=== アナトリアでの起源 ===
[[File:Coin of Apollo Agyieus.png|thumb|250px|Illustration of a coin of Apollo Agyieus from [[Ambracia]]]]
アポローンの起源はギリシャ以外であると、長い間、学問の世界で考えられてきた<ref name="DDD"/>。アポローンの母レートーの名はリディアに由来し、小アジアの海岸で崇拝されていた。霊感神霊信仰は、シビュラの起源であり、最古の神霊祠の起源でもあるアナトリアからギリシャに伝わったと思われる。アッシロ・バビロニアの古い文書には、お告げ、象徴、浄化、悪魔祓いなどが登場する。これらの儀式はヒッタイト帝国に広がり、そこからギリシアにも伝わった<ref name="Nilsson563">Martin Nilsson. ''Die Geschichte der Griechische Religion Vol I'', pp. 563–564</ref>。
ギリシアでは、魔除けとして公共の場や家屋を守る神としてἀγυιεύς agyieusと呼ばれ、そのシンボルは先細りの石や円柱であった<ref>Martin Nilsson, ''Die Geschichte der Griechische Religion.'' vol. I (C. H. Beck), 1955:563f.</ref>。しかし、通常ギリシャの祭りは満月に祝われるが、アポロンの祭りはすべて月の7日に祝われ、その日(シブツ)が強調されていることから、バビロニア起源であることがわかる<ref>Martin Nilsson (1967). Vol I, p. 561.</ref>。
青銅器時代後期(紀元前1700年から1200年)のヒッタイトとヒュリアのアプルはペストの神で、ペストの年に呼び出された。ここでは、もともと疫病をもたらした神が、それを終わらせるために呼び出された、というアポトロピックな状況になっているのだ。[[アプル]]とは、バビロニアの太陽神シャマシュと結びついたネルガルという神の称号で、「その息子」という意味である。