アペ・コペン

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ミャオ族の伏羲女媧神話に登場する男神。中国神話の伏羲女媧の父に相当する。雷神に面白半分に鶏を食べさせて雷神と対立する[1]

ミャオ族伝承

アペ・コペンは「天を支えて大地に立つ怪力無双の男」とされている。はっきりと巨人とは描かれていないが、巨人である可能性は高いだろう。雷神とは兄弟分であったとされる。日月樹(太陽と月を宿らせる大木、世界樹の一種)を上って天に到達する。世界樹は雷神に枯らされてしまう。アペ・コペンが天で暴れると、地上には山や川ができた。アペ・コペンは天で雷神と戦い、あちこち雷公を追いかけ回すので、雷は天のあちこちで鳴るという。

ミャオ族は鶏身の雷神を信奉しており、雷神を母方の叔父とも考えているとのことだ。また、雷神は下凡するときは雄鶏の姿になるとのことだ[2]

二つのタブー

物語には大きく2つの「禁忌」が含まれる。

同種食いの禁止

アペ・コペンと雷公とのいさかいの原因は、アペ・コペンが雷神に嫌いな鶏肉を食べさせようとしたからである。ミャオ族の伝承では、雷神は雄鶏の姿で下凡するとのことなので、アペ・コペンのところに遊びに来る際には、鶏の姿だったはずだ。

私的解説

アペ・コペンとは、アペは祖父、コペンは始という意味で「始祖」となるとのことである。アペは、楚で男子の尊称を「阿父」と呼んだことを想起させる、とのことだ[3]。また中国語で父を親しみを込めて呼ぶ場合に「阿爸(アバ)」と呼ぶとのことなので、この言葉も関連するのではないか、と個人的には考える。

関連項目

参考文献

  • 村松一弥訳『苗族民話集』平凡社、1974年、3-15頁

脚注

  1. 村松一弥訳『苗族民話集』平凡社、1974年、3-15頁
  2. 中国の伝承曼荼羅、百田弥栄子、三弥井民俗選書、1999、p96-98
  3. 村松一弥訳『苗族民話集』平凡社、1974年、3-15頁