となる。ハイヌウェレは宝物を出したり、「神」といって良いような特別な能力があるにも関わらず、「食物」であるが故に一般の人々よりも階級は下とならざるをえない。そして、アメタや人々の食物となる運命なのである。アメタは'''食物を育て、人々に供給する神'''ともいえ、その象徴としてアメタの職業は「'''狩人'''」「'''シャーマン'''」「'''食物供給神'''」となる。シャーマン的なアメタが、何らかの心的な交流で狩りの獲物を多く捕り、動物を自在に操れる存在と見るならば、アメタのことを「'''獣の王'''」と見ることも可能かもしれない。植物や動物といった「食物」を一体のものとして見るのであれば、アメタは「'''植物の王'''」ともなり得る。食物が野生動物の場合、アメタは「'''獣の王'''」、家畜の場合「'''良き牧人'''」、植物の場合「'''植物の王'''」となって、家畜や食物の生殖を盛んにし、人類のために多くの食料を供給する。そのような能力がアメタを、他の人々とは区別した」となって、家畜や食物の生殖と繁殖を盛んにし、人々のために多くの食料を供給する。そのような能力がアメタを、他の人々とは区別した<span style="color:red">'''上位トゥワレ'''</span>となさしめている。
一方、「'''アメタの血'''」が新たな食物神の発生源となっているので、その取扱にも注意が必要であるように思う。これが「アメタの一部」を指すのであれば、アメタは祭祀の際に、一滴の血液を提供するのみで、「'''狩人'''」でも「'''シャーマン'''」でもあり得る。しかし、「'''アメタの血'''」が「アメタ全体」を指す象徴としての意味しか持たない場合には、アメタは祭祀の際に命を提供しなければならないことになる。こうなると、アメタは「'''狩人'''」や「'''シャーマン'''」としての職業を兼任できなくなる。この場合、第三の考え方が登場するように思う。例えば、誰かをアメタの代理に、すなわち<span style="color:red">'''トゥワレ代理人間'''</span>として生贄に捧げるのである。そうすると、アメタは「'''生贄'''」でもあるし、「'''狩人'''」「'''シャーマン'''」あるいは「'''食物供給神'''」を兼任することができる。例えば、フレイザーの述べる「ネミの森」の祭祀は、奴隷が森のアルテミス女神に捧げられるものだが、この行為はローマ皇帝の地位と関係しており、奴隷を捧げることで、皇帝の地位や国家が安定するとも考えられていた。奴隷は女神に対する「'''生贄'''」であるが「'''皇帝の代理人'''」でもある。皇帝は自らが「'''生贄'''」になって、国家守護の女神にその身を捧げる代わりに、代理人を立てることで、「'''生贄'''」と「皇帝」(すなわち、「'''狩人'''」と「'''シャーマン'''」)、「'''食物供給神'''」を全て兼任することができる。