「ミーノータウロス」の版間の差分

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* [[ディオニューソス]]:ディオニューソスの神話はミーノータウロスと対をなすように考える。ディオニューソスは死したミーノータウロスである。日本神話でいうところの[[須佐之男命]]や[[阿遅鉏高日子根神]]といえる。
 
* [[ディオニューソス]]:ディオニューソスの神話はミーノータウロスと対をなすように考える。ディオニューソスは死したミーノータウロスである。日本神話でいうところの[[須佐之男命]]や[[阿遅鉏高日子根神]]といえる。
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== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==

2022年10月14日 (金) 15:29時点における版

ミーノータウロスΜινώταυρος, Mīnōtauros, Minotaurus, Minotaur)は、ギリシア神話に登場する牛頭人身の怪物である。クレータ島のミーノース王の妻パーシパエーの子。長母音を省略してミノタウロスとも表記される。

神話・民俗

神話によるとミーノース王は、クレータ島における王位に就いた後、クレータ島の統治を巡って、ミーノース王とその兄弟で争いが起きた。そのためミーノース王はポセイドーンに祈り、神が支持していることの証として、美しい白い雄牛(一説では黄金)を送って欲しいと願う。後で生贄に捧げるという約束をミーノース王にさせた上で、ポセイドーンは雄牛を与える。しかし、雄牛の美しさに夢中になった王は、ポセイドーンとの約束を違え、別の雄牛を生け贄として捧げ、白い雄牛は自分の物にしてしまう。これに激怒したポセイドーンはミーノース王の后・パーシパエーに呪いをかけ、后が白い雄牛に性的な欲望を抱くように仕向ける。悩んだパーシパエーは名工のダイダロスに命じ、密かに雌牛の模型を作らせる。そして彼女は自ら模型の中へと入って雄牛に接近し、思いを遂げた。結果、パーシパエーは牛の頭をした子供・ミーノータウロスを産むこととなった。

星を意味するアステリオス(Asterios)と名づけられるが、「ミーノース王の牛」を意味するミーノータウロスと呼ばれる。呉茂一によると、「アステリオス」という名は、ゼウスの別号である「アステロペーテース(雷光を投げる者)」と同じ名であるという[1][私注 1]

ミーノータウロスは成長するにしたがい乱暴になり、手におえなくなる。ミーノース王はダイダロスに命じて迷宮(ラビュリントス)を建造し、そこに彼を閉じ込めた。そして、ミーノータウロスの食料としてアテーナイから9年毎に7人の少年、7人の少女を送らせることとした。アテーナイの英雄テーセウスは3度目の生け贄として自ら志願し、ラビュリントスに侵入してミーノータウロスを倒した。脱出不可能と言われたラビュリントスだが、ミーノース王の娘・アリアドネーからもらった糸玉を使うことで脱出できた。

ダンテの『神曲』では「地獄篇」に登場し、地獄の第六圏である異端者の地獄においてあらゆる異端者を痛めつける役割を持つ。

この怪物の起源は、かつてクレータ島で行われた祭りに起源を求めるとする説がある。その祭りの内容は、牛の仮面を被った祭司が舞い踊り、何頭もの牛が辺り一帯を駆け巡るというもので、中でもその牛達の上を少年少女達が飛び越えるというイベントが人気であった。また、古代のクレータ島では実際に人間と牛が交わるという儀式があったとされる。

逸話

画家パブロ・ピカソは、1933年頃から作品のモチーフに好んでミーノータウロスを取り上げている。男をなぶり殺し、女を陵辱し快楽の限りを貪るこの怪物に、ピカソは共犯者意識を持ちつつも、倒されねばならぬ絶対悪の役割を与えた。自分のたどった全ての道を集約するなら、それはミーノータウロスにつながるとの趣旨の言葉すら残している[2]

私的解説

中国神話で「雄牛の神」といったら炎帝蚩尤である。ミーノータウロスは「倒される神」でもあり、炎帝型神といえる。そして人身御供を求める神でもあったことが分かる。

関連項目

参考文献

外部リンク

私的考察

  1. 炎帝型の雄牛神に天候神の性質、星神の性質があったことが示唆される。ゼウスの別名が冠されるところは、ゼウスから別れた神であることが示唆され、「新しいゼウス」という意味のディオニューソスとの関連が示唆される。

参照

  1. 文庫版『ギリシャ神話 下』新潮社刊、1979年、42ページ
  2. 『ピカソ 愛と苦悩-「ゲルニカ」への道』展図録 朝日新聞社・刊