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、 2023年3月12日 (日) 19:33
{{出典の明記|date=2015年9月26日 (土) 10:59 (UTC)}}
[[File:Apsu_(Escultura).jpg|thumb|200px|アプスー]]
'''アプスー'''または'''アプス'''(apsû、abzu)は、シュメール神話・アッカド神話において存在していたと伝えられる、地底の淡水の海のことである。湖、泉、川、井戸その他の淡水は、アプスーが源であると考えられていた。
シュメールの[[神]]である[[エンキ]]([[アッカド語]]ではエア)は、人間が創造される以前からアブズ(アッカド語ではアプスー)の中に住んでいたと信じられていた。他に、エンキの妻[[ダムガルヌンナ]]、母[[ナンム]]、助言者[[イシムード]]、また門番の[[ラハム]]をはじめとする様々な下僕が、アブズ(アプスー)の中に住んでいた。
都市[[エリドゥ]]においては、エンキを祀る寺院はエアブズ(E-abzu、アブズの寺院の意)と呼ばれており、沼地の端部に位置していた<ref>''Eridu in Sumerian Literature'', Margaret Whitney Green, pages 180-182, Ph.D. dissertation, University of Chicago, 1975.</ref>。
[[バビロニア]]や[[アッシリア]]の寺院においては、壁に囲まれた寺院の内部に置かれた[[聖水]]の[[水槽]]もまた「アプスー」と呼ばれていた。宗教的な洗浄行為への使用を目的としたものとして、[[イスラム教]]の[[モスク]]における、礼拝前の清浄(ウドゥー)のために中庭に設けられた泉や、[[キリスト教]]の[[教会]]における洗礼盤などの先駆とみなされる可能性がある。
== 神としてのアプスー ==
アプスーは、[[アッシュールバニパル]]の図書館から写本が出土した、[[バビロニア]]の創世記神話である『[[エヌマ・エリシュ]]』においてのみ、神として描かれている。『エヌマ・エリシュ』において、アプスーは、最初に淡水から生じた神であり、塩水から生じた女神[[ティアマト]]の伴侶である。『エヌマ・エリシュ』の冒頭は、「上にある天は名づけられておらず、下にある地にもまた名がなかった時のこと…」で始まっており、淡水の海アプスーが存在し、「第一の者、すべてのものの父親」とされていたと続く。そして、すべてを生み出す母、塩水の海ティアマトとともに、互いに水をかき混ぜあっており、作物を生む地面はおろか、葦の生える沼地ですら存在しなかった、と伝える。
アプスーは、後のメソポタミアの神[[エンキ]](エア)の原型であると考える見方もある。ジョセフ・キャンベル([[w:Joseph Campbell|Joseph Campbell]])の社会政治学説がその中心である。キャンベルは次のように指摘する。「…そのような神話が物語ることは、(その土地・文明の)宗教が現実に置き換わっていった歴史である。」「宇宙の起源・神々の系図が主として意図することは、前から存在している神話・社会から提出される批判に対し、後から存在する支配者側の神話・社会秩序の立場から、効果的な反論を加えることである。」[[アッカド]]帝国および新[[バビロニア]]において、神エンキは、神[[エア (メソポタミア神話)|エア]]と同一視されていた。新しい支配者たちは、祭祀においては以前から存在していた神アプスーを外形的にいれながらも、存在感を薄めるという方法により「征服」を行ったのである。
== 関連項目 ==
* [[アケローン川|アケルージア湖]]
== 参照 ==
{{デフォルトソート:あふすう}}
[[Category:シュメール神話]]
[[Category:バビロニア神話]]
[[Category:メソポタミア神話]]
[[Category:水神]]