=== ゼウスの7人の妻 ===
ゼウスは最終的にはヘーラーと永遠に結ばれるが、それまでに何度か結婚と離婚を繰り返していた。
ヘシオドスによれば、ゼウスには7人の妻がいた。最初の妻はオケアノスのメーティスで、ガイアとウラヌスの助言により、メーティスとの間にできた息子が予言通りゼウスを打倒しないように、メーティスを飲み込んだ。その後、彼らの娘アテーナーがゼウスの額から生まれた<ref name=":hsdm">Hesiod, ''Theogony'' [http://data.perseus.org/citations/urn:cts:greekLit:tlg0020.tlg001.perseus-eng1:886-900 886–900].</ref>。
Zeus's seventh and final wife was his older sister [[Hera]].<ref>[[Hesiod]], ''[[Theogony]]'' [http://data.perseus.org/citations/urn:cts:greekLit:tlg0020.tlg001.perseus-eng1:901-937 921].</ref>
==== メーティス ====
ゼウスの最初の妻は智恵の女神[[メーティス]]であった。彼女は[[オーケアニス|オーケアニデス]]であり、[[ティーターン|ティーターン神族]]の一柱であったが、[[ティーターノマキアー]]の際にはゼウスに味方していた。[[ガイア]]は「ゼウスとメーティスの間に生まれた男神は父を超える」という予言をした。これを恐れてゼウスは妊娠していたメーティスを呑み込み、子供が生まれないようにした。「どんなものにでも変身できるのなら、水に変身してみせよ」というゼウスの挑発に乗ったメーティスが水に変じたところでこれを飲み干したとも、ゼウスから逃れるために様々な動物に変身していたが、蠅に変身したところで呑み込まれたとも言われる。
あるとき、ゼウスは激しい頭痛に襲われた。そこで、[[ヘーパイストス]]に命じて頭を斧で叩き割り、直接原因を探ろうとした。すると、ゼウスの頭から武装し成人した[[アテーナー]]が飛び出してきた。その衝撃で世界は停止し、天体の運行も止まった。アテーナーがゼウスとメーティスとの子であり、女神であったために、ガイアの予言は効力を失った。こうしてゼウスは王位簒奪の大いなる運命から解放された。呑み込まれたメーティスはゼウスの智恵となり、ゼウスはメーティスの全知を手に入れた。また、メーティスはアテーナーと共に飛び出てきたという説もある。
==== テミス ====
メーティスの智恵を吸収したゼウスは、次に[[ウーラノス]]とガイアの子である、掟の女神[[テミス]]と結婚した。テミスとの間に運命の三女神[[モイライ]]、季節の女神[[ホーラー]]、正義の女神[[アストライアー]]をもうけた。モイライは最初は夜の女神[[ニュクス]]の娘であったが、ゼウスは上記のように運命を超越し、モイライを自らの子として再誕生させた。結果として運命すらもゼウスに抗えなくなった<ref name="名前なし-2">吉田敦彦『ギリシア神話の発想』1980</ref>。
==== ヘーラー ====
ゼウスは[[ヘーラー]]に目を付け、テミスと結婚中であるにもかかわらず結婚の女神[[ヘーラー]]に言い寄った。ゼウスは[[カッコウ]]に化けてヘーラーに近付き犯そうとしたが、[[ヘーラー]]はそれでも尚抵抗を止めなかった。[[ヘーラー]]は交わることの条件として結婚を提示した。[[ヘーラー]]に魅了されていたゼウスは仕方なくテミスと離婚すると、ヘーラーと結婚し、彼女との間にアレース、ヘーパイストス、[[ヘーベー]]などをもうけた。ヘーラーはゼウスの不貞に対して常に目を光らせ、愛人たちやその子供たちに苛烈な罰を与えるようになった。
=== Zeus and Hera ===