こうして見ると、ローマのサートゥルヌスとエジプトのトートは、表面的には一方は「農耕神」であり、もう一方は「書記の神、知恵の神」であって共通点がないように思えるのに、どこかに共通した性質、共通した起源があったのではないか、と推察される。古代のヨーロッパ、中近東、アフリカ北岸は「同じ名前で違う神」だったり、「違う名前で同じ神」というものが多数いて、人々もそれを承知しており、当たり前のように慣習的に習合を行っていた。
例えばエジプトのセトとローマのサートゥルヌスは「似たような名前」だけれども、セトは「嵐の神」「軍神」の性質を持ち、サートゥルヌスは「農耕神」だから異なる神のように見える。でも、セトには「'''レタスが好物だった'''」という逸話があり、レタスという植物神の性質もわずかではあるが持っていた。また、セトは性欲の象徴とされていたが、エジプトには他にミン神という男根が強調され、レタスに表象される'''農耕神'''かつ'''月神'''がおり、その性質の一部はセトと一致する。
例えばエジプトのセトとローマのサートゥルヌスは「似たような名前」だけれども、セトは「嵐の神」「軍神」の性質を持ち、サートゥルヌスは「農耕神」だから異なる神のように見える。でも、セトはトートの父親とする説がある。トートがセトから分かれた神であるとして、月の神でもあるトートは同じ月の神で、植物の豊穣神・農耕神であるミンと習合し、ミンはいきさつは分からないがセトとも習合しているから、総合的に見れば、でも、セトはトートの父親とする説がある。トートがセトから分かれた神であるとして、月の神でもあるトートは同じ月の神で、植物の豊穣神・農耕神であるミンと習合し、ミンはいきさつは分からないがセトとも習合しているから、総合的に見れば、'''セトには嵐の神、軍神、農耕神としての性質がある'''といえ、'''サートゥルヌスと性質が一致してくる'''のである。'''「セト、トート、ミン、サートゥルヌス」のセット'''は、「同じ名前で違う神」と「違う名前で同じ神」を含み、総合的に性質は共通しているといえる。