牛の皮膚すなわち'''牛皮'''(ぎゅうひ、ぎゅうかわ、うしがわ)は、鞣しの工程を経て'''牛革'''に加工され、衣服(古代人の上着・ベルト・履物などから現代人の革ジャンやレーシングスーツまで)、武具(牛革張りの盾や刀剣の鞘や兜、牛革のレザーアーマーなど)、鞄など収納道具、装飾品(豪華本の表装などを含む)、調度品(革張りのソファなど)、その他の材料になる。ここでも仔牛は特に区別されており、皮革の材料としての仔牛、および、その皮革を、仔牛と同じ語でもって「カーフ」と呼ぶ。
'''[[牛乳]]'''(ぎゅうにゅう)やその加工品を得ることを主目的として飼養される牛は、'''[[乳牛]]'''(にゅうぎゅう)という。
'''[[牛糞]]'''(ぎゅうふん、うしくそ)は、[[肥料]]として広く利用されるほか、[[燃料]]や[[建築材料]]として利用する地域も少なくない([[#牛糞|後述]])。(ぎゅうふん、うしくそ)は、肥料として広く利用されるほか、燃料や建築材料として利用する地域も少なくない(後述)。
=== 使役 ===
<!--※「土壌改良」に係る。-->
[[使役動物]]としての牛は使役動物としての牛は'''役牛'''(えきぎゅう)といい、古来から、自動車に置き換わるまで先進国においても近年まで、馬とともに人類に広く利用されてきた。[[農耕]]用と、直接の乗用も含む人および物品の[[運搬]]用の、[[動力]]としての利用が主である。農耕のための牛は(えきぎゅう)といい、古来から、自動車に置き換わるまで先進国においても近年まで、馬とともに人類に広く利用されてきた。農耕用と、直接の乗用も含む人および物品の運搬用の、動力としての利用が主である。農耕のための牛は'''耕牛'''(こうぎゅう)という。運搬用というのは主に'''[[牛車]]'''(ぎゅうしゃ、うしぐるま)<ref group="注釈">古来日本の、牛に牽かせる屋形車である「'''牛車'''(ぎっしゃ)」はその一種。</ref>用であるが、古来[[中国]]などではそれに限らない。用であるが、古来中国などではそれに限らない。
=== 土壌改良 ===
痩せた土地に家畜を放し、他所から運び込んだ自然の飼料で飼養することによって[[土壌改良]]を図る方法があり、体格が大きく餌の摂取量も排泄量も多い牛は、このような目的をもった[[放牧]]に打ってつけの家畜でもある。痩せた土地に家畜を放し、他所から運び込んだ自然の飼料で飼養することによって土壌改良を図る方法があり、体格が大きく餌の摂取量も排泄量も多い牛は、このような目的をもった放牧に打ってつけの家畜でもある。
=== 娯楽 ===
[[File:Mud Cow Racing - Pacu Jawi - West Sumatra, Indonesia.jpg|thumb|インドネシアの収穫を終えた田んぼで行われる牛レース、{{ill2|パチュ・ジャウィ|id|Pacu jawi}}。画像は2019年度Wikicommons年間画像大賞作品<ref>{{Cite web |url=https://commons.wikimedia.org/wiki/Commons:Picture_of_the_Year/2019/Results/ja |title=Commons:年間画像大賞/2019/投票結果 - Wikimedia Commons |access-date=2022-11-14 |website=commons.wikimedia.org |language=en}}</ref>。同レースの写真は、2013年[[ワールド・プレス・フォト・オブ・ザ・イヤー|世界報道写真コンテスト]]「スポーツ」部門でも1位となる<ref>{{Cite web |url=https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7609/ |title=牛レース、ベスト報道写真2013 |access-date=2022-11-14 |website=natgeo.nikkeibp.co.jp |language=ja}}</ref>など迫力のあるレースが行われる。]]
牛を[[娯楽]]に利用する[[文化]]は、世界を見渡せば散見される。牛同士を闘わせるのは、[[アジア]]の一部の国・地域([[日本]]、[[朝鮮]]、[[オマーン]]など)における伝統的娯楽で、これを'''[[闘牛]]'''(とうぎゅう)という([[闘牛#日本における闘牛]]も参照)。暴れ牛と剣士を闘わせるのは、[[西ゴート王国]]に始まり、[[イベリア半島]]を中心に伝統的に行われてきた[[ブラッド・スポーツ|ブラッドスポーツ]]の一種で、これも日本語では'''闘牛'''という(''cf.'' [[闘牛#スペイン闘牛の歴史]])。暴れ牛と闘う剣士を'''[[闘牛士]]'''というが、対等の闘いではなく、絶対的有利な立場にある剣士が華麗な身のこなしと殺しを披露する[[見世物]]である。[[18世紀]]ごろの[[イギリス]]では、牡牛と[[イヌ|犬]]を闘わせる見世物として「'''[[牛いじめ]]'''('''ブルベイティング'''、英:{{lang|en|bullbaiting}})」が流行し、牡牛(ブル)と闘うよう[[品種改良]]された犬、すなわち「[[ブルドッグ]]」が、現在のブルドッグの原形として登場した。このブラッドスポーツは残酷だとして[[1835年]]に禁止され、姿を消している。危険な暴れ牛や暴れ馬の背に乗ってみせるのは、[[北アメリカ]]で発祥した'''[[ロデオ]]'''で、[[競技]]化しており、[[アメリカ合衆国]]、[[カナダ]]、[[オーストラリア]]、および、[[南アメリカ]]の幾つかの国で盛んに興行が打たれている。