ガンジが龍衣を着て、天の神・火雷神になり、槃瓠父が逆に「息子のカエル」とされてしまったのが、壮族の「雷神とカエル」といえようか。こちらのカエルは皮を被っていない、本物のカエルといえるのではないだろうか。カエル息子の父親の[[羿]]のトーテムも'''蛙'''であり、敵を倒して王女と結婚する英雄も本当は犬でもあり'''蛙'''でもある、とすれば、'''槃瓠'''のトーテムも'''蛙'''になって、かつ槃瓠は[[羿]]であり、水雷神の[[黄帝]]である、ということになりはしないだろうか。タン・ファダンが息子を殺すのは、[[黄帝]]と[[蚩尤]]([[祝融]])の争いを表しているものといえる。
== 私的考察・八犬伝について ==
八犬伝では、お犬様の'''八房'''の8人の息子たちは最後には里見義成の8人の姫と結婚しているので、その点はガンジに似ている。管理人が思うに、馬琴は八犬伝を書くにあたり、中国・日本の犬祖伝説をものすごく詳細に調べており、物語の基本的な設定によくまとめてある。長野市信州新町・竹房地区に八布施神社という神社がある。ここは今では保食神を祀る小さな神社なのだが、かつては当地が馬の産地だったこともあり、八布施大明神として近隣の武士たちからの篤い信仰を受けたとのことである。この近くにある武冨佐神社(たけぶさじんじゃ)には数柱の祭神の中に「'''速瓢(はやち)神'''」という名の神がいる。出雲国風土記に「'''伊農波夜(犬は早(速))'''」という言葉があり、おそらくこの「'''速瓢(はやち)神'''」とは犬神のことだし、八布施神社もそれに関連した神社だと馬琴は知っていたのだと思う。おそらく、'''八房'''と'''伏姫'''の名前は'''八布施大明神'''から採ったものだと考える。八犬伝の最初は'''八布施大明神'''、最後は'''甘基王(ガンジ王)'''であると、この年になってやっと気がついて、伝承学においても少しは馬琴のレベルに近づけただろうか、と思う管理人である(24-11-21)<ref>信州新町史 下巻、1979、p1405</ref>。
== 参考文献 ==