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== アカリヤザガマの若水と死水 ==
「月と若返りの水」の結びつきは、ロシアの東洋学者[[ニコライ・ネフスキー]]が著した『月と不死』(東洋文庫)に採集された、沖縄の民族伝承にも語られている。「月と若返りの水」の結びつきは、ロシアの東洋学者ニコライ・ネフスキーが著した『月と不死』(東洋文庫)に採集された、沖縄の民族伝承にも語られている。
太古の昔、[[宮古島]]にはじめて人間が住むようになった時のこと、月と太陽が人間に長命を与えようとして、節祭の新夜にアカリヤザガマという人間を使いにやり、変若水(シジミズ)と死水(シニミズ)を入れた桶を天秤に担いで下界に行かせた。「人間には変若水を、蛇には死水を与えよ」との心づもりである。しかし彼が途中で桶を下ろし、路端で小用を足したところ、蛇が現れて変若水を浴びてしまった。彼は仕方なく、命令とは逆に死水を人間に浴びせた。それ以来、蛇は脱尾して生まれかわる不死の体を得た一方、人間は短命のうちに死ななければならない運命を背負ったという。太古の昔、宮古島にはじめて人間が住むようになった時のこと、'''月'''と太陽が人間に長命を与えようとして、節祭の新夜にアカリヤザガマという人間を使いにやり、変若水(シジミズ)と死水(シニミズ)を入れた桶を天秤に担いで下界に行かせた。「人間には変若水を、蛇には死水を与えよ」との心づもりである。しかし彼が途中で桶を下ろし、路端で小用を足したところ、蛇が現れて変若水を浴びてしまった。彼は仕方なく、命令とは逆に死水を人間に浴びせた。それ以来、蛇は脱尾して生まれかわる不死の体を得た一方、人間は短命のうちに死ななければならない運命を背負ったという。
月と太陽の慈悲がかえって人の死という悲劇の誕生となったが、神は人を哀れみ、少しでも若返りできるよう、その時から毎年、節祭の祭日に「若水」を送ることとなった。これが「若水」の行事の起こりである。
== 若水信仰の起こり ==
[[中国]]の古い伝説には若返りの仙薬の話が幾つもあり、『[[淮南子]]』には、中国の古い伝説には若返りの仙薬の話が幾つもあり、『淮南子』には、[[嫦娥|姮娥]]が[[西王母]]の「不死の薬」を盗んで月の世界に走った話がある。このような仙薬の話が、若返りの薬の発想の由来となったとも見られる。これと同じ発想の話は世界中に広がっており、[[ジェームズ・フレイザー|フレイザー]]は死の由来話を分類して、蛇など脱尾する動物にからむ「蛇と脱尾([[脱皮]]?)」型と、月の満ち欠けを人の死の由来を結びつけて考えた「月盈虚」型に分けている。アカリヤザガマの話は両者の結合した形となっており、しかもその話の結尾が若水の行事の由来話となっている。の「不死の薬」を盗んで月の世界に走った話がある。このような仙薬の話が、若返りの薬の発想の由来となったとも見られる。これと同じ発想の話は世界中に広がっており、フレイザーは死の由来話を分類して、蛇など脱尾する動物にからむ「蛇と脱尾(脱皮?)」型と、月の満ち欠けを人の死の由来を結びつけて考えた「月盈虚」型に分けている。アカリヤザガマの話は両者の結合した形となっており、しかもその話の結尾が若水の行事の由来話となっている。
このように古くから世界中で月と不死・再生が結び付けられて来たのは、月の盈虚が見せる[[死と再生の神|死と再生]]の姿であろうと考えられている。月は新月から上弦の月、満月、下弦の月、新月…という満ち欠けのループを繰り返している。すなわち、月が満月という盛りを過ぎて衰え、下弦の月となってしまいには新月として消えてしまうが、また三日月として夜空に復活する、というループが直接に死と再生を想起させ、そこから更に不死と不老を願う観念と結びついて、「若水」の信仰が成立したと考えられる。このように古くから世界中で月と不死・再生が結び付けられて来たのは、月の盈虚が見せる死と再生の姿であろうと考えられている。月は新月から上弦の月、満月、下弦の月、新月…という満ち欠けのループを繰り返している。すなわち、月が満月という盛りを過ぎて衰え、下弦の月となってしまいには新月として消えてしまうが、また三日月として夜空に復活する、というループが直接に死と再生を想起させ、そこから更に不死と不老を願う観念と結びついて、「若水」の信仰が成立したと考えられる。
== 参考文献 ==
* N・ネフスキー『[https://docs.miko.org/index.php/%E6%9C%88%E3%81%A8%E4%B8%8D%E6%AD%BB 月と不死]』([[東洋文庫 (平凡社)|東洋文庫]])』(東洋文庫)
* 松前健『日本神話の新研究』([[桜楓社]])
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[[Category:日本神話]]
[[Category:不老不死不老不死の薬]]

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