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サイズ変更なし 、 2022年7月17日 (日) 20:50
==ハイヌウェレ神話==
インドネシア東部のセラム島西部のウェマーレ族(Wemale インドネシア東部のセラム島西部のヴェマーレ族(Wemale people)に次のような農耕起源神話(殺された女神の神話)が伝わる(なお、細部の異なる異伝もいくつか存在する)<ref>大林, 19791, pp133–141; イェンゼン, 1977, pp54–59を引用。</ref>。
九家族(バナナから発祥した最初の人類)は、ヌヌサク山を下りて部族移動をはじめ、森の中の神聖な踊りの広場、タメネ・シワ(Tamene Siwa.)のある場所に来ていた。そのなかにアメタ(「黒、夜」等の意)という独身の男がいた。アメタは'''犬'''を連れて狩りに出かけた。犬はイノシシを池のところまで追い詰め、'''イノシシは池に飛び込んで溺れ死んだ'''。アメタがイノシシの死体を引き上げると、牙からココヤシの実が見つかった(そのとき世界にはまだココヤシの木は存在しなかった)<ref>アメタとは高野山の高野御子の姿に類似しているように思う。単なる狩人ではなく、神の意をうけて人々に主食となる作物をもたらす'''媒介'''のような役割を果たしている。(管理人)</ref>。アメタはサロン・パトラ(蛇模様の布)(Sarong patola.)で覆って実を持ち帰ったが、夢に謎の男が現れ、その実を植えよとのお告げにしたがうと、3日で木に成長し、さらに3日後に開花した。アメタはヤシ酒を作ろうと木登りしたが、花を切ろうとして指を傷つけてしまい、血が花にほとばしった。すると花と血が人間のかたちとなり、9日後には少女に育っていた。その彼女をハイヌウェレ(ハイヌヴェレ、「ココヤシの枝」の意)と名づけ、蛇柄のサロン布に包んで持ち帰った。彼女には、いろいろな高価な品物を大便として排泄するという、不思議な能力が備わっていたので、アメタは富豪となった<ref name="nishimura1960">和書, 西村 , 朝日太郎 , 西村朝日太郎<!--Nishimura, Asahitarō--> , 第九章第七節 デマ神の神話学的背景 , 人類学的文化像 : 貫削木と聖庇の基礎的研究<!--Jinruigakuteki bunkazō: kansakuboku to seihi no kisoteki kenkyū--> , 吉川弘文館 , 1960 , https://books.google.com/books?hl=ja&id=m_5BAQAAIAAJ&q=ハイヌウェレ , pages400–402</ref><ref>吉田, 1986, pp37–39; 吉田, 1992, pp141–143</ref><ref>大林, 1979, pp133–135</ref>。

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