人の姿をしたもの、同じ呼び名をもつものでも、その身長については様々な言い伝えがある。昔から伝わる妖精は人間と同じかもしくは人間より背が高いとされている。ブリトン族の人々は、妖精は冷たい鉄が苦手であると信じていた。歴史家や神話の研究者は、この迷信の存在から、ケルト族がやってくる前にグレートブリテン島に住んでいた人々の民間伝承が妖精の起源であると推測している。これらの人々の武器は石で作ったものだけであり、鉄の武器をもつケルト族の方が軍事的に優位に立った。
人の姿を取らない妖精も少なくない<ref name="Briggs-book-jptrans-92">ブリッグズ,平野ほか訳 (1992) <sup>(要ページ番号、2015-11-15)</sup></ref><ref>デュボア,鈴木訳 (2000) <sup>(要ページ番号、2015-11-15)</sup></ref><ref>デュボア,つじ訳 (2000)<sup>(要ページ番号、2015-11-15)</sup></ref><ref>デュボア,つじ訳 (2001)<sup>(要ページ番号、2015-11-15)</sup></ref><ref>デュボア,つじ訳 (2002)]] <sup>(要ページ番号、2015-11-15)</sup></ref>。旅人を惑わすウィルオウィスプは日本でいう鬼火、人魂である。家畜や身近な動物の姿の妖精も多い。猫は妖精的な生き物とされ、魔女の使い魔、魔女の集会に集まると考えられたり、そのものが妖精ケット・シーとされる。犬もアーサー・コナン・ドイルの『バスカヴィル家の犬』やJ・K・ローリングのハリー・ポッターシリーズに見られるように、墓守あるいは死に結びつけられる黒妖犬として登場する。馬の激しい気性は、御しがたい川の激流に結びつけられ川馬ケルピーや人を乗せて死ぬまで走る夜の白馬などとして登場する。
今日は、妖精は人間に好意的で優しい性格の生物とされることも多いが、歴史的には必ずしもそうではない。例えば妖精が人間の子供をさらって代わりに彼らの子供を置いていくという[[取り替え子]](チェンジリング)の[[迷信]]は[[中世]]では広く伝わっていた。このモチーフは吟遊詩人の{{仮リンク|トーマス・ザ・ライマー|en|Thomas (チェンジリング)の迷信は中世では広く伝わっていた。このモチーフは吟遊詩人のトーマス・ザ・ライマー(Thomas the Rhymer}}や[[タム・リン]]の歌の中に現れている。[[ウィリアム・シェイクスピア]]の『[[真夏の夜の夢]]』ではチェンジリングでさらってきた子をめぐって[[オーベロン]]と[[タイターニア]]が仲たがいをする。Rhymer)やタム・リンの歌の中に現れている。ウィリアム・シェイクスピアの『真夏の夜の夢』ではチェンジリングでさらってきた子をめぐってオーベロンとタイターニアが仲たがいをする。
「ヨーロッパの神話伝承やフォークロアに詳しい中世フランス文学の専門家」フィリップ・ヴァルテールは、神話群においてみられる女神の住処としての機織り場、そこで紡がれる(織られる)糸によって人間の運命が左右される、というモチーフは、「ケルトの妖精、ギリシアのニンフ、日本の女神を結びつける」と論じている<ref>フィリップ・ヴァルテール『ユーラシアの女性神話-ユーラシア神話試論Ⅱ』([[渡邉浩司]]・渡邉裕美子訳)[[中央大学]]出版部 ユーラシア神話試論Ⅱ』(渡邉浩司・渡邉裕美子訳)中央大学出版部 2021年、ISBN 978-4-8057-5183-1、133-163頁(第3部 異界にある女神の住処)、著者自身による要約は6頁。</ref>。
== 作品中の妖精 ==
== 関連項目 ==
* [[コティングリー妖精事件]]* [[ウィリアム・バトラー・イェイツ]]
== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書 |author=[[井村君江]] |title=, 妖精学入門 |publisher=[[, 講談社]] |series=[[, 講談社現代新書]] 1419 |date=, 1998-09 |, isbn=:978-4-06-149419-0 |ref=井村 (1998) }}* {{Cite book |和書 |last=デュボア |first=, ピエール |authorlink=:en:, Pierre Dubois (author) |others=[[:fr:, Roland_Sabatier_(illustrateur)|サバティエ(サバティエ, ロラン)絵、鈴木めぐみ訳 , ロラン]]絵、鈴木めぐみ訳 |title=妖精図鑑 森と大地の精 |publisher=[[, 文渓堂]] |date=, 2000-04 |, isbn=:978-4-89423-241-9 |ref=デュボア,鈴木訳 (2000) }}* {{Cite book |和書 |last=デュボア |first=, ピエール |others=, サバティエ, ロラン絵、つじかおり訳 |title=, 妖精図鑑 海と草原の精 |publisher=, 文渓堂 |date=, 2000-09 |, isbn=:978-4-89423-242-6 |ref=デュボア,つじ訳 (2000) }}* {{Cite book |和書 |last=デュボア |first=, ピエール |others=, サバティエ, ロラン絵、つじかおり訳 |title=, 妖精図鑑 空と風の精 |publisher=, 文渓堂 |date=, 2001-12 |, isbn=:978-4-89423-310-2 |ref=デュボア,つじ訳 (2001) }}* {{Cite book |和書 |last=デュボア |first=, ピエール |others=, サバティエ, ロラン絵、つじかおり訳 |title=, 妖精図鑑 花と水の精 |publisher=, 文渓堂 |date=, 2002-04 |, isbn=:978-4-89423-311-9 |ref=デュボア,つじ訳 (2002) }}* {{Cite book |和書 |last=ブリッグズ |first=, キャサリン |authorlink=:en:, Katharine Mary Briggs |others=[[平野敬一]]、[[三宅忠明]]、井村君江、[[吉田新一]]共訳 |title=, 平野敬一、三宅忠明、井村君江、吉田新一共訳, 妖精事典 |publisher=[[, 冨山房]] |date=, 1992-09 |, isbn=:978-4-572-00093-4 |ref=ブリッグズ,平野ほか訳 (1992) }}* {{Cite book |和書 |last=ブリッグズ |first=, キャサリン |others=, 井村君江訳 |title=, 妖精Who's Who |publisher=[[, 筑摩書房]] |series=[[, ちくま文庫]] |date=, 1996-11 |, isbn=:978-4-480-03192-1 |ref=ブリッグズ,井村訳 (1996) }}* {{Cite book |和書 |last=ローゼン |first=, ブレンダ |others=, 中谷友紀子訳 |title=, 妖怪バイブル - 幻想の生きものについて知りたかった事の全てが解る |publisher=, ガイアブックス |date=, 2009-08 |, isbn=:978-4-88282-702-3 |ref=ローゼン,中谷訳 (2009) }}* {{Cite |和書 |author = ロルフ・W・ブレードニヒ |translator = , 竹原威滋 |title = , 運命の女神:その説話と民間信仰 |date = , 1989 |publisher = , 白水社 |, isbn = :4560018820 |ref = harv }}
== 参照 ==