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、 2023年1月3日 (火) 00:45
'''エーコー'''(古典ギリシア語:Ἠχώ、Echo)は、ギリシア神話に登場する森のニンフである。一般的には'''エコー'''と表記される。ギリシア語で元々[[木霊]]の意味で、その擬人化である。[[パーン (ギリシア神話)|パーン神]]と美青年[[ナルキッソス]]との恋で有名であるが、古典時代にはこのような話はなく、ヘレニズム時代以降の後世の物語である。エコーは文字通り[[木霊]]・反響などを意味する。
== 概説 ==
=== パーンとエーコー ===
アルカディア地方の神とされるパーンの逸話のなかで、[[パーン (ギリシア神話)|パーン]]が恋をした多数のニンフの一人のなかにエーコーがいる。エーコーは歌や踊りが上手なニンフだったが、男性との恋を好まなかったのでパーンの求愛を断った。尊大なパーンは振られた腹いせに、かねて音楽の演奏で彼女の歌に羨望と妬ましさを覚えていたこともあり、配下の羊飼い、山羊飼いたちを狂わせた。彼らはエーコーに襲いかかり、哀れな彼女を八つ裂きにした(彼女のうたう「歌」の節をばらばらにした。「節(メレー)」は歌の節と、身体の節々の両義をギリシア語では持つ)。すると[[ガイア]](大地)がエーコーの体を隠したが、ばらばらになった「歌の節」は残り、パーンが笛を吹くと、どこからか歌の節が[[木霊]]となって聞こえてきて、パーンをたびたび怯えさせたともされる。
=== 娘イアンベー ===
エーコーはこのようないきさつで、木霊となって今でも野山において聞こえるのだという。また、別の伝承では、エーコーはパーンとのあいだに一人の娘[[イアンベー]](イアムベー)を持ったともされる。[[デーメーテール]]女神が、[[ハーデース]]に誘拐された娘の[[ペルセポネー]]を捜し求めて野山を彷徨い[[エレウシース]]に至ったとき、領主[[ケレオス]]の館で冗談を言って、女神を笑わせたのが、このイアンベーだともされる。(「エレウシースの秘儀」では、この故に、女たちが笑い声をあげるとされる)。
=== ナルキッソス ===
[[オウィディウス]]の『[[変身物語]]』によれば、[[ゼウス]]の浮気相手となった山のニンフたちを助けるために、エーコーはゼウスの妻[[ヘーラー]]を相手に長話をしつづけたことがあった。このためにエーコーはヘーラーの怒りを買い、自分からは話かけることができず、誰かが話した言葉を繰り返すことしかできないようにされた。エーコーは[[ナルキッソス]]に恋したが、話しかけることができないために相手にしてもらえず、屈辱と恋の悲しみから次第に痩せ衰え、ついには肉体をなくして声だけの存在になった。復讐の女神[[ネメシス]]によって、ナルキッソスは水面に映る自分の姿に恋し、終には命を落とす。ナルキッソスの嘆きの声は、そのままエーコーの嘆きとなった。
=== イーオー ===
[[ロバート・グレイヴズ|グレイヴズ]]の記すところでは(『ギリシア神話』56章a )、エーコーとパーンのあいだには、娘[[イユンクス]]があったとされる。イユンクスはゼウスに魔法をかけ、河神[[イーナコス]]の娘[[イーオー]]への恋心を抱かせたため、[[ヘーラー]]の怒りに触れ鳥の[[アリスイ]]に姿を変えられたという。<!-- 未確認: アリスイの名 (jynx) は[[ジンクス]] (jinx) の語源となっている。--><!-- 「イユンクス」という名は、ギリシア語では珍しいのではないかと思う。-->
== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2015年10月29日 (木) 11:40 (UTC)|section=1}}
* [[高津春繁]] 『ギリシアローマ神話辞典』 [[岩波書店]]
* [[ロバート・グレイヴズ]] 『ギリシア神話』 [[紀伊國屋書店]]
* [[呉茂一]] 『ギリシア神話』 [[新潮社]]
== 関連項目 ==
* [[パーン (ギリシア神話)|パーン]]
* [[ナルキッソス]]
* [[ネメシス]]
* [[ヘーラー]]
* [[イアンベー]]
* [[木霊]]
{{ギリシア神話}}
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[[Category:ギリシア神話]]
[[Category:ニンフ]]