== 管理人手持ち伝承リスト ==
* 勇敢なメルゲーン、ソヴィエト諸民族民話集、エム・ブラートフ編、未来社、1955、p256-271:英雄メルゲンの物語。いわゆる怪物退治譚、「炎黄闘争」の類話である。「穴ぐら」に閉じ込められている母親を助け出す、という「天の岩戸」の類話的モチーフも含まれている。メルゲンは「炎黄闘争」のうち、黄帝に相当する、といえる。
== 私的解説 ==
「射日神話」、「炎黄闘争」、「岩戸型」の閉じ込め神話と救出など、世界の他の地域の神話・伝承と共通したモチーフが見られる。「炎黄闘争」に連動して母親を岩戸から救出する神話があるということは、いわゆる「棄老」に対して否定的であり、その風習の押しつけに対して抵抗した事実があった、という根拠とならないだろうか。それに伴い、葬送の習慣にも「棄老」的な思想は見えないようである。
主な動物のトーテムとしては熊と虎があり、朝鮮の[[檀君神話]]と共通する思想である。中国にも[[有熊氏]]という熊トーテムが存在する。日本では明確な熊トーテムはあまりはっきりとしないが、「熊野」という地名が強力な信仰の対象となっており、熊トーテムの形跡は強い。またアイヌには明らかな熊トーテム信仰があり、中国から北東アジア・極東にかけて「熊トーテム文化」が広く拡散していることが窺える。熊を太陽神に見たてた「火」あるいは「火信仰」も伴っているのだろうが、火神が親あるいは子を焼き殺すような神話は忌避されている。インド型ではなく、古い時代のイラン型の火信仰に通じるものといえようか。
== 参考文献 ==