<blockquote>竹取の翁が竹の中から発見した少女は美しいかぐや姫に育つ。多くの男から求婚されるが、難題を吹きかけて断ってしまう。帝からも求婚されるが、かぐや姫は「月に帰らなければならない」と断る。翁は姫を塗り籠めに閉じ込め、帝は家来を送って姫を守り、月に返すまいとする。ところが月からやってきた使者を見ると、武士達は力が萎えて弓を射れなくなってしまい、かぐや姫は月に帰ってしまう。彼女は不老不死の薬を作って帝に残していくが、帝は「姫がいないのに不老不死に用はない」と述べて、薬を天に一番近い富士山の山頂で燃やしてしまう。</blockquote>
竹取の翁がアガメムノーン、かぐや姫がイーピゲネイア、帝がアキレウス、といった感の日本の「天狗食日月譚」である。かぐや姫は「殺された月乙女」なので、処女のままである。父親に閉じ込められる点は、バロールの神話に似る。彼女が不老不死の薬を持っている点は嫦娥神話の影響と思われる。ただし、これも民間伝承を元にした文芸作品といえるので、文芸的である。帝は殺されはしないが、「死ぬ運命になる」という表現で死のイメージは緩和されて表現される。衛士達が使者を追い払うために弓を射るのは、羿神話からの流用であろうか。竹取の翁がアガメムノーン、かぐや姫がイーピゲネイア、帝がアキレウス、といった感の日本の「天狗食日月譚」である。かぐや姫は「殺された月乙女」なので、処女のままである。父親に閉じ込められる点は、バロールの神話に似る。彼女が不老不死の薬を持っている点は嫦娥神話の影響と思われる。ただし、これも民間伝承を元にした文芸作品といえるので、文芸的である。帝は殺されはしないが、「死ぬ運命になる」という表現で死のイメージは緩和されて表現される。衛士達が使者を追い払うために弓を射るのは、羿神話からの流用であろうか。とすれば、'''ここで語られる「帝」とは羿のことであり、「かぐや姫」とは嫦娥のことである'''ことが分かる。「'''本当に、羿は妻を月になんかやりたくなかったんだよ。ただ守りたかったんだよ。'''」と名前不詳の作者がそう言いたくてこの物語を作ったのではなかろうか、と管理人は思うくらいである。
竹取の翁は竹がトーテムでもあるが、職人でもある。これは木工神である五十猛神が民間伝承化したものといえる。五十猛神の父・須佐之男は織り姫を殺す神であって、まさに中国的な「'''天狗'''」である。