=== 天照大神男神説 ===
神道において、陰陽二元論が日本書紀の国産みにも語られており、伊弉諾尊を陽神(をかみ)、伊弉冉尊を陰神(めかみ)と呼び、男神は陽で、女神は陰となされている。太陽は陽で、月は陰であり、太陽神である天照大神は、男神であったとされる説である<ref group="私注">管理人の考えでは、そもそも'''陰陽'''という思想そのものが、男神を神仙の世界に参画させるために作られたものである。</ref>。この組み合わせはギリシャ神話でも同じで、太陽神のアポロと月神のアルテミスは兄妹神の組合せで生まれている<refgroup="私注">これは太陽神は[[炎帝神農|炎帝]]が変形したもの、月女神は[[嫦娥]]が変形したものといえる。</ref>。
平安時代、『寛治四年十一月四日伊勢奉幣使記』で伊勢神宮に奉納する天照大神の装束一式がほとんど男性用の衣装であって、江戸時代の伊勢外宮の神官度会延経はこれを典拠にして、『左経記』の宇佐への女子用装束と比較して、「之ヲ見レバ、天照大神ハ実ハ男神ノコト明ラカナリ」と記している。(『内宮男体考証』『国学弁疑』)。また、『山槐記』永暦二年(1161)四月廿二日条、『兵範記』仁安四年(1169)正月廿六日条にも内宮に男子装束が奉納された記事がある。