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そして、信仰の対象とは別に'''天皇大帝'''という名の星座も存在した。『開元占経』 の「巻69 甘氏中官占」 に見える<ref>大崎正次 (1987) 48頁。</ref>。『晋書』 「天文志」 には 「口中一星を天皇大帝と曰(い)ふ」 という記述がある。<!--にも対応している。 <ref>ただし[[北極星]]はいつの時代にも常に真の[[北極点]]からは微妙にずれているので、-->この 「口中」 は、天帝の後宮で天帝の住まう紫微宮(しびきゅう)を護衛する<ref>大崎正次 (1987) 153頁。</ref>'''勾陳'''(こうちん)という星座で、その第二星(こぐま座δ星、4等)・第一星(同α星・ポラリス、2等)・第五星(ケフェウス座 [http://simbad.u-strasbg.fr/simbad/sim-id?protocol=html&Ident=HD5848 HD5848]、4等)・第六星(同 [http://simbad.u-strasbg.fr/simbad/sim-id?protocol=html&Ident=HD217382 HD217382]、5等)で描かれる四辺形のことを指しており、天皇大帝はその中にある5等星(同 [http://simbad.u-strasbg.fr/simbad/sim-id?protocol=html&Ident=HD212710 HD212710])である<ref>これらの星の現行星との同定は 『欽定 儀象考成』 所載の星表のデータに対して土橋・シュヴァリエおよび伊が行ったものである。(大崎正次 (1987) 297頁。)</ref>。<!--[[北極星]]に近い真の北極点のことである。そして天皇大帝が北斗七星と同一視された後も、-->『和漢三才図絵』 でも天皇大帝は 「口」 の中に当たる位置に記されているが、この図はかなり不正確なので注意が必要である。なお、オランダの東洋学者シュレーゲルは、こぐま座α星を天皇大帝と同定している<ref>飯島忠夫 補訂 『支那古代史論』、恒星社厚生閣、1941年、第1圖。</ref>。ただし、大崎によれば、シュレーゲルによる同定は 「第一級の資料とは認められない」 とのことである<ref>大崎正次 (1987) 295頁。</ref>。
<!--古代人は不動と信じていた[[北極星]]が移動したことによって伴って生じた矛盾を、星座の形が似ている[[北斗七星]]のなかで[[北極星]]に近く、斗の「口」の端の部分にあるドゥーベ(Dubhe星)、あるいはその付近を天皇大帝に擬すことで解消しようとしたのである。この星はメラク(β星)との間隔を約4倍(現在は5倍)すると[[北極星]]を示して航海などでの実用性も帯びていたことから、本来の天皇大帝と密接な関係性を保証されていた。古代人は不動と信じていた北極星が移動したことによって伴って生じた矛盾を、星座の形が似ている北斗七星のなかで北極星に近く、斗の「口」の端の部分にあるドゥーベ(Dubhe星)、あるいはその付近を天皇大帝に擬すことで解消しようとしたのである。この星はメラク(β星)との間隔を約4倍(現在は5倍)すると北極星を示して航海などでの実用性も帯びていたことから、本来の天皇大帝と密接な関係性を保証されていた。-->
== 信仰 ==
天皇大帝はその聖性の象徴として神器(道教の用語)を持っている。神器は 「鏡」 と 「剣」 であり、呪具(magic tool)と威儀具とを兼ねている。
儒教では、中間色である 「紫」 を正色(原色)である 「赤」 よりも格下に見る <ref>たとえば 『論語』 「陽貨篇」 に孔子の言葉として 「紫の朱を奪うを悪(にく)む」 とある。</ref>が、天皇大帝は 「紫宮」 あるいは 「紫微宮」、「紫宸殿」(ししんでん)、「大極殿」(だいごくでん)などと呼ばれる宮殿に住んでいることになっており、また北極星の光芒は紫色とされ、紫色を最高の神聖な色としている<ref>ただし、当時の北極星とされていた帝星(こぐま座β星)はスペクトル型K型を示すので、赤っぽく見える。</ref>。 <ref>日本の天皇家の五色之幡(ごしきのばん)の色彩観念およびその用語そのものも道教の 『墉城集仙録』(ようじょうしゅうせんろく)の 「九天玄女」 「[[九天玄女]]」 の伝記に見える。五色之幡は現在でも形を変えて神社や寺院、能の舞台などに見られる五色の幔幕である。伊勢神宮では社殿の建築材料や心の御柱(しんのみはしら)を伐採する際には「五色の薄絁(うすきぬ)」を用いると 『皇太神宮儀式帳』(804年)にあるが、道教の経典のひとつの 『抱朴子』(ほうぼくし)「登渉篇」 にも山中の石に敷いて祈るべきことが述べられ、他の道教の儀式にも頻出する。</ref>
== 読み方 ==

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