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'''御倉板舉神'''(みくらたなのかみ)。三重県津市の元伊勢伝承地の一つ、倭姫命が[[天照大御神]]を奉戴して「片樋宮」を建立した跡地に、「加良比乃神社」を創設した際「伊豆能賣神」と共に祭祀されたとされている。

== 神話での記述 ==
『古事記』にのみ登場し、『日本書紀』には登場しない。『古事記』でも出自や事跡についての記述が一切ない。神話中では「伊豆能売」とだけ書かれていて、「神」「命」などの神号はつけられていない。

== 概要 ==
神産みにおいて[[伊邪那岐命]]が[[黄泉]]から帰って来た際、黄泉の穢れから禍津日神二柱(大禍津日神、八十禍津日神)が生まれた。その禍津日神がもたらす禍(災厄)を直すために、直毘神二柱(神直毘神、大直毘神)と伊豆能売が生まれたとしている。

『延喜式神名帳』には伊豆能売を祀ったと思われる出雲国出雲郡の「神魂伊豆之賣神社」が記載されており、同社は伊努神社に合祀されたとされているが、同社の祭神に伊豆能売の名はない。『延喜式神名帳』以外にこの神社について記載した史料はなく、伊豆能売を祀る神社は<s>現存しないことになる</s><ref group="私注">「主祭神」と限定しなければ、伊豆能売を祀る神社はいくつか存在する。</ref>。

しかし、伊豆能売の名を冠しない式内社は現存しており、三重県津市の元伊勢伝承地の一つである「加良比乃神社」は倭姫命が[[天照大御神]]を奉戴して「片樋宮」を建立した跡地に「御倉板舉神」と「伊豆能賣神」を祭祀したのが起源とされている。

== 神社 ==
* 伊多波刀神社:愛知県春日井市にある神社。

== 私的考察 ==
伊豆能売は[[伊邪那岐命]]が[[黄泉]]から帰還した後に、「'''穢れ(災厄)を祓うために'''」生まれた女神である。災厄の全てが病気というわけではないのだが、「'''邪気を祓い、不老不死をもたらす'''」とは、中国神話では一体となって[[西王母]]と王母の蟠桃の役割なので、本wikiでは「医薬神」かつ「[[西王母型神]]」として取り扱う。

要は、伊豆能売は死んだ[[伊邪那美命]]から[[西王母]]的な「邪気を祓う」という性質を切り離して'''生きかえらせた'''女神といえる。実在の死んだ人間を生きかえらせることは不可能なので、神話ならではで存在し得る女神といえる。

また、「伊豆能売(イズノメ)」の「イズ」は「イズチ」に通じる言葉であり、本来は雷神(天候神)としての性質も有していた女神だと思われる。記紀神話では(そして日本では)、この女神のみではさほど重要な神とはなっていないが、[[伊邪那美命]]よりも[[西王母]]的な性質の強い女神である。


一旦死んだ女神が、'''やや性質を変えて生きかえったかのように活動する'''ということで共通した性質を持つのは中国神話の「[[巫山神女]]」とも「[[瑤姫]]」とも呼ばれる女神である。[[瑤姫]]とは天候神であるところも似る。おそらく「[[伊邪那美命]]・伊豆能売」と「[[嫦娥]]([[西王母]])・[[瑤姫]]」はこの組み合わせのパターンも含めて同一起源と考える。伊豆能売は系譜的には[[天照大御神]]の姉であり、[[伊邪那美命]]と[[伊邪那岐命]]の娘といえる。[[瑤姫]]が[[西王母]]の娘、とされる点と共通するように思う。

== 参考文献 ==
* Wikipedia:[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%B1%86%E8%83%BD%E5%A3%B2 伊豆能売](最終閲覧日:22-10-03)

== 関連項目 ==
* [[阿字神社]]:本来の祭神は伊豆能売か?
* [[天甕津日女命]]:伊豆能売と同じ女神か。
*[[伊邪那美命]]

=== 同起源の女神 ===
* [[巫山神女]]

== 私的注釈 ==
<references group="私注"/>

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[[Category:日本神話]]
[[Category:女媧型女神]]
[[Category:医薬神]]
[[Category:伎芸神]]

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