'''アムリタ'''(अमृत, amṛta), '''甘露'''は、インド神話に登場する神秘的な飲料の名で、飲む者に[[不老不死の薬|不死]]を与えるとされる。[[乳海攪拌]]によって醸造された。によって醸造された<ref group="私注">「[[乳海攪拌]]」とは遊牧民が乳酒を造る作業になぞらえられているようである。</ref>。
神話によると[[アスラ]]族との戦いに疲弊した神々が、アスラ族に協力させて造ったとされる。乳海と呼ばれる海に様々な素材を投げ入れ、マンダラ山を攪拌棒に、[[ヴァースキ]]竜王を綱として1000年の間攪拌した末に、[[ダヌヴァンタリ]]神がアムリタの入った壺を携えて出現した。神々とアスラたちはアムリタを自分たちだけのものにしようと争ったが、[[ヴィシュヌ]]神の機転によって神々のものとなった。しかし神々がアムリタを飲んでいるとき魔神[[ラーフ]]がまぎれ込んで盗み飲みした。'''ラーフはヴィシュヌ神によって首を切り落とされた'''が、アムリタの力で死なず、[[ラーフ]]と[[ケートゥ]]という天の遊星となり、[[日食]]、[[月食]]を起こす悪星となった<ref group="私注">ラーフとは中国神話の蚩尤に相当する神と思われる。蚩尤が何故饕餮として復活したのか、その理由を補完し得る神話といえないだろうか。</ref>。