いやだ、なんて言ったら姜王子に殺されてしまう、と誰もが知っていた。
9.でも、更に時が流れると、姜王子の子孫はやむを得ない理由があったとしても、両親を殺さなければならないような王・女王が先祖では、王室の権威を低下させてしまう、と考えるようになった。そこで今度は「河と雷神が洪水を起こしたけれども、姫補佐官と姜女王だけは生き残った。彼らが王室と人類の先祖である。」と言い出すようになった。「姫補佐官と姜女王は生け贄になったのだ。」と言い張る人々は'''舟に乗せられて沖に流され、国を追い出された'''。でも、人の口に戸は立てられないので、事実は必ずどこかで噂になって流れてしまう。そこで、更に「河と雷神が洪水を起こしたけれども、伏羲と女かだけは生き残った。彼らが王室と人類の先祖である。」と言いかえるようになった。姫補佐官は偉大な先祖だから消し去ることはできないけれども、「黄帝は水雷神だから天に昇った」とか適当に神秘的な表現をつけて神格化することにした。適当に伝承を作るので、新しい話は完全に国中に広まらず、一部では「生け贄にされた姜女王も'''水神(竜神)'''になった。」と言われるようになった。
10.でも、その子孫たちは本当に先祖の姫補佐官のことを邪魔者だと思っていたので、「姜女王が兄弟たちから逃げ出すときに門の岩戸を開ける男がいた」というだけになって、姫補佐官の名前を隠してしまった。そして、自分たちの名前も隠してしまったので、今ではもう姜という名前は、自分たちでは知っているけれども、名乗っていないのである。
 
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