'''イーピゲネイア'''('''Ἰφιγένεια''', ''Īphigeneia'', Iphigenia)は、ギリシア神話に登場するミュケーナイの王女である。長母音を省略して'''イピゲネイア'''とも表記される。
父はミュケーナイ王[[アガメムノーン]](従弟の[[タンタロス]]の娘という説もある)、母はスパルタ王女[[クリュタイムネーストラー]]。妹に[[エーレクトラー]]、弟に[[オレステース]]を持つ。(従弟のタンタロスの娘という説もある)、母はスパルタ王女クリュタイムネーストラー。妹にエーレクトラー、弟にオレステースを持つ。
父アガメムノーンによって女神アルテミスの生贄に捧げられた彼女の悲惨な最期は、エウリーピデースの悲劇『アウリスのイーピゲネイア』の題材とされている。
アルテミスをアルテミス・イーピゲネイアと呼称した例があることから、イーピゲネイアは本来アルテミスの分身またはアルテミスと同一視された女神だったと考えられているアルテミスを'''アルテミス・イーピゲネイア'''と呼称した例があることから、イーピゲネイアは本来アルテミスの分身またはアルテミスと同一視された女神だったと考えられている<ref>高津春繁 『ギリシア・ローマ神話辞典』 岩波書店。</ref><ref group="私注">イーピゲネイアの名前の「'''-geneia'''」という部分はラテン語の「ignite」と関連し「炎」を意味する考える。</ref>。
==== 悲惨な最期 ====
『アウリスのイーピゲネイア』に描かれる父王の葛藤とうら若い王女の話は悲劇として名高い。また、英雄と名高いオデュッセウスがここでは非情な謀略に長けた武将と描かれ、義憤から王女を救おうとする勇士アキレウスと対比されている。
弟[[メネラーオス]]の頼みによって[[トロイア戦争]]に参加したアガメムノーンは出征を前にして[[アウリス]]の港に近い森で狩を楽しんでいた。次々に獲物をしとめ気分が高揚した王は思わず口を滑らせる。弟メネラーオスの頼みによってトロイア戦争に参加したアガメムノーンは出征を前にしてアウリスの港に近い森で狩を楽しんでいた。次々に獲物をしとめ気分が高揚した王は思わず口を滑らせる。
「私の腕前には狩の女神たるアルテミスもかなわないであろう。」と
=== カリストー ===
[[カリストー]](Kallistō)はアルカディアの[[ニュンペー|ニュムペー]]であるが、純潔を誓い、アルテミスに従っていた。(Kallistō)はアルカディアのニュムペーであるが、純潔を誓い、アルテミスに従っていた。[[ゼウス]]は姿を変えて[[カリストー]]に近づき、彼女を愛した。こうして二人のあいだにアルカディアの祖となる[[アルカス]]ができるが、アルテミスはこれを怒り、彼女を雌'''熊'''に変えた(一説では、ヘーラーが、またゼウス自身が、雌熊に変えた)。カリストーはアルテミスによって殺されたとも、息子アルカスがそれと知らず、熊と思い彼女を殺したともされる<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.101。</ref>。
[[ゼウス]]はカリストーを憐れんで天に上げ、[[おおぐま座]]にしたとされる。息子アルカスは[[こぐま座]]となった(なお、[[うしかい座]]もアルカスの姿であるとされる)。しかしこのカリストーは、本来は「アルテミス・カリステー」(Artemis はカリストーを憐れんで天に上げ、おおぐま座にしたとされる。息子アルカスはこぐま座となった(なお、うしかい座もアルカスの姿であるとされる)。しかしこのカリストーは、本来は「'''アルテミス・カリステー'''」(Artemis Kallistē, もっとも美しいアルテミス)であり、アルテミス自身のことであったと考えられる<ref name="T2"></ref>。
=== アクタイオーン ===