「ヴィシャップ石」とは、全てではないのかもしれないが、石柱に女陰が掘られており、これは道標(ギリシャで言うところのヘルマーのようなもの)でもあるし、ヴィシャップの象徴でもあるし、ヴィシャップに道や土地の守護を求めたものでもあるのではないだろうか。そして、ヴィシャップが雌の龍であることも示唆されているように思う。
おそらく、ヴィシャップとアストヒクは本来「同じもの」であって、日本風にいえば、アストヒクが「和魂」、ヴィシャップが「荒魂」であって、ヴィシャップに対しては、これに捧げ物をする等で機嫌を取って鎮めるか、あるいは力づくで押さえ込んで鎮めるか、そのような対応が必要とされたものではないだろうか。どのような方法であろうとも、ヴィシャップの相が鎮まれば、彼女は人々豊穣をもたらす穏やかな水神(またおそらく穏やかな火山の女神)であるアストヒクとなる、と考えられたのであろう。おそらく、ヴィシャップと[[アストヒク]]は本来「同じもの」であって、日本風にいえば、[[アストヒク]]が「和魂」、ヴィシャップが「荒魂」であって、ヴィシャップに対しては、これに捧げ物をする等で機嫌を取って鎮めるか、あるいは力づくで押さえ込んで鎮めるか、そのような対応が必要とされたものではないだろうか。どのような方法であろうとも、ヴィシャップの相が鎮まれば、彼女は人々に豊穣をもたらす穏やかな水神(またおそらく穏やかな火山の女神)である[[アストヒク]]となる、と考えられたのであろう。 [[ヴァハグン]]との関連については、本来[[アストヒク]]・[[ヴィシャップ]]であった女神は、[[ヴァハグン]]の「母親」であって、息子に倒される点は、バビロニア神話のマルドゥクとティアマトに相当するように思う。ただ、「息子が母親を殺す」という展開は大抵の文化で非道徳であるし、体裁の悪いことと見なされることであろうと思うので、[[ヴァハグン]]の英雄性を維持するために、[[アストヒク]]と[[ヴィシャップ]]を分けて、[[ヴァハグン]]と敵対する存在であると再定義し、[[ヴィシャップ]]を「禍をもたらす悪龍」に変更したのであろう。
== 参考文献 ==