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'''アポローン'''('''ΑΠΟΛΛΩΝ''', Ἀπόλλων, Apollōn)は、ギリシア神話に登場する男神。[[オリュンポス十二神]]の一柱であり、[[ゼウス]]の息子である<ref>https://kotobank.jp/word/アポロン-27092, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説, コトバンク, 2018-01-28</ref>。詩歌や音楽などの芸能・芸術の神として名高いが、羊飼いの守護神にして光明の神でもあり、[[イーリアス]]においてはギリシア兵を次々と倒した<ref>ホメロス 『イリアス(上)』 松平千秋訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1992年、13頁。</ref>「遠矢の神」<ref>ホメロス 『イリアス(上)』 松平千秋訳、11頁。</ref>であり、疫病の矢を放ち男を頓死させる神<ref name="注">「アポローンの矢に射られる」という表現は男が頓死することを意味した(ホメロス 『イリアス(上)』 松平千秋訳、394頁)。</ref>であるとともに病を払う治療神でもあり、神託を授ける予言の神としての側面も持つなど、付与された性格は多岐に亘る。もとは小アジアに起源をもつ神格で、本来は繁茂する植物の精霊神から転じて牧畜を司る神となったという説や、北方の遊牧民に起源を求める説など<ref>呉茂一 『ギリシア神話(上)』 新潮社〈新潮文庫〉、昭和54年、132頁。</ref>、アポローンの出自については諸説あり、複数の神格の習合を経て成立したものとも考えられている<ref>松村一男、平藤喜久子、山田仁史編 『神の文化史事典』 白水社、2013年、52-53頁。</ref>。古典期のギリシアにおいては理想の青年像と考えられ、また、[[ヘーリオス]](太陽神)と同一視されるようにもなった。
推定される原音に近づけてその名をカナ転写すればアポ<small>ル</small>ローンあるいはアポッローンとなるが、[[日本語]]のカタカナ表記ではアポローン、または[[長母音]]を省略してローンあるいはアポッローンとなるが、日本語のカタカナ表記ではアポローン、または長母音を省略して'''アポロン'''とするのが通例である。
アポロとも表記されるがこれについては不明。
== 概説 ==
アポローンは主神[[ゼウス]]と[[レートー]]との[[息子]]で狩猟の女神との息子で狩猟の女神[[アルテミス]]の[[双生児|双子]]の弟'''双子の弟'''<ref group="注">ギリシア神話では姉、ローマ神話では妹とする説もある。</ref>。オリュンポス十二神に名を連ねる。古くから[[牧畜]]と[[予言]]の神、また、[[リラ (楽器)|竪琴]]を手に執る音楽と詩歌文芸の神であった。光明神の性格を持つことから前5世紀には時として。オリュンポス十二神に名を連ねる。古くから牧畜と予言の神、また、竪琴を手に執る音楽と詩歌文芸の神であった。'''光明神'''の性格を持つことから前5世紀には時として[[ヘーリオス]]と混同されて[[太陽神]]とされ、ローマ時代にはすっかり太陽神と化したと混同されて太陽神とされ、ローマ時代にはすっかり太陽神と化した<ref>呉茂一 『ギリシア神話(上)』 新潮社〈新潮文庫〉、昭和54年、141頁。</ref>。聖獣は[[オオカミ|狼]]および[[ヘビ|蛇]]、[[シカ|鹿]]で、聖鳥はヒュペルボレオイの国から飛来する[[ハクチョウ|白鳥]]および、[[カラス|鴉]]、[[ニワトリ|雄鶏]]、[[鷹]]、[[ハゲワシ|禿鷹]]で、[[セミ|蝉]]もアポローンの使いとされる<ref>[[里中満智子]] 『マンガ ギリシア神話2 至高神ゼウス』 [[中央公論新社]]</ref><ref name="G">フェリックス・ギラン 『ギリシア神話』 [[青土社]]</ref>。聖樹は[[ゲッケイジュ|月桂樹]]、[[オリーブ]]、[[シュロ|棕櫚]]、[[ギョリュウ|御柳]]<ref name="G" />。また、[[イルカ]](デルピス)との関係も深く、イルカの姿に変身したという神話からデルピニオスとも呼ばれ、「[[デルポイ]]」という地名はここから来ているともいわれる<ref name="G" />{{Refnest|<ref group="注"|デルポイは「子宮」を意味するデルピュスが語源という説もある>デルポイは「子宮」を意味するデルピュスが語源という説もある。</ref><ref name="jiten">マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル 『ギリシア・ローマ神話事典』 大修館書店</ref>。}}
また、あらゆる知的文化的活動の守護神とされ、詩神[[ムーサ|ムーサイ]]を主宰するとともに、[[オルペウス教]]の伝説的開祖である詩人[[オルペウス]]の父親ともされる。一方、人間に当たれば苦痛なく一瞬で即死する金の矢を武器とし、姉(妹)神アルテミスとともに「遠矢射るアポローン」として[[疫病]]神の性格を持ち、転じて[[医療|医術]]の神としても信仰された。医神[[アスクレーピオス]]がアポローンの子とされるのはそのためである。このように、アポローンの性格は理性的であると同時に人間を地上に向かって放った矢から広がる疫病で虐殺したり、音楽の腕を競う賭けで[[サテュロス]]の1人[[マルシュアース]]を[[皮剥ぎの刑|生きたまま全身の皮膚を剥いで殺す]]などの冷酷さ、残忍さをも併せ持っている。腕力も強く、[[イーリアス]]ではアカイア勢の築いた頑強な城壁を素手で軽々と打ち砕いて崩壊させている。[[ボクシング]]を創始した神としても知られる。
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