水神
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日本の水神
農耕民族にとって水は最も重要なものの一つであり、水の状況によって収獲が左右されることから、日本においては水神は田の神と結びついた。田の神と結びついた水神は、田のそばや用水路沿いに祀られていることが多い。
また、水源地に祀られる水神(水分神(みくまりのかみ))は山の神とも結びついている。農耕以外の日常生活で使用する水については、井戸・水汲み場に水神が祀られる。
日本神話
日本神話には、水に関する神として以下のような神が登場する。
- 罔象女神(ミヅハノメ)
- 『古事記』には、カグツチを生んで陰部を火傷し苦しんでいたイザナミがした尿から、和久産巣日神(ワクムスビ)とともに生まれたとある。『日本書紀』では、イザナミが死ぬ間際に埴山媛神(ハニヤマヒメ)と罔象女神を生んだとある。日本における代表的な水の神(水神)である。
- 泣澤女神(ナキサワメ)
- イザナミがカグツチ(迦具土神)を産んで亡くなった際、「愛しい私の妻を、ただ一人の子に代えようとは思いもしなかった」とイザナギが云って、イザナミの枕元に腹這いになって泣き悲しんだ時、その涙から成り出でた神。畝尾都多本神社[1]に泣沢という井戸があり、その井戸が御神体として祀られている。この事から、泣澤女神は大和三山の一つである香具山の麓の畝傍から湧き出る井戸の神様ということになる。
- 闇淤加美神(クラオカミノカミ)、闇罔象神(クラミツハノカミ)、高淤加美神(タカオカミノカミ)
- 日本神話では、神産みにおいて伊邪那岐神が迦具土神を斬り殺した際に生まれたとされいる。
- 闇罔象神と闇龗神いずれも祈雨(きう)、止雨(しう)、灌漑の神として信仰されている。
- 日河比売(ヒカワヒメ)
- 『古事記』にのみ登場する神で、水神である淤加美神の娘。水にまつわる神と考えられている。
- 深淵之水夜礼花神(フカフチノミズヤレハナノカミ)
- 日河比売の子神。『古事記』にのみ登場する神で、名称や系譜以外特に事績に関する記述はない。水に縁のある神であると考えられるが、詳細は未詳である。
- 天之都度閇知泥神(アメノツドヘチネノカミ)
- 『古事記』においてのみ登場し、深淵之水夜礼花神の妻とされる。粟鹿神社の書物『粟鹿大明神元記』には布波能母知汙那須奴の妻阿麻乃都刀閇乃知尼(あまのつとへのちね)と表記され、意弥都奴を生んだと記述されている。名義未詳とされるが、「天之」は水源を考慮して冠せられたもの、「都度閇」は「集え」で、目に見えない神力によって集められること、「知」は「道」で、ここでは水路、「泥」は親称で、「天上界の集められた水路」となる[2]。
- 天之久比奢母智神(アメノクヒザモチノカミ)・国之久比奢母智神(クニノクヒザモチノカミ)
- 『古事記』にのみ登場する一対の神々。速秋津日子神と妹の速秋津比売神との子。汲瓠持(くみひさごもち)すなわち水をくむひさご(杓)の神の意味で,灌漑(かんがい)の神とされる。
- 天之水分神・国之水分神(テンノミクマリノカミ・クニノミクマリノカミ) -- 分水・分水嶺の神
- 建御名方神(タケミナカタノカミ) -- 諏訪大社(長野県諏訪市ほか)の主祭神。蛇が神体とも言われる。
- 武水別神(タケミナワケノミコト)
- 元は聖山の上に鎮座し、後世に現在の鎮座地である武水別神社(長野県千曲市八幡)に遷祀したとされる。建御名方神の眷属とされる。
- 瀬織津姫神(セオリツヒメ)
- 祓戸神の一柱。神道の大祓詞に登場する神である。古事記・日本書紀には登場しない。
- 若宇加能売命(ワカウカノメノミコト)
- 高田川と一緒になった曽我川・大和川・飛鳥川など奈良盆地内を流れる河川のほとんどが合流する地点にある廣瀬大社(奈良県北葛城郡河合町川合)の主祭神である水神。社伝では伊勢神宮外宮の豊宇気比売大神、伏見稲荷大社の宇加之御魂神と同神とする。
- 善女竜王(ゼンニョリュウオウ)
- 八大竜王の一尊、沙掲羅龍王(しゃかつらりゅうおう)[3]の三女で神泉苑、金剛峯寺などで鎮守社に祀られている。神仏習合の雨乞いの神。
日本の民間伝承における水神
「田の神」のような神から、池や川の主、というような精霊的なものまで様々である。