上記とはまったく別の話がある。イーノーは山中で大山猫に襲われ、そのときにバッコス([[ディオニューソス]])の狂乱がイーノーに取り憑き、イーノーは大山猫を引き裂いて殺し、そのままパルナッソス山の[[マイナス (ギリシア神話)|マイナス]]たちの酒宴に加わった。[[アタマース]]はイーノーが死んだと思って[[テミストー]]を後妻に迎えた。後になってイーノーが健在であることがわかり、アタマースは乳母といつわってイーノーを宮中に入れた。[[テミストー]]はこれを見破り、[[テミストー]]の子には白い衣装、イーノーの子には喪服を着けさせるようイーノーにいいつけ、翌日護衛に命じて喪服の子供を殺させた。しかし、イーノーは危険を察して子供の服を取り替えていたので、殺されたのは[[テミストー]]の子だった。[[アタマース]]はこれによって乱心したのだという<ref>これは「幼児供犠」を思わせるエピソードである。</ref>。
[[エウリピデース]]の[[ギリシア悲劇]]『[[バッコスの信女]]』では、イーノーは姉妹のエウリピデースのギリシア悲劇『バッコスの信女』では、イーノーは姉妹の[[アガウエー]]、[[アウトノエー]]とともにディオニューソスの饗宴に加わり、これを阻止しようとしたアガウエーの息子でとともにディオニューソスの饗宴に加わり、これを阻止しようとした[[テーバイアガウエー]]王であるの息子でテーバイ王である[[ペンテウス]]の身体を引き裂いて殺す。
== 解釈 ==
[[ロバート・グレーヴス]]によれば、イーノーとは「たくましくする女」の意であり、[[男根崇拝]]の狂乱の祭りと[[穀物]]のたくましい成長に関連がある。神話のイーノーの先妻ロバート・グレーヴスによれば、神話のイーノーの先妻[[ネペレー]]の子たちをめぐる争いについては、[[ボイオーティア]]に植民した古代に植民した古代イオニア人と、そこへ侵入してきたアイオリス人の宗教的対立が背景にあったと解釈している。すなわち、イーノーはイオニア人が信仰を受け入れていた穀物の女神であり、牧畜を生業とするアイオリス人は[[イオニア人雷神]]と、そこへ侵入してきた([[アイオリス人アタマース]]の宗教的対立が背景にあったと解釈している。すなわち、イーノーはイオニア人が信仰を受け入れていた穀物の女神であり、)とその妻である雨雲([[牧畜]]を生業とするアイオリス人は[[雷神]]([[アタマースネペレー]])とその妻である雨雲(ネペレー)を信仰していた。イーノーの信仰に基づく農耕の祭式を、アイオリス人がアタマースとネペレーのものにしようとしたことに対し、イオニア人の女たちが種麦を焙ることによってこれを食い止めたのであろうとする。)を信仰していた。イーノーの信仰に基づく農耕の祭式を、アイオリス人がアタマースとネペレーのものにしようとしたことに対し、イオニア人の女たちが種麦を焙ることによってこれを食い止めたのであろうとする<ref>でも、そんなことしたらイオニア人自身が飢えてしまいますよね? と思う。グレーヴス自身は何も食べなくても生きていけるのかもしれませんが。</ref>。
== 関連項目 ==