== 私的考察 ==
「ヴィシャップ石」とは、全てではないのかもしれないが、石柱に女陰が掘られており、これは道標(ギリシャで言うところのヘルマーのようなもの)でもあるし、ヴィシャップの象徴でもあるし、ヴィシャップに道や土地の守護を求めたものでもあるのではないだろうか。そして、ヴィシャップが雌の龍であることも示唆されているように思う。
おそらく、ヴィシャップとアストヒクは本来「同じもの」であって、日本風にいえば、アストヒクが「和魂」、ヴィシャップが「荒魂」であって、ヴィシャップに対しては、これに捧げ物をする等で機嫌を取って鎮めるか、あるいは力づくで押さえ込んで鎮めるか、そのような対応が必要とされたものではないだろうか。どのような方法であろうとも、ヴィシャップの相が鎮まれば、彼女は人々豊穣をもたらす穏やかな水神(またおそらく穏やかな火山の女神)であるアストヒクとなる、と考えられたのであろう。
== 参考文献 ==