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サイズ変更なし 、 2022年12月20日 (火) 18:23
== 私的考察 ==
「[[玉兎]]」といえば現代の中国では「月の神」というか月に住む神獣とされているが、紅山文化では「太陽女神」とされていたように思う(図2-5)。また、紅山文化からは玉の象?(図6)、目のついた雲型(図6)、玉亀、玉蛙、玉蝉、玉梟なども出土しており、「太陽神」に複数のトーテムが重ね合わせられていたか、それぞれに異なる神の役割を負っっていたいわゆる「多神教」の状態であったことが分かる。また、太陽女神は「兎様」ではあるけれども、耳の乏しいもの(図2)、人間的な耳を有しているもの(図4)などがあり、純粋な兎というよりは擬人化した兎であり、もしかしたら本来の兎にはない神獣的な役割も備わっていたかもしれないと思う。特に兎の特徴である長い耳は「鳥の翼」のようにも考えられていたのではないか、と個人的に想像する。」といえば現代の中国では「月の神」というか月に住む神獣とされているが、紅山文化では「太陽女神」とされていたように思う(図2-5)。また、紅山文化からは玉の象?(図6)、目のついた雲型(図6)、玉亀、玉蛙、玉蝉、玉梟なども出土しており、「太陽神」に複数のトーテムが重ね合わせられていたか、それぞれに異なる神の役割を負っていた、いわゆる「多神教」の状態であったことが分かる。また、太陽女神は「兎様」ではあるけれども、耳の乏しいもの(図2)、人間的な耳を有しているもの(図4)などがあり、純粋な兎というよりは擬人化した兎であり、もしかしたら本来の兎にはない神獣的な役割も備わっていたかもしれないと思う。特に兎の特徴である長い耳は「鳥の翼」のようにも考えられていたのではないか、と個人的に想像する。
少なくとも、中原では炎帝が「有熊国の住人」とされるように、太陽神のトーテムの一つに「熊」があったように思う。朝鮮の檀君神話では男君の母は熊女であり、洞窟に籠もって修行して人間になったと言われている。日本神話の天照大御神は、直接彼女が熊であった、とはされていないが、日本には熊野といった熊に関する古来よりの信仰の聖地があり、熊野の神々と言われる伊邪那美命、須佐之男命、金山彦命等は天照大御神の眷属であって、彼らのトーテムがまとめて熊であることが暗に示唆されている。よって、古来より「太陽女神」の主要なトーテムには「熊」があったと思われる。熊は肉食獣であり、略奪遊牧系の民族であれば、獰猛な猛獣をトーテムとして勇猛さを誇ることは理にもかなっている。中東やエジプトでライオンが女神と関連づけて信仰されていたのも、同様に民族の「勇猛さ」を示したものと考える。少なくとも、中原では炎帝が「有熊国の住人」とされるように、太陽神のトーテムの一つに「熊」があったように思う。朝鮮の檀君神話では檀君の母は熊女であり、洞窟に籠もって修行して人間になったと言われている。日本神話の天照大御神は、直接彼女が熊であった、とはされていないが、日本には熊野といった熊に関する古来よりの信仰の聖地があり、熊野の神々と言われる伊邪那美命、須佐之男命、金山彦命等は天照大御神の眷属であって、彼らのトーテムがまとめて熊であることが暗に示唆されている。よって、古来より「太陽女神」の主要なトーテムには「熊」があったと思われる。熊は肉食獣であり、略奪遊牧系の民族であれば、獰猛な猛獣をトーテムとして勇猛さを誇ることは理にもかなっている。中東やエジプトでライオンが女神と関連づけて信仰されていたのも、同様に民族の「勇猛さ」を示したものと考える。
しかし、紅山文化では、文化は母系であるにも関わらず、太陽女神は草食獣で捕食される動物である兎に変更され、それに伴ってその地位が低下しているように思う。紅山文化では玉亀、玉蛙が発見されており、その点は良渚文化と共通している。朝鮮神話では亀が月神とされており、また朱蒙の父親の一人に「金蛙王」と蛙をトーテムとした人物がいる。中国神話では亀は五山、すなわち世界を支える地面の基盤とされているため、これらの水生生物は紅山文化・良渚文化で共通して、「大地の神」か、あるいは「死んだ神」が変化して月神あるいは星神(特に「金」がつくものは金星)になったもの、とみなされていた可能性があるように思う。「大地の神」であっても、死後天に昇って星神となった、とされることはあるように思うからである。よって、紅山文化の翡翠の玉製品は、必ずしも太陽神に対する信仰のみに特化されていたものではなく、神々を示すものとされていたし、その思想は良渚文化にも受け継がれたように思う。また、神々の役割分担が細分化され、いわゆる「多神教化」が進んでおり、太陽女神の地位の低下もそれに伴った可能性があるように思う。

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