ムドン
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ムドンは中国の少数民族であるイ族の英雄神。火神でもあり、疫神でもあるように思う。密枝(ミジ)と呼ばれる祭祀の起源的英雄。中国神話の祝融・蚩尤に相当する神と考える。
伝承
伝説では、古代アシ人たちが狩りに出かけた厳冬のある日、持っていた火種が雨風によって消されてしまい、寒さに苦しんだことがあった。人々の手足は凍え、老木の下に避難し、お互いに寄り添ってただ耐え抜くしかなかった。この時、ムドンと呼ばれる男が、仲間の輪から出て、朽ちた倒木の上にまたがり、棒で木をこすり始めた。三日三晩それを続けて、陰暦の2月3日、ついに火をおこすことができ、人々は再び暖をとり、温かい食事をすることができた。
ムドンはそれからアシ人の英雄となり、後に火神として崇められるようになった。そして、いつのころからか、アシ人は毎年陰暦の1月末から2月初めにかけて、「ムドンサイル」とアシ人の言葉で呼ばれる火祭りをおこなうようになった。
私的考察
ムドン神は、ギリシア神話のプロメーテウス、イラン神話のミスラ、朝鮮のムーダン(巫堂、무당)、日本の武塔神(スサノオ)と同起源の神と考える。密枝(ミジ)は日本のどんど焼きに相当する祭りと考える。豚ではなくて、餅を焼いて食べる。
密枝(ミジ)の内容は、いわゆる伏羲・女媧伝承の再現劇、伏羲(祝融)が両親、いわゆる羿と嫦娥を焼き殺して食べた点の再現劇と考える。神木は饕餮(炎帝)のことだろう。諏訪大社下社のお船祭りにとても近い祭祀の内容と考える。(お船祭りは伏羲・女媧伝承の再現劇が中心と考える。こちらの起源は時期的に「虫送り」の祭祀かと思われる。)
参考文献
- 雲南省彌 勒県西一郷・火祭り 炎に捧げる情熱、人民中国(最終閲覧日:24-11-19)