「癒し手」としての側面を持つアポロンは、独自の信仰を持たなかった原始神パイアン(Παιών-Παιήων)に通じるものがある<ref>Paieon (Παιήων) puts pain-relieving medicines on the wounds of Pluton and Ares ( Ilias E401). This art is related with Egypt: (Odyssey D232): M. Nilsson Vol I, p. 543</ref>。パイアンは『イーリアス』の中で神々の癒し手として活躍しており、ギリシャ以前の宗教に起源を持つと思われる。ミケーネ時代の神pa-ja-wo-neとの関連が指摘されている<ref>The Mycenaeans, https://books.google.com/books?id=QXwzT1048Z4C&pg=PA160, page160, Louise Schofield, 2007, The British Museum Press, isbn:978-0-89236-867-9</ref><ref>http://minoan.deaditerranean.com/linear-b-transliterations/knossos/kn-v/kn-v/#toc-kn-v-52|title=KN V 52+, Deaditerranean: Minoan Linear A & Mycenaean Linear B, 17 March 2014, 18 March 2016, https://web.archive.org/web/20160318004206/http://minoan.deaditerranean.com/linear-b-transliterations/knossos/kn-v/kn-v/#toc-kn-v-52</ref><ref name="Chawick">John Chadwick, The Mycenaean World|location=Cambridge, UK, Cambridge University Press, 1976, isbn:978-0-521-29037-1, https://archive.org/details/mycenaeanworld00chad, registration, [https://archive.org/details/mycenaeanworld00chad/page/89 89] At Google Books.</ref> 。パイアンとは、病気を治すとされる「先見医者」(ἰατρομάντεις)が歌う聖歌の擬人化である<ref>Ἐπὶ καταπαύσει λοιμῶν καὶ νόσων ᾄδόμενος. ''Which is sung to stop the plagues and the diseases''. Proklos: Chrestom from Photios Bibl. code. 239, p. 321: Martin Nilsson. Die Geschicthe der Griechischen religion. Vol I, p. 543</ref>。
ホメロスは、神であるパイオンと、アポトロパイの感謝や勝利の歌を描いている<ref>Homer 750? BCE-650? BCE, http://www.gutenberg.org/ebooks/2199, The Iliad, 2000-06-01, Butler Samuel</ref>。このような歌は、もともとはアポローンに向けられたものであったが、後に[[ディオニューソス]]、アポローン・ヘリオス、アポローンの息子である癒し手アスクレピオースなど、他の神々に向けられるようになった。紀元前4世紀ごろには、パイアンは単なる賛美歌になった。賛美歌の目的は病気や災難から守ってくれることを願うか、守ってくれたことに感謝するかだった。、アポローン・ヘリオス、アポローンの息子である癒し手アスクレピオースなど、他の神々に向けられるようになった。紀元前4世紀ごろには、パイアンは単なる賛美歌になった。賛美歌の目的は病気や災難から守ってくれることを願うか、守ってくれたことに感謝するかだった。こうして、アポローンは音楽の神として認識されるようになったのである。