=== 万葉集巻九 ===
8世紀半ば以降に成立した『[[万葉集]]』巻九の[[高橋虫麻呂]]作の長歌(歌番号1740)に「詠水江浦嶋子一首」として、浦島太郎の原型というべき以下の内容が歌われている{{sfnp|8世紀半ば以降に成立した『万葉集』巻九の高橋虫麻呂作の長歌(歌番号1740)に「詠水江浦嶋子一首」として、浦島太郎の原型というべき以下の内容が歌われている<ref>三浦|, 1989|p=109}}, p109</ref>。「春日之 霞時尓 墨吉之 岸尓出居而(春の日の 霞める時に 住吉の["すみのえ"の] 岸に出で居て)..」という読み手の現実に始まり、そこから連想される浦島の故事に触れる<ref>{{cite web|url=http://etext.lib.virginia.edu/japanese/manyoshu/Man9Yos.html#1740|title=Manyoshu [Book9] |work=Japanese Text Initiative |publisher=Virginia University |year=1999|accessdate=2017-10-01}}</ref><ref name="tsujio"/>。大意は次のようなものである:
:水の江の浦島の子が7日も帰らず[[鯛]]や[[カツオ|鰹]]を釣りをしていると、海境(うなさか)水の江の浦島の子が7日も帰らず鯛や鰹を釣りをしていると、海境(うなさか)<ref group="注">海神の国と人間の国の境目</ref>を超えて漕いでいて行き交った海神([[ワタツミ|わたつみ]])の娘と語り合うようになり、そして結婚する。[[常世]]にある海神の宮で暮らすこととなったが、愚かな男は里帰りを言い出す。妻は、この[[常世の国]]に戻りたいと願うなら決してこれを開くなと、篋(くしげを超えて漕いでいて行き交った海神(わたつみ)の娘と語り合うようになり、そして結婚する。常世にある海神の宮で暮らすこととなったが、愚かな男は里帰りを言い出す。妻は、この常世の国に戻りたいと願うなら決してこれを開くなと、篋(くしげ<ref group="注">箱。玉手箱に相当。元々は化粧道具を入れるためのもの</ref>)を手渡す。
:水江に帰ってみると、家を出てから3年しかたっていないと思っていたのにその家は跡形も無い。箱を開ければ元の家などが戻ると思い開けたところ白い雲がたなびいて常世にむかい、うろたえて叫び、地団太を踏むと、気絶した。浦島の子は皺だらけの白髪の老人の様になり、ついには息絶えてしまった。<ref name="tsujio">{{citation|和書|last=辻尾 |first=榮市 |title=『万葉集』の舟・船 |trans-title= |journal=大阪観光大学紀要 |volume=33 |year=2015 |url=https://doi.org/10.24729/00004341 |page=129|doi=10.24729/00004341}}</ref>