=== 繁殖 ===
* 繁殖は一夫一妻型で群れの最上位のペアのみが行うが、例外的に他の個体が繁殖することもある。[[交尾]] は一般に1月~3月頃に行われる。妊娠期間は60 繁殖は一夫一妻型で群れの最上位のペアのみが行うが、例外的に他の個体が繁殖することもある。交尾は一般に1月~3月頃に行われる。妊娠期間は60 - 63日、平均4 - 6頭の子を産む。雌は巣穴を作りそこで子育てを行う。父親や群れの仲間も子育てを手伝う。* 子は目が開くのは12 - 14日で、20 - 24日経って動き回るようになり、20 - 77日の間で群れを認識する社会性が育ち離乳する。固形食は大人が[[吐き戻し]]て与える。8週ほどで巣穴を離れるようになる。77日の間で群れを認識する社会性が育ち離乳する。固形食は大人が吐き戻して与える。8週ほどで巣穴を離れるようになる。
* 子は1年も経てば成体と同じ大きさになるが、性的に成熟するには2年ほどかかる。成熟したオオカミは群れに残るか、群れを出て新たな場所に移り、配偶者を見つけ(この過程で1匹になることを一匹狼という)、新たな群れを形成する。
=== コミュニケーション ===
[[File:Howlsnow.jpg|thumb|upright|left|[[ハウリング]]はオオカミのコミュニケーションの一つ。]]オオカミは[[ボディランゲージ]]、表情、吠え声などで群れの内外とコミュニケーションを取る。表情やしぐさは群れの順位を確認する際に良く使われる。遠吠えは、群れの仲間との連絡、狩りの前触れ、縄張りの主張などの目的で行われ、それぞれほえ方が異なるといわれる。合唱のように共同で遠吠えすることもある。オオカミはボディランゲージ、表情、吠え声などで群れの内外とコミュニケーションを取る。表情やしぐさは群れの順位を確認する際に良く使われる。遠吠えは、群れの仲間との連絡、狩りの前触れ、縄張りの主張などの目的で行われ、それぞれほえ方が異なるといわれる。合唱のように共同で遠吠えすることもある。
=== 寿命 ===
== 化石記録 ==
オオカミに限らず古代の脊椎動物の化石出土はまれであり、断片的な情報や形態学的な分析から類推することが常であるため、研究者間でも見解が異なることがままある<ref name=sardella2014>{{cite journal|doi=:10.1016/j.quaint.2013.11.016|title=, The wolf from Grotta Romanelli (Apulia, Italy) and its implications in the evolutionary history of Canis lupus in the Late Pleistocene of Southern Italy|journal=, Quaternary International|volume=328–329|pages=179–195|year=, volume328–329, pages179–195, 2014|last1=, Sardella|first1=Raffaele|last2=, Bertè|first2=Davide|last3=, Iurino|first3=Dawid Adam|last4=, Cherin|first4=Marco|last5=, Tagliacozzo|first5=Antonio|bibcode=, 2014QuInt.328..179S}}</ref>。およそ6500万年前に起こった[[白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅]]は恐竜種の絶滅と肉食哺乳類の出現をもたらした。およそ6500万年前に起こった白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅は恐竜種の絶滅と肉食哺乳類の出現をもたらした<ref name=Wang2008>{{cite book|last1=Wang|first1=, Xiaoming|authorlink1=, Xiaoming Wang (paleontologist)|last2=, Tedford|first2=, Richard H.|title=Dogs: Their Fossil Relatives and Evolutionary History|publisher=, Columbia University Press, New York|year=, 2008|pages=1–232|, pages1–232, isbn=:978-0-231-13529-0|, oclc=:502410693|url={{Google books|plainurl=yes|, id=:LnWdpK7ctI0C}}}}</ref>{{rp|<ref>p.8}}。主として昆虫を捕食する[[アードウルフ]]のような種を除き、これらの種は肉を裂き骨を砕くためのエナメル質の[[裂肉歯]]を持ち、長い期間をかけて環境に適合するよう進化してきた。イヌ科とネコ科の肉食動物の祖先はおよそ恐竜が滅んだ直後に誕生し、別々の進化を遂げてきたが、イヌ科の最初の仲間が登場するのはおよそ4000万年前のことである</ref>。主として昆虫を捕食するアードウルフのような種を除き、これらの種は肉を裂き骨を砕くためのエナメル質の裂肉歯を持ち、長い期間をかけて環境に適合するよう進化してきた。イヌ科とネコ科の肉食動物の祖先はおよそ恐竜が滅んだ直後に誕生し、別々の進化を遂げてきたが、イヌ科の最初の仲間が登場するのはおよそ4000万年前のことである<ref name=Wang2008 />{{<ref>rp|, p.16}}</ref>。オオカミは150万年前ごろに、その初期の小型のイヌ科動物の集団から発生したと考えられており<ref name=nowak2003>{{Cite book|editor-last=Mech|editor-first=, L. David|editor2-last=, Boitani|editor2-first=Luigi|title=, Wolves: Behaviour, Ecology and Conservation|publisher=, University of Chicago Press|year=, 2003|, isbn=:978-0-226-51696-7|chapter=, Chapter 9 - Wolf evolution and taxonomy|author=, R.M. Nowak|pages=239–258}}, pages239–258</ref>{{<ef>rp|, p.241}}、形態学的、遺伝子的、化石標本上の類推からも[[コヨーテ]]と同じ祖先から進化したことを示唆している</ref>、形態学的、遺伝子的、化石標本上の類推からもコヨーテと同じ祖先から進化したことを示唆している<ref name=nowak2003 />{{<ref>rp|, p.239}}。[[ジャッカル]]をはじめとする[[イヌ属]]の祖先とはこれよりも前に分岐していたと考えられている</ref>。ジャッカルをはじめとするイヌ属の祖先とはこれよりも前に分岐していたと考えられている<ref name=nowak2003 />{{</ref>rp|, p.240}}</ref>。
== 絶滅地域への再導入 ==
オオカミの住処や獲物である草食動物を人間が奪ったため、オオカミは人間に駆除される危険を冒してまで[[家畜]]を襲うようになった。そのため家畜を襲う害獣であるとして人間がオオカミを駆逐し、絶滅させてしまった地域がある。そうした地域のなかにはオオカミの絶滅の後、[[天敵]]を失った大型の草食動物が異常に増加し、地域の植物が食べ尽くされたことによって森林が消滅し、逆に大量の草食動物が餓死し既存の生態系を攪乱せしめたという例がある。こうした撹乱された生態系を以前のものに戻す対策として、アメリカ合衆国の[[イエローストーン国立公園]]では、絶滅したオオカミを再び導入し、成功を収めている。
{{see also|オオカミの再導入|ニホンオオカミ#絶滅の弊害と導入計画}}
== 日本==
{{Main|ニホンオオカミ}}
[[日本]]固有のオオカミのうち、[[本州]]・[[四国地方|四国]]・[[九州地方|九州]]に分布していたものは、[[ニホンオオカミ]]({{snamei|Canis lupus hodophilax}} または {{snamei|Canis hodophilax}})と呼ばれる。大きさは中型の[[日本犬]]ぐらいで、毛色は白茶けており、夏と冬では毛色が変わったとされる。
眷属としてのオオカミの[[ご利益]]は山間部においては五穀豊穣や獣害よけ、都市部においては火難・盗賊よけなどで、19世紀以降には[[憑依|憑き物]]落としの霊験も出現する。眷属信仰は[[江戸時代]]中期に成立し、[[幕末]]には[[1858年]]([[安政]]5年)に[[コレラ]]が大流行し、コレラは[[外国人]]により持ち込まれた悪病であると考えられ、憑き物落としの霊験を求め眷属信仰は興隆した。そのため憑き物落としの呪具として用いられる狼遺骸の需要が高まり、また同時期に流行した[[狂犬病]]や[[ジステンパー]]の拡大によって狼の獣害も発生し、'''明治以降、家畜を襲う[[害獣]]として懸賞金まで懸けられた徹底的な駆除などの複合的な原因によって絶滅したと思われている。'''
{{Main|エゾオオカミ}}
一方、[[北海道]]および[[樺太]]・[[千島列島|千島]]に生息した大型の亜種は、[[エゾオオカミ]] ({{snamei|Canis lupus hattai}}) と呼ばれている。大きさは[[シェパード]]ほどで、褐色の毛色だったとされている。[[アイヌ]]ではエゾオオカミを「狩りをする神(オンルプシカムイ)」「ウォーと吠える神(ウォセカムイ)」など地域によって様々な呼び名があるが、雅語としての「大きな口の神(ホロケウ[[カムイ]])」は北海道全域で通じた。伝承では英雄を助ける、主人公を騙して夫にしようとする、いたずら好きなど様々な性格で語られるが、カムイのオオカミは白い毛を持つとされる<ref>[http://www.ainu-museum.or.jp/siror/book/detail.php?page=book&book_id=A0269 オオカミ、エゾオオカミ、狼] - アイヌと自然デジタル図鑑</ref>。明治以降、入植者により毛皮や肉目的の狩猟で獲物の[[エゾシカ]]が一時激減し、入植者が連れてきた牛馬などの家畜を襲って害獣とされ、懸賞金まで懸けられた徹底的な駆除により数が激減し、ジステンパーなどの飼い犬の病気の影響や[[1879年]](明治12年)の大雪による[[エゾシカ大量死]]が重なった結果、'''[[1900年]](明治33年)頃に絶滅したと見られる。'''
== 文化 ==
[[ファイル:She-wolf suckles Romulus and Remus.jpg|280px|thumb|right|牝狼の乳を吸う[[ロームルス]]と[[レムス]]]]
[[File:Romolo e remo.jpg|280px|thumb|right|『ロームルスとレムスの発見』([[ピーテル・パウル・ルーベンス]]作)]]
[[ヨーロッパ]]や[[中華人民共和国|中国]]など牧畜が盛んであった地域では家畜を襲う害獣として忌み嫌われる傾向にあり、逆に日本(北海道を除く)のように農業が盛んであった地域では、農作物へ被害をあたえる[[シカ]]などの害獣を駆除する益獣として、怖れをもたれると同時に慕われもした。また、アイヌや[[ネイティブアメリカン]]などのように、狩猟採集生活が盛んであった民族でも神格化されることがある。
* 米国のファンタジー小説『[[ファオランの冒険]]』では、部族ごとに群れをなし、厳しい掟によって自らを律するオオカミたちの生態が描かれている。
* [[スズキ (企業)|スズキ]]のオートバイ『[[スズキ・ウルフ|ウルフ]]』はオオカミが力強さとスピードをイメージさせることからその名が付けられた。
== 画像 ==
<gallery>
File:Weisser Wolf Berlin ca 1998.jpg|ツンドラオオカミ<br />{{snamei|Canis lupus albus}}
File:Canis lupus arabic.JPG|アラビアオオカミ<br />{{snamei|Canis lupus arabs}}
画像:Polarwolf004.jpg|ホッキョクオオカミ<br />{{snamei|Canis lupus arctos}}
画像:エゾオオカミ剥製・開拓記念館19840914.jpg|エゾオオカミ(絶滅種)<br />{{snamei|Canis lupus hattai}}
画像:Honshu-wolf.jpg|ニホンオオカミ(絶滅)<br />{{snamei|Canis lupus hodophilax}}
File:Canis_lupus_pallipes_Mysore_Zoo_1.jpg|インドオオカミ<br />{{snamei|Canis lupus pallipes}}
File:Canis lupus Parc des Loups 003.jpg|イタリアオオカミ<br />{{snamei|Canis lupus italicus}}
画像:ヨーロッパオオカミ20070414多摩動物園.jpg|ヨーロッパオオカミ<br />{{snamei|Canis lupus lupus}}
ファイル:Maruyama Zoo Canis lupus occidentalis 001.jpg|シンリンオオカミ<br />{{snamei|Canis lupus lycaon}}
File:Lobo en el Zoo de Madrid 01 cropped.jpg|アラスカオオカミ<br />{{snamei|Canis lupus occidentalis}}
画像:Canis_lupus_baileyi_running.jpg|メキシコオオカミ<br />>{{snamei|Canis lupus baileyi}}
</gallery>
== 脚注 ==