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'''キジ'''(雉子、雉<ref name="鳥類図鑑 (2006)、102-103頁">鳥類図鑑 (2006)、102-103頁</ref><ref name="里山の野鳥ハンドブック (2011)、13頁">里山の野鳥ハンドブック (2011)、13頁</ref>)は、キジ目キジ科キジ属に分類される鳥類。日本産の個体群のみで独立種とする説と、ユーラシア大陸に分布するコウライキジ(P. colchicus)の亜種とする説があり、後者の説に従うとP. colchicusの和名がキジとなり本種のみでキジ属を構成する<ref name="osj">「キジ」『日本鳥類目録 改訂第7版』日本鳥学会(目録編集委員会)編、日本鳥学会、2012年、4-5頁</ref>。日本鳥学会などでは2012年現在、Clements Checklistでは2015年現在は後者(キジは日本やユーラシア大陸広域に分布する単一種)の説を採用している<ref name="osj"/><ref>Clements, J.F.; et al. "[http://www.birds.cornell.edu/clementschecklist/download/ Clements checklist of birds of the world: v2015] (Excel spreadsheet). (Retrieved 11 December 2015).</ref>。以下の内容はIOC World Bird ListおよびBirdlife Internatinal(IUCN)などが2015年現在に採用している前者の説(キジは日本にのみ分布する独立種)に従ったものと思われる<ref name="iucn"/><ref>[http://www.worldbirdnames.org/bow/pheasants/ Pheasants, partridges & francolins], Gill F & D Donsker (Eds). 2015. IOC World Bird List (v 5.1). doi:10.14344/IOC.ML.5.1 (Retrieved 11 December 2015)</ref>。
[[日本|日本鳥学会]]が選定した[[国鳥]]日本鳥学会が選定した国鳥<ref>[[日本]]の[[国鳥]]:[[1947年]]3月の[[日本鳥学会]]第81回例会。日本の国鳥:1947年3月の日本鳥学会第81回例会。</ref>であるとともに、国内の多くの自治体でも「市町村の鳥」に指定されている。[[種小名]]の {{snamei|versicolor}} は、[[ラテン語]]で「色変わりの」を意味するであるとともに、国内の多くの自治体でも「市町村の鳥」に指定されている。種小名のversicolorは、ラテン語で「'''色変わりの'''」を意味する<ref name="鳥類図鑑 (2006)、102-103頁" />。[[中古日本語|日本の古語]]では「雉子(きぎす)」(10世紀前半成立の『[[和名類聚抄]]』巻十八「羽族名」での表記は、「木々須」と記す)。。日本の古語では「雉子(きぎす)」(10世紀前半成立の『和名類聚抄』巻十八「羽族名」での表記は、「'''木々須'''」と記す)。
キジやコウライキジは世界中で主要な[[狩猟鳥]]とされ、キジ肉は食用でもあるキジやコウライキジは世界中で主要な狩猟鳥とされ、キジ肉は食用でもある<ref>{{Cite web |url=https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/kiji_sitimen_horohoro.pdf |title=, きじ、七面鳥、ほろほろ鳥を守るために |format=PDF |publisher=[[, 中央畜産会]] |date=, 2009-10 |accessdate=, 2012-04-03}}</ref>。
== 分布 ==
飛ぶのは苦手だが、走るのは速い<ref name="ひと目でわかる野鳥 (2010)、133頁" />。[[スピードガン]]測定では時速32キロメートルを記録した<ref>2007年5月13日放送 『[[所さんの目がテン!]]』の実験</ref>。人体で知覚できない[[地震]]の[[初期微動]]を知覚できるため、人間より数秒速く地震を察知することができる<ref name="ひと目でわかる野鳥 (2010)、133頁" /><ref name="suntory">{{Cite web |url=http://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/25.html |title=キジ |publisher=[[サントリー]] |accessdate=2012-04-03}}</ref>。
 
<gallery>
ファイル:キジ(オス).jpg|オス
ファイル:Phasianus versicolor female.JPG|メス
ファイル:Phasianus versicolor Couple.JPG|農地で草をついばむつがい
ファイル:Faisan versicolore MHNT.jpg|卵
</gallery>
== 放鳥 ==
日本のキジは毎年、[[愛鳥週間]]や狩猟期間前などの時期に大量に放鳥される。2004年(平成16年)度には全国で約10万羽が放鳥され、約半数が[[鳥獣保護区]]・[[休猟区]]へ、残る半数が可猟区域に放たれている。2008年(平成20年)10月25日に[[御用邸#現存する御用邸|那須御用邸]]で[[上皇明仁|天皇]]と[[上皇后美智子|皇后]]が、キジと[[ヤマドリ]]の放鳥を行った<ref>{{Cite web |url=https://www.kunaicho.go.jp/activity/gonittei/01/photo1/photo-200810-1059.html |title=ご放鳥(那須御用邸) |publisher=[[宮内庁]] |accessdate=2012-04-03}}</ref>。放鳥キジには足環が付いており、狩猟で捕獲された場合は報告する仕組みになっているが、捕獲報告は各都道府県ともに数羽程度で、一般的に養殖キジのほとんどが動物やワシ類などに捕食されていると考えられている。これは[[アメリカ合衆国]]などでも同様であり、その原因として放鳥場所に適切な草木などキジの生息環境が整えられていない点が挙げられている。しかしながら、少数ではあっても生き残る養殖キジはいるため、日本の元の亜種間で[[交雑]]が進み、亜種消滅を懸念する声もある。北海道と対馬ではコウライキジが放鳥されている<ref name="ひと目でわかる野鳥 (2010)、133頁" /><ref>{{Cite web |url=http://www.birdfan.net/pg/kind/ord07/fam0701/spe070103/ |title=キジ |publisher=[[日本野鳥の会]] |accessdate=2012-04-03}}</ref>。2002年の日本で農作物への被害額は、2,800万円程と推定されていて、[[カラス]]の41.6億円と比較すると少額である<ref>{{Cite web |url=http://www.maff.go.jp/kanto/seisan/nousan/chojyu/torikumi/pdf/yamaguchi_haifu.pdf |title=鳥に関するよくある誤解と被害対策 |format=PDF |publisher=関東地域野生鳥獣対策連絡協議会 |date=2004-10-14 |accessdate=2012-04-03}}</ref>。[[大豆]]の出芽期に[[子葉]]を食べる被害が報告されている<ref>{{Cite web |url=http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_manual/h20_03a/pdf/data1.pdf |title=鳥類の基礎知識 |format=PDF |publisher=[[農林水産省]] |page=25 |date=2010-09-24 |accessdate=2012-04-03}}</ref>。
 
== 亜種 ==
[[ファイル:Fasan.jpg|thumb|200px|キジとコウライキジの交雑とみられる個体]]
以下の亜種がある<ref name="ITIS" />。日本には地理的な変異による4亜種が分布されていたが、放鳥により亜種間の[[交配]]が進み差異が不明瞭になってきている<ref name="ひと目でわかる野鳥 (2010)、133頁" />。以下の亜種の記載者・記載年・和名・分布は日本鳥類目録 改定第7版に従うが、日本鳥類目録 改定第7版では種 {{snamei|P. versicolor}} ではなく種 {{snamei|P. colchicus}} として扱っており、日本国内の亜種の分布域は明瞭ではなく検討が必要としている<ref name="osj"/>。
; {{snamei|Phasianus versicolor versicolor}} Vieillot, 1825 キュウシュウキジ
:[[本州]]南西部、[[九州]]、[[五島列島]]
; {{snamei|Phasianus versicolor robustipes}} Kuroda, 1919 キジ
:本州北部、[[佐渡島]]
; {{snamei|Phasianus versicolor tanensis}} Kuroda, 1919 シマキジ
:本州(伊豆半島、紀伊半島、三浦半島)、[[伊豆大島]]、[[種子島]]、[[新島]]、[[屋久島]]
; {{snamei|Phasianus versicolor tohkaidi}} Momiyama, 1922 トウカイキジ
:本州中部、[[四国]]
== 種の保全状況評価 ==
* [[桃太郎]] - [[サル]]、[[イヌ]]と共に登場する動物として広く知られている。
* 石川県や長野県の[[民話]]に登場し、「キジも鳴かずば、撃たれまいに」のシーンがある([[犀川 (長野県)]]も参照)。
 
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|桃太郎の像([[岡山駅]])<br />桃太郎の右肩にキジがとまっている
ファイル:Kiji-mo-nakazuba statue.jpg|撃ち落とされたキジを抱く娘の像([[長野市]])
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=== 俳句・短歌・和歌 ===
「ケーン」と鳴く。「けんもほろろ」という言葉は、この鳴き声に由来している。また、「頭隠して尻隠さず」という[[ことわざ]]は、草むらに隠れたつもりになったキジの様子に由来している。[[きしめん]]の語源には諸説あるものの、キジ肉を平打ちの麺の具にして藩主に献上したから、という説がある。なお、「雉丼」という料理に使われているのは[[鶏肉]]。
[[ファイル:Series D 10K Yen Bank of Japan note - back.jpg|thumb|一万円紙幣D号券裏面]]*[[元号]]の「[[白雉]]」は白いキジが捕獲されたことを瑞兆として制定された。」は'''白いキジ'''が捕獲されたことを瑞兆として制定された。
* [[一万円紙幣#D号券|日本銀行券D壱万円券]] - 一万円紙幣D号券裏面にキジが描かれていた。
* [[防衛省情報本部]]のエンブレムはキジを意匠としている<ref>{{Cite web |url=https://www.mod.go.jp/dih/symbol.html |title=防衛省情報本部のシンボルマーク |publisher=[[防衛省]] |accessdate=2012-04-03}}</ref>。国鳥であり、桃太郎の話の中では情報収集に活躍したからだという。

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