スノッリ・ストゥルルソンによる『古エッダ』の『巫女の予言』の解説によれば、世界樹ユグドラシルの根元にあるウルザルブルン(「ウルズの泉」)のほとりに住み、ユグドラシルに泉の水をかけて育てる。ウルズとヴェルザンディは木片にルーン文字を彫る。スクルドはワルキューレの一人。<ref name="nordisk">''[[:en:Nordisk familjebok|Nordisk familjebok]]''(1913年)の''[http://runeberg.org/nfbs/0792.html Nornor]''の記事による。</ref>
== 概要 ==
スノッリ・ストゥルルソンによる『古エッダ』の『巫女の予言』の解説によれば、最も重要視される3柱のノルニル、ウルズ(''Urðr''、en:|''Wyrd'')、ヴェルザンディ(''Verðandi'')、スクルド(''Skuld'')は、[[ウルズの泉]](運命の泉)の畔の住居から出てきて、泉から水を汲み上げ、泥をすくい、それらを混ぜたものを[[ユグドラシル]]に注ぐことで樹勢を保たせている。
彼女たちノルニルは、[[ヨトゥンヘイム]]からやって来て神々の黄金時代を終わらせた、3人の手強い巨人の乙女([[霜の巨人|ヨトゥン]])であると説明される<ref name="nordisk"/><ref>『[[巫女の予言]]』に登場する3人の巨人女性がノルニルの3柱であるという解釈は一般的である。しかし[[シーグルズル・ノルダル]]は、『巫女の予言 エッダ詩校訂本』([[学校法人東海大学出版会|東海大学出版会]]、1993年)145-147頁において、ミュレンホフが3人の巨人女性をノルニルと理解したことに反対する[[ビョルン・マグヌースソン・オールセン|オールセン]]に同意している。オールセンは「巨人」「手強い」といった単語が軽蔑的な語であることから、人々のノルンへの概念に適合しないと指摘した。ノルダルは、神々より古くからおり力もあるノルン=運命とは永遠に存在しているものであり、突然現れるものではないと考え、また、ノルンが登場することで神々が黄金に不足し始めるという理解は不条理であると主張する。ノルダルは、3人の巨人女性とはノルンではなく、破壊のために神々の元へ送り込まれた美しいが狡猾な巨人女性たちだと推測し、その候補として[[スカジ (北欧神話)|スカジ]]と、彼女との結婚のために[[フレイ]]が剣を失うこととなった[[ゲルズ]]を挙げている。彼女たちの要求によって神々は貪欲となり自分たちの財産で満足ができなくなり、[[グルヴェイグ]]の殺害に至ってしまう。さらに、このグルヴェイグを呼び込んだのも、ヘイズという女性の魔法で淫らな喜びに浸ったのも、3人の巨人女性であったとノルダルは考えている。</ref>。
また彼女たちは、『[[ヴァフスルーズニルの言葉]]』(下記参照)で説明される、「[[メグスラシル]](''Mögþrasir'')の娘たち」と同一のものかもしれない<ref name="nordisk"/>。彼女たち3柱のノルニルに加えて、人が生まれたときその人の将来を予め定めるために、多くの他のノルニルがその場に到着する<ref name="nordisk"/>。悪意あるノルニルと善意のノルニルがおり、後者がいわゆる守護女神である一方で、前者は世界中にすべての悪意と悲惨な出来事をもたらしたという<ref name="nordisk"/>。
利益と損失の両方をノルニルが運んで来るという言い伝えは、[[キリスト教]]が入ってきた後も信じられていた。その証拠として、[[ボルグンド・スターヴ教会]]で見つかった「{{仮リンク|ルーン文字銘 N 351 M|en|rune inscription N 351 M}}」が挙げられる。
:「Þórirは[[オーラヴ2世 (ノルウェー王)|Olaus]]がここを通って旅したとき、彼のためのミサの直前に、このルーン文字を刻んだ。ノルニルは良いことと悪いことの両方、そして大きな労苦……彼女らは私のために作り出した」<ref>[[:en:Norn]]の[[:en:Special:PermaLink/182013084|2008-01-04 01:38 UTC の版]]に掲載された、北欧ルーネ文書データベース([[:en:Rundata|en]])によって提供された「ルーン文字銘 N 351 M」の英訳の翻訳。</ref>。
== 語源の説明 ==